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Bonnieの願い ~ 1934 Ford V8 ~ 俺たちに明日はない ~

 23,2013 23:59
終わりの見えない彼女とのトラブルを残して 僕は西の街に向かった
ほんのり 明るくなりはじめた日本経済も 
僕の周りを照らすまでには まだまだ時間がかかる 
貴重な出張手当を温存するため そして 
彼女との仲直りの方法を ゆっくり考えるために
僕は ”海賊”という名の夜行バスに乗り込んだ

a.m.7:45 時刻表通りに バスは目的地に到着した
海賊船と言う名には 恥ずべき行為だ!
短針一周分の時間では 彼女との解決策は見つけられなかった

それにしても この街の太陽は大きい
すでに真夏のそれを感じさせた

Suuuuuuuuuuuuuuuuuu・・・ Haaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa・・・
12時間ぶりの外気には 柑橘系の香りが織り込まれていた
甘美な香りを もうひと呼吸!と決め込んだとき
 「きゃっ!」
背後の女性が ステップを踏み外して倒れてきた
 Don !
 「うわっ!」
不意に背中を押された僕は 内ポケットから老眼鏡をポロリと落とした 
さらに よろけた右足が・・・
Guki!
彼女からのプレゼントされた眼鏡を 咄嗟にかばった僕の右足は 
曲がってはいけない方角を向いていた



 「ごめんなさい・・・」
運転しながら 頭を下げるカノジョ
 「いや いや 運動音痴の僕にも原因がある だから気にしないで
  ・・・でもホントにいいのかい? こんなことまで・・・」
老舗旅館の女将だったカノジョは
僕を格安で宿泊させてくれた
ちなみに カノジョは宿泊料はいらないと言ったが 
男が廃ると 変なところで意地を張った僕は 通常の半額で泊めてもらうことにした

さらに ねん挫で運転ができなくなった僕の代わりに 
カノジョ自身が 運転手を務めてくれることになった
多忙でありながらも 刺激のない毎日からの解放という 
カノジョ側の理由も あったのだろう
それでも 夏みかんのように美しい運転手と ドライブするのは最高だった

この街を知り尽くした カノジョのサポートで 
僕の仕事は 予定より1日早く終わりを迎えた 

ポンジュースを飲みながら 帰り支度をする僕に 
カノジョが声をかけてきた
 「少しだけ お付き合いください」

1934-V8
 
そう言うカノジョに連れられて来たのは 旅館の倉庫だった
 「これは 3年前に亡くなった 主人のコレクションなの」
そこには 1934年型フォードV8 Fordor があった

カノジョに急かされながら 僕は車に乗り込んだ
シンと静まり返る車内で カノジョが僕の肩に頭をのせてきた
 「貴方と 一緒にいると 新しい世界が 始まるような気がする・・・」
カノジョの一言を聞いた僕は 今のフレーズを どこかで聞いた気がした
 「Bonnie and Clyde ・・・俺たちに明日はないだったか・・・」
僕がぼそりと言うと
 「えっ?」
カノジョが 少しだけ眉間に谷間を作り 僕を見つめる
 「主人も同じことを言っていたわ・・・」
運転席に座るカノジョが 僕に口づけした

 「僕たちに 明日はない」 
でも 今このときだけ 僕たちは お互いが必要なんだ
その時 僕の携帯が鳴った 彼女からのメールだった
 
カノジョが再び 僕の肩に頭をよせる
 「あと 87回 鼓動が打つ間だけ このままでいさせて・・・」



それは Bonnie and Clyde が撃たれた弾の数・・・
携帯の電源を Offにすると 僕はカノジョ肩に手を廻した
ボニーとクライドと共に 短くも激動の時間を過ごした1934年型フォードV8は
ハートに傷を負った 二人を暖かく包み込んだ 
空には 伊予かんのような月が 優しく浮かんでいた

※1934年5月23日は ボニーとクライドが射殺された日でございます





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