オルレアンの乙女 ~ C5 ~ Jeanne d'Arc ~
30,2013 23:59
カノジョは 現代に蘇った ジャンヌダルクだ
Milla Jovovichを思わせる
ショートヘアにボーイッシュな装いは それだけで資格十分だが
外見だけでなく 曲がったことが大嫌いな性格も オルレアンの乙女そのものだ
道路の反対側を歩くカノジョを見つけて 車道を横断した僕は
交通リールという基本的なルールさえ徹底できないことが
規律正しい武士道を支えとした 日本人の美徳を失墜させたと指摘され
電車内で 不意に鳴ったの携帯電話については
狭床社会の日本における 排他的個人領域の侵犯につながる侮辱行為と責められた
僕の部屋に飾られた Steve McQueenのポスターが 右に5度傾いていたことは
海外文化への敬愛精神の欠如と自己精神の破たんの始まりと言われ
ドライブ中に 渋滞を避けようと 抜け道にハンドルを切ろうとすれば
解離性遁走の初期状態として「Keep straight!」と司令官のように命じられた
そんなカノジョのことを 僕は大いに愛した
カノジョも 呑気だが嘘をつかない僕を信用していた
そして僕たちは 菜の花が満開の観光牧場で永遠の愛を誓った

僕の愛車C5ツアラー
ロングノーズ&ショートデッキで 流線型のエクステリアは
一直線に走り抜ける競走馬としての躍動感と純潔な雰囲気を両立している
ジャンヌを助手席に迎えると
C5のエンジンは いつもより300回転ほど高く廻った
僕は C5とカノジョの融合に満足しながら
冬の女王から解き放たれたばかりの北国へ向かった
僕の両親にカノジョを紹介するために
両親は 僕が女性を初めて連れてきたことに驚いていたが
父親は カノジョを一目で気に入ったようだった
しかし 母親は ボーイッシュなカノジョの容姿が不満だったらしく
「もう少し 女の子らしいと いいのにねぇ」と呟いた
「女の子っぽいって どういうことを指すの?」
実家を後にした カノジョが僕に吠えた
「気にすることはないさ」
僕の言葉は 暫く車内をフワフワ漂っていたが
最後まで カノジョの耳に届くことなく サンルーフから外へ飛び出ていった
カノジョは 窓から入り込んできた 新緑の香りを吸い込みながら
いつまでも 遠いの空を見つめていた
それから1週間後のデートで 僕はカノジョの劇的な変化に驚かされた
カノジョは若草色のスカートをはいていた 始めてみるカノジョの女性らしい出で立ちに
「どうしたの」
と言わずにはいられなかった
「天の声を聴いたの 新しい環境に従うようにって!」
やや内股で 少しだけ恥じらうような笑顔のカノジョ
その心中には 間違いなく 大きな葛藤が渦巻いている
それを一言も口に出さないカノジョを 僕はもう一度好きになった
元来 美形のカノジョが 女性らしさを演出すれば 目立たない訳がなかった
行き交う サラリーマンが 振り返る
そんなカノジョと共に歩ける僕は 最高に幸せ者のはずなのだが
一方で カノジョが遠い存在になったような不安を感じた
半袖が必要なほど蒸した5月30日 突然母から上京すると連絡が入った
C5を駆って僕たちは 待ち合わせのパレスホテルロビーへ向かった
フレアスカートを着こなし 髪もロングになったカノジョに
母は満足して言った
「うん! やっぱり女の子は こうでなくちゃ」
少しだけ戸惑うような 笑顔を見せたカノジョ
僕の心は 少しだけ傷んだ
~まっすぐに生きてきたカノジョの人生を 僕は歪ませている・・・
そこに カノジョの 幸せはあるのだろか~
その時 母の背後で黒い影が動いた
影の正体である 全身黒ずくめの男はいきなり 母のバックをひったくり走り出した
「あっ!」
誰もが 一瞬のことで何の反応もできない中
走り去る男の右腕を するりとつかんだのは カノジョだった
そして 一気に背負い投げのスタイルへ
「Seeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeei!」
フワリと若草色のフレアがめくりあがり 真っ白なアンダーウェアが 僕と母の目に飛び込んだ
Zushiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiinn
見事な一本背負いだった
僕は カノジョが柔道経験者だったことを すっかり忘れていた
警官に男を引き渡すと カノジョはぺろりと舌を出した
Bachiinn!
母は そんなカノジョの頬を 叩いて言った
「怪我をしたらどうするの!貴女は大切な娘なのよ!」
「ごめんなさい・・・」
謝るカノジョの顔には どうしてよいかわからない そんな不安感が浮かんでいた
しかし 次の瞬間 母はカノジョを強く抱きしめた
「でも・・・さっきの貴女は とても魅力的だったわ ほんとうにありがとう」
そのとき 初めて カノジョは満面の笑みを見せた
天使のような笑顔だった
あの日以来 カノジョのスタイルは ショートヘアとジーパンに戻った
しかし 母は何も言わなかった
むしろ僕の方が
「カノジョが自分らしくいられるように貴方がしっかりなさい」と叱咤された
僕とカノジョの寝室に飾られた一枚の写真
そこには
二度と見ることはないであろう
ロングへアとセミロングのスカートをなびかせたカノジョと
カノジョのスカートが めくり上がらないか 心配している僕
そして 僕らを撮影してくれた母の影が 僕らの脚元で 綺麗なハートマークを作っていた
※1431年5月30日 ジャンヌダルクは天に召されたました
Milla Jovovichを思わせる
ショートヘアにボーイッシュな装いは それだけで資格十分だが
外見だけでなく 曲がったことが大嫌いな性格も オルレアンの乙女そのものだ
道路の反対側を歩くカノジョを見つけて 車道を横断した僕は
交通リールという基本的なルールさえ徹底できないことが
規律正しい武士道を支えとした 日本人の美徳を失墜させたと指摘され
電車内で 不意に鳴ったの携帯電話については
狭床社会の日本における 排他的個人領域の侵犯につながる侮辱行為と責められた
僕の部屋に飾られた Steve McQueenのポスターが 右に5度傾いていたことは
海外文化への敬愛精神の欠如と自己精神の破たんの始まりと言われ
ドライブ中に 渋滞を避けようと 抜け道にハンドルを切ろうとすれば
解離性遁走の初期状態として「Keep straight!」と司令官のように命じられた
そんなカノジョのことを 僕は大いに愛した
カノジョも 呑気だが嘘をつかない僕を信用していた
そして僕たちは 菜の花が満開の観光牧場で永遠の愛を誓った

僕の愛車C5ツアラー
ロングノーズ&ショートデッキで 流線型のエクステリアは
一直線に走り抜ける競走馬としての躍動感と純潔な雰囲気を両立している
ジャンヌを助手席に迎えると
C5のエンジンは いつもより300回転ほど高く廻った
僕は C5とカノジョの融合に満足しながら
冬の女王から解き放たれたばかりの北国へ向かった
僕の両親にカノジョを紹介するために
両親は 僕が女性を初めて連れてきたことに驚いていたが
父親は カノジョを一目で気に入ったようだった
しかし 母親は ボーイッシュなカノジョの容姿が不満だったらしく
「もう少し 女の子らしいと いいのにねぇ」と呟いた
「女の子っぽいって どういうことを指すの?」
実家を後にした カノジョが僕に吠えた
「気にすることはないさ」
僕の言葉は 暫く車内をフワフワ漂っていたが
最後まで カノジョの耳に届くことなく サンルーフから外へ飛び出ていった
カノジョは 窓から入り込んできた 新緑の香りを吸い込みながら
いつまでも 遠いの空を見つめていた
それから1週間後のデートで 僕はカノジョの劇的な変化に驚かされた
カノジョは若草色のスカートをはいていた 始めてみるカノジョの女性らしい出で立ちに
「どうしたの」
と言わずにはいられなかった
「天の声を聴いたの 新しい環境に従うようにって!」
やや内股で 少しだけ恥じらうような笑顔のカノジョ
その心中には 間違いなく 大きな葛藤が渦巻いている
それを一言も口に出さないカノジョを 僕はもう一度好きになった
元来 美形のカノジョが 女性らしさを演出すれば 目立たない訳がなかった
行き交う サラリーマンが 振り返る
そんなカノジョと共に歩ける僕は 最高に幸せ者のはずなのだが
一方で カノジョが遠い存在になったような不安を感じた
半袖が必要なほど蒸した5月30日 突然母から上京すると連絡が入った
C5を駆って僕たちは 待ち合わせのパレスホテルロビーへ向かった
フレアスカートを着こなし 髪もロングになったカノジョに
母は満足して言った
「うん! やっぱり女の子は こうでなくちゃ」
少しだけ戸惑うような 笑顔を見せたカノジョ
僕の心は 少しだけ傷んだ
~まっすぐに生きてきたカノジョの人生を 僕は歪ませている・・・
そこに カノジョの 幸せはあるのだろか~
その時 母の背後で黒い影が動いた
影の正体である 全身黒ずくめの男はいきなり 母のバックをひったくり走り出した
「あっ!」
誰もが 一瞬のことで何の反応もできない中
走り去る男の右腕を するりとつかんだのは カノジョだった
そして 一気に背負い投げのスタイルへ
「Seeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeei!」
フワリと若草色のフレアがめくりあがり 真っ白なアンダーウェアが 僕と母の目に飛び込んだ
Zushiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiinn
見事な一本背負いだった
僕は カノジョが柔道経験者だったことを すっかり忘れていた
警官に男を引き渡すと カノジョはぺろりと舌を出した
Bachiinn!
母は そんなカノジョの頬を 叩いて言った
「怪我をしたらどうするの!貴女は大切な娘なのよ!」
「ごめんなさい・・・」
謝るカノジョの顔には どうしてよいかわからない そんな不安感が浮かんでいた
しかし 次の瞬間 母はカノジョを強く抱きしめた
「でも・・・さっきの貴女は とても魅力的だったわ ほんとうにありがとう」
そのとき 初めて カノジョは満面の笑みを見せた
天使のような笑顔だった
あの日以来 カノジョのスタイルは ショートヘアとジーパンに戻った
しかし 母は何も言わなかった
むしろ僕の方が
「カノジョが自分らしくいられるように貴方がしっかりなさい」と叱咤された
僕とカノジョの寝室に飾られた一枚の写真
そこには
二度と見ることはないであろう
ロングへアとセミロングのスカートをなびかせたカノジョと
カノジョのスカートが めくり上がらないか 心配している僕
そして 僕らを撮影してくれた母の影が 僕らの脚元で 綺麗なハートマークを作っていた
※1431年5月30日 ジャンヌダルクは天に召されたました
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