独立記念日 ~ Cygnet ~ Independence Day ~
04,2013 23:43
その日の父は 背中に強力な電磁バリアを張り巡らせていた
それは今 父が見ている ”Independence Day”の宇宙船のように
核爆弾でもビクともしない 強力なシールド
「父さん・・・話があるんだ」
「・・・」
メデューサの首を装備したイージスの盾のように強力なシールドは
我が子の叫びも石化してしまうようだ
僕は 意を決してもう一度言う
「父さん・・・カノジョのことなんだけど」
父の肩がピクリと反応した
間違いなく あの事を意識している・・・
～ひと月前～
「父さん 僕・・・結婚しようと思う」
父の誕生日に 僕はプレゼントを渡すような気持ちで報告した
それは ”男は早く親元から独立して 一国の主になるべきだ”という
父の訓示を 実現することになるからだ
僕は 父の満面の笑みを期待した
ところが 父の口から出た言葉は
「ばかやろう！」だった
全く予期しなかった反応に
父が動転したのかと思い
僕は改めて 父に結婚の承諾をお願いした
すると
「学生のうちから結婚したいなんて言う奴とは 縁を切る！」
そう締めくくると父は 誕生祝いもそこそこに 自室に籠ってしまった
その日以来 僕と父の間には 強力なシールドが設置されたままになった
早く独立すべきと言いながら 学生結婚は許さないという理屈は
僕には納得できなかった
確かに 僕のカノジョは９歳年上のキャリアウーマン
一国の主は当面 カノジョ側になるのだが
学生同士の結婚ではないので 経済的な不安は皆無だ
僕には 全く理解できなかった・・・
「父さん やっぱり僕は この家を出るよ
カノジョは年上とはいえ 女なんだ 僕はカノジョを守らなければいけないんだ
例え この家を勘当されても・・・カノジョには僕しかいないんだ！」
スクリーンいっぱいの宇宙船を見続ける 父からは 相変わらず返事はなかった
僕は 少しだけ小さくなった 父の背中に向かって言った
「じゃあ行くよ 今まで ありがとう・・・」
Batan・・・
扉が閉まった・・・
1.3L直4エンジンのホットな排気音を残して Cygnetが勢いよく飛び出して行った
「『白鳥のひな』になんか乗って・・・
まだまだ子供だと思っていたが・・・
アイツもいつの間にか 男になってたんだなぁ」
久しぶりに IWハーパー12年を開ける
たった一人の人間の小さな小さな命が 巨大な宇宙船を駆逐したとき
私の使命も終わった・・・そんな思いがこみ上げてきた
「貴方は 立派な父親よ・・・だから 少しだけ あの子の巣立ちが早かったのよ
ニッコリ 見守ってあげましょう」
ロココ調の飾り棚の上から フワリと聞こえてくる声
Kararin・・・・
グラスの中の 氷山が琥珀色の海に沈む
「貴方には 私がいるでしょ」
今日のお前は ずいぶんおしゃべりだな・・・
そう思いながら 私は ぎこちない手つきで 携帯メールを打った
♪Tabidachi 旅立ち- Funky Monkey Babys～
運転席から出ると 僕は携帯を開いた
「独立記念日 に乾杯？？」
「！」を「？」で送ってきた父のメールを見ながら
泣き笑いする僕の姿を
Cygnetのヘッドライトが 優しく照らしていた
それは今 父が見ている ”Independence Day”の宇宙船のように
核爆弾でもビクともしない 強力なシールド
「父さん・・・話があるんだ」
「・・・」
メデューサの首を装備したイージスの盾のように強力なシールドは
我が子の叫びも石化してしまうようだ
僕は 意を決してもう一度言う
「父さん・・・カノジョのことなんだけど」
父の肩がピクリと反応した
間違いなく あの事を意識している・・・
～ひと月前～
「父さん 僕・・・結婚しようと思う」
父の誕生日に 僕はプレゼントを渡すような気持ちで報告した
それは ”男は早く親元から独立して 一国の主になるべきだ”という
父の訓示を 実現することになるからだ
僕は 父の満面の笑みを期待した
ところが 父の口から出た言葉は
「ばかやろう！」だった
全く予期しなかった反応に
父が動転したのかと思い
僕は改めて 父に結婚の承諾をお願いした
すると
「学生のうちから結婚したいなんて言う奴とは 縁を切る！」
そう締めくくると父は 誕生祝いもそこそこに 自室に籠ってしまった
その日以来 僕と父の間には 強力なシールドが設置されたままになった
早く独立すべきと言いながら 学生結婚は許さないという理屈は
僕には納得できなかった
確かに 僕のカノジョは９歳年上のキャリアウーマン
一国の主は当面 カノジョ側になるのだが
学生同士の結婚ではないので 経済的な不安は皆無だ
僕には 全く理解できなかった・・・
「父さん やっぱり僕は この家を出るよ
カノジョは年上とはいえ 女なんだ 僕はカノジョを守らなければいけないんだ
例え この家を勘当されても・・・カノジョには僕しかいないんだ！」
スクリーンいっぱいの宇宙船を見続ける 父からは 相変わらず返事はなかった
僕は 少しだけ小さくなった 父の背中に向かって言った
「じゃあ行くよ 今まで ありがとう・・・」
Batan・・・
扉が閉まった・・・
1.3L直4エンジンのホットな排気音を残して Cygnetが勢いよく飛び出して行った
「『白鳥のひな』になんか乗って・・・
まだまだ子供だと思っていたが・・・
アイツもいつの間にか 男になってたんだなぁ」
久しぶりに IWハーパー12年を開ける
たった一人の人間の小さな小さな命が 巨大な宇宙船を駆逐したとき
私の使命も終わった・・・そんな思いがこみ上げてきた
「貴方は 立派な父親よ・・・だから 少しだけ あの子の巣立ちが早かったのよ
ニッコリ 見守ってあげましょう」
ロココ調の飾り棚の上から フワリと聞こえてくる声
Kararin・・・・
グラスの中の 氷山が琥珀色の海に沈む
「貴方には 私がいるでしょ」
今日のお前は ずいぶんおしゃべりだな・・・
そう思いながら 私は ぎこちない手つきで 携帯メールを打った
♪Tabidachi 旅立ち- Funky Monkey Babys～
運転席から出ると 僕は携帯を開いた
「独立記念日 に乾杯？？」
「！」を「？」で送ってきた父のメールを見ながら
泣き笑いする僕の姿を
Cygnetのヘッドライトが 優しく照らしていた
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