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九十九島 〜 1970ファイヤーバード 〜 史上最大の作戦 〜

 06,2013 23:20
幾重もの波風を越えて 僕はカノジョとの道を歩み始めた
二人の生活は
40Wの白熱灯から 1Kwの高圧ナトリウムランプに照らされたように
通いなれた コンビニや路地裏さえも 眩しく初々しい世界に変貌した

風に揺られる草木や 軒下を滑空するツバメたちの囁きが 
タランテラに聞こえるほど 幸せだった
そんな僕らの 唯一の願いは 新しい家族だった 
子供がほしいと願う 共通の想いは 
その重みからか 重力に負けて 天界まで届くことはなく 
10年の歳月が過ぎても 叶うことはなかった

11年目にして ようやく灯った小さな命も
光りに満ちた世界を見ることなく 
カノジョの中で 線香花火の如く散っていった 

それから一月後 カノジョは1通の手紙を残して 僕の前から姿を消した
~貴方との 太陽に照らされたような生活は 私には眩しすぎます
 思いを叶えられない 私はここにいてはいけないのです
 さようなら ~

僕の廻りを ツバメシジミが飛んだ
遠い遠い思い出の中 道を行けば 無数に飛んでいた
あのシジミ蝶たちは どこへ行ってしまったのだろう・・・
僕の見上げる空は 梅雨を予感させるように 潤色が広がっていた

カノジョが 行き先を告げずに去ってから一年・・・
僕は 今日にすべてを賭けることにした
カノジョと過ごした記憶を呼び覚まし 
直感だけを頼りに カノジョのいる場所を特定した



「今日は 長い長い一日(The Longest Day)になるだろう」
ひとり呟く僕を乗せた 1970年式ファイヤーバードは 
真夜中のハイウェイを ひたすら西へ向かった
1200k離れた 九十九の島へ

 「九十九島は 本当は208の島でできてるの
  それを九十九という言葉で表すなんて ロマンチックよね
  百に一つ足りない言葉が 百をはるかに超える意味を持つなんて・・・」
カノジョが フッと呟いた一言
ただ それだけを頼りに 僕はアクセルを踏んだ
 
瀬戸内の香りを感じ始めたころ 空が明るくなってきた
中間点までたどり着いた僕は
370馬力のラム・エアーIVを休息させるために サービスエリアに立ち寄った 
アイスコーヒーを一気飲みした後 ブラックフリスクを噛み砕いて 
眠気を遠ざけようとしていると
空から降ってわいたように モンシロチョウ現れた
僕の廻りを2回転したそれは フワリと西の空へ向かう
促されるように 僕はファイヤーバードのエンジンを回した
 「よし!絶対にカノジョはいる!」

1970 Firebird

17時間のドライビングで到着した展海峰
疲れ切ったファイヤーバードを駐車場に停めた僕は 展望台に向かった
ここにカノジョがいなければ 僕にはもうなすすべはない
Dokin! Dokin!
僕の中でニトロが爆発し続けた

展望台からは 深緑の島と藍色の海 絶景の九十九の島々が見えた 
それだけだった・・・

カノジョともう一度・・・ただそれだけの想いに駆られて 
決行した 僕のノルマンディ上陸作戦は・・・失敗・・・

 「そりゃ そうだよな・・・」
これで すべてを忘れよう そう心に決めたとき
絶景の中から ミヤマカラスアゲハが現れた
フワリ フワリ
僕の頭上を越えて背後に廻る蝶を 精気の無い瞳が追う

!!
そこには 純白のワンピースを着たカノジョがいた
 
 「もう子供は産めないのよ」
涙一杯のカノジョが言った
僕は 何も言わず カノジョを抱きしめた

6月6日 僕らの結婚記念日に 
これから始まる九十九(無数)の幸せを感じた
ファイヤーバードの ボンネットには 
天に向かう ミヤマカラスアゲハが いつまでも映っていた



※1944.6.6 ノルマンディ上陸作戦が決行されました 
 因みに史上最大の作戦に出演していた ジョンウェインが
 映画「McQ」で駆ったのが 1970年式ファイヤーバードでございます




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