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巴里<夢の国 ~ 208GTI ~ 巴里のアメリカ人 ~

 11,2013 23:50
カノジョが女に変わった瞬間
どうしようもない虚無感に襲われた僕は
巴里のアメリカ人で歌うアンリ(Georges Guetary)のように
カノジョを中心に回る舞台から降りることを決めた
Peugeot208GTIのエンジンを点火し カノジョの笑顔を消去しよう・・・そう誓った

208GTI

ネズミたちの「夢の国」に隣接する
新興住宅街で隣人同士として育った 僕とカノジョは 
家族ぐるみの付き合いだったこともあり
幼稚園の頃から カップルとしての関係を強制されていた
ひょろりとした もやしのような僕は
いつもサクランボのように ピンとしていたカノジョの後ろにいた

しかし 中学生にもなると
男と女の間には 越えてはいけないベルリンの壁があることを知った
男は男の世界に 女は女の世界にいないと弾かれる
僕は 少しだけカノジョとの間隔を開けようと試みたが
そんな世の中の定説を 気にすることのないカノジョを見て
自分の行動が バカらしくなった 
その結果 僕とカノジョの関係は 幼稚園の時と何も変わる事はなかった

僕たちの遊び場は 昔からネズミたちの夢の国 
年間パスポートを使って 
どんなに忙しくても 毎月1回遊びに行った
夢の国では 僕とカノジョはいつも手をつないでいた
カノジョは 迷子にならないためと言ったが
本当の目的は
閉所恐怖症の僕を 恐ろしいアトラクションに引き込むことだった
最初から最後まで 眼を瞑ってる僕を見て カノジョはいつも豪快に笑った・・・

学生カバンから ビジネススーツに代わっても
僕らのスタイルは継続した
自動車ディーラーの営業マンと ホテルのフロント係という職場環境から
平日休みだったから  夢の国は いつも貸し切り状態だった

このころになると 僕の結婚相手はカノジョなのだと 自然に思っていた
そして カノジョの中でも 少なからず そんな思いがあったに違いない
そんな僕らの前に 突然ジーン・ケリーが舞い降りた・・・
ゾウネズミ・ダンボーのカルーセルの前で へとへとになった僕を
にんまり見ているカノジョの一瞬を EOS-1D Xが
Basyariiiiiiiiiiiiii!!
と掴んだ
 「madame  ごめんなさい!
  あまりの美くしさに コイツが反応してしまいました」

フランス訛りを感じさせる日本語で 男は言った 
明らかに 僕らの世界とは異なる天然フルカラーのような男は
画家とカメラマンの違いはあるが Gene Kellyのように魅力的だった
異次元生物の出現に 目を細める僕に対し カノジョの瞳は輝いて見えた
 「これまで こんなに女性らしく見えたことがあっただろうか・・・」




それから 僕とカノジョのデートはめっきり減った
僕は残業を理由に カノジョを遠ざけた 
そんなある日 カノジョの務めるホテルに Kellyが長期滞在していることを知った
悠々自適なフリーのカメラマンは 
生涯の伴侶となる女性を探しながら 世界を旅しているようだ
そんな男が カノジョに一目で恋をした
Kellyとカノジョの間には 僕が中学時代に感じたベルリンの壁は 存在していなかった
長い年月をかけて少しずつ砕いてきた城壁を 
彼の1眼パトリオットは 一撃で粉砕した
もはやKellyとカノジョの間に隙間はなかった・・・ もやしのような僕でさえも

頭では理解していた それても 僕はカノジョ誕生日を祝うべく
カノジョのホテルに向かった

Peugeot208を停車して ロビーに立っているであろうカノジョを探す
・・・そのとき 僕は目撃した
カノジョを両手で抱きしめる男 そして彼の胸に顔をうずめるカノジョを・・・

 「所詮 親が導いた道 カノジョの意志は そこになかった
 僕も ただ 親のが敷いたレールの上を歩いてきただけだったんだ・・・」
そう自分に言い聞かせた

カーステレオから流れる ガーシュインの音色が 僕の心を深くえぐる
僕はカノジョの携帯番号を削除して ホットハッチのイグニッションを回した
208の車内は広く 閉所恐怖症の僕でも恐怖を感じたことはなかった
しかし カノジョが二度と助手席に座ることは無いと思った途端 
空しくぽっかりと空いた空間が 
ブラックホールのように 虚無の閉塞感を誘った
グラリと世界が歪む・・・
あの忌々しい 恐怖がジンわりと僕の心に染み込んでくる・・・
 「あぁ 208(お前)にも嫌われたか・・・」



グッと目を瞑り 恐怖を遠ざけようと 必死に戦う僕・・・

Kotun Kotun!
蜃気楼のように 揺らめく視界の中に・・・カノジョがいた

 「今年は お祝い無しなの~?!」
あっけらかんとした カノジョの一言に 僕の視界は 現実界へ引き戻された

 「アイツは いいのかい?」
自分でも 凍えるような冷たい口調だった 
 「Kellyは 何でも受け止めてくれるだろうからな・・・」

KotuuuuuuuN!
「痛っ!・・・」
カノジョは 拳で僕の頭を小突いた
 「こんなに 一緒にいるのに ホントに乙女心が分からないんだから!
  私は 何でもできてしまう天才より
  後先考えずに くまのBOOさん人形を助けるために 側溝の中に潜り込んで 
  未だに 閉所恐怖症を患っている そんな人が好きなの」

そういうとカノジョは 僕の頬にそっとキスをした
幼馴染が その瞬間 カノジョに変わった

Gene Kellyには 悪いけど 
僕とカノジョの関係は 巴里のアメリカ人のようにはいかない
Summertimeが 静かに流れる中
僕は208のトランクに忍ばせていた 真っ赤なバラへ手を伸ばした







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