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マイペース ~ Vitz ~ Hideaways ~

 19,2013 00:00
張り切ると バッドエンドが待っている
これが28年間生きてきて 悟った僕の性・・・

それを初めて感じたのは 小学5年の夏休み・・・
怖さ知らずの僕は クラスメイトを驚かそうと 
スズメバチの昆虫採集にチャレンジした
必死で山を駆け廻り 見事に網一本で オオスズメバチの捕獲に成功した
天下を取った将軍のように意気揚々とする 僕の後ろで 
復讐に燃えた仲間の蜂が 何故か農作業中の祖父を襲った 
それから三日三晩 祖父は死地を彷徨った

弱小高校の野球部に所属した僕が
甲子園常連校と練習試合を行ったときもそうだ・・・
一矢報いてやろうと 気を吐いた僕は センターオーバーの2塁打で出塁!
味方のヒットで 一気にホームをついた
タイミングはアウトだったが 持ち前の俊敏さで キャッチャーをかわす
綺麗にホームインが決まった しかし・・・ 僕の背中を 冷たい汗がツウと走った
県内一のスラッガーと言われた 相手キャチャーの左肘が 
あり得ない方向に曲がっていた
ホームインは記録されず 試合は途中で終わった
僕に非はないけど・・・ 彼の夏を僕は壊した・・・

その後も 僕の張り切りバロメーターがレッドゾーンに入る度に
僕を取り巻く人々に災いが起こった 
そして 僕は悟った
 「僕は 一生懸命になってはいけないのだ
  ジェイムス・ファーロングのように・・・」



化粧品会社のセールスマンになった僕が トップの成績を収めることはない
情熱を注がずマイペース それがみんなのためなのだから・・・
それでも 人並みの成果を出すことができる僕は 天才なのかもしれない
子供の頃に抱いていた自分の夢とは大きく違う人生だったが
これも悪くないと思いかけていた

そんな僕にも カノジョのような人がいた
一つ年上のカノジョは 向上心の無い僕を尊敬していた
 「Junの 大らかな心と
  すべてを見通すような 瞳が私を安心させるの」
そんなことを 言っていた
確かにそうだろう 僕はいつも一歩下がった安全地帯にいるのだから

最近カノジョは 何かと結婚について語ってきた
僕は カノジョの本位をスルリとかわしながら ゆるりゆるりと付き合った
大切な人にバッドエンドを与えるような男が 結婚なんかできるはずもない

ところが 二人だけの思い出が蓄積されるにつれ
僕の心は カノジョの引力に影響されはじめた
カノジョは 緩い僕に惹かれている・・・ それは無理をしない自然体の僕が好きということだ
そう思うと カノジョのことが 愛しくなった
そして 僕は初めて カノジョをデートに誘った
世界遺産に登録が決定した 富士山を見に行こうと・・・

父親譲りで車好だった僕の愛車は ヴィッツRS 1.5ℓ 
FFホットハッチと言いながら CVTで安全仕様 
それでも 峠に入れば テンションメーターは上り調子
夜露に濡れたカーブでは サイドブレーキを掴んで テールを滑らせる

もちろん 今日は安全運転・・・
僕は 心をニュートラルに山道をスウイと進んだ

湖に映る芙蓉峰が薄紅色に見えるホテルに入ったとき
今まで ガラスの向こう側にいたカノジョが
僕と同じ世界にいるように思えた
僕の鼓動は いつしか大きくなっていたが 
ハートに仕込まれた警報装置は サイレントモード
僕の本気モードは 完全に危険領域に入っていた・・・

ドイツカラーのDKNYのトップスから すうと伸びる細い首の上に小ぶりな顔
サラリとした笑顔・・・ 
僕の心がグワンと揺れた
その時 カノジョの携帯がなった

・・・
サッと 蒼ざめるカノジョ
 「お父さんが危篤って・・・どういうこと!」
カノジョの叫ぶ声が届くまえに 僕は上着を羽織っていた
 「帰ろう!」

Vitz

 「ヴィッツよ 熱くなれ! 死神よ 今だけは 眼を瞑れ!」
呪文のように 独り言をつぶやきながら 僕は思い切りアクセルを踏んだ
フロントタイヤが煙を上げながら ヴィッツはホテルを後にした
 
 「もう 間に合わない・・・」
カノジョの涙が止まらない
そんなカノジョを横目で見ながら 僕は言った
 「間に合うさ! 本気を出すから!」
ヴィッツが吠えた

 「きゃっ」
小さな悲鳴は 瞬時に100m後方へ置き去りにされた
竜の背を思わせる 黄泉比良坂を落ちるように下る 
ハンドルを廻す彼の手は 2本とは思えなかった
 「私のために こんなに必死で・・・Junのこと・・・信じてよかった・・・」
そう想いながら 私は運転席の彼を見た
!!
彼は 必死なのかもしれない でも・・・確かに笑っている・・・
阿修羅のような形相の中で・・・
 「もう峠の半分を超えた あと1時間はかからない」
私を 安心させようと つぶやく彼の一言
しかし 私は何も言えなかった ただ心の中で私は呟いていた
 「運転席のあなたは・・・だれ・・・?」

Kiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii

火の玉のようなヴィッツが病院の前に止まった
転げこむように 病院に入るカノジョ

そして 静寂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一時間ほど経過したとき カノジョが戻ってきた 
 「ありがとうございます 父は持ち直しました
  私が戻ることができたから 父は助かることができたのだと思います
  貴方のおかげです 本当にありがとうございました」

僕に深々と頭を下げると カノジョは再び病院へ消えていった

カノジョが残した言葉には 愛情あふれる暖かさが消えていた 
あたかも タクシー運転手に対する 礼のようだった

僕は 一人ポツリと ヴィッツの前に立った

 「カノジョは お父さんと逢うことができた
  それで良かったじゃないか・・・
  真剣になった 僕の代償
  死神は カノジョの僕に対する愛を奪った 
 
  それでいい・・・ ほどほどの人生しか送ることができない男に
  ロマンスは 似合わない」 

一人になった僕は ヴィッツを撫でると もう一度 富士へ向かった







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