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栗しぐれ ~ Galue ~ おくりびと ~

 21,2013 23:53
毎日 トマト畑の向こうにある 
Matuさんの家を訪ねるのが 曾祖母と 5歳の僕の日課だった

 「よくきたねぇ Taeさん Akiraくんも 大きくなってぇ」
毎日 会っているのだから それほど変化があるわけないのだが
その頃の僕は 
日々お兄さんになったねと言われているようで 
ふわふわと うれしさを感じていた

そんな Matuさんの隣には いつも 真っ赤なリボンに
真っ赤なほっぺたのAkariちゃんが座っていた
 「Matuさん 今日も元気だねぇ ほいでAkariちゃんは ますます綺麗になったねぇ」
僕の曾祖母も 毎日 同じ挨拶を繰り返えす
その向かいで Akariちゃんも 僕と同じように ふわふわしていた

縁側での日向ぼっこは 
熱くて渋い抹茶と
世界中で これほど甘いお菓子はないと 今も思っている”栗しぐれ”
一本の老桜を眺めながら 曾祖母たちの遠い記憶の旅話

カラスが山に帰るころ 隣の寺の鐘が一つ ここで決まってTaeばあ様が言う
 『私たち二人で ”たえ”と”まつ” 
  二人が揃うと 松明のように周りが明るくなるよと よく言われたのぉ』 
 『そうねぇ でもこれからは AkiraくんAkariちゃんの出番だねぇ
  二人が結婚すると そりゃ明るいだろうねぇ 
  あんたらの 結婚式が見たいねぇ』
と Matuさんが付け加える

すると Akariちゃんが続く
 「わたし Akiraくん だいーすき だから いつでも結婚式できるよ!」
二人のばあ様は 見つめ合って 大笑い そして
 「Akiraくんは どうなの?」
Matuさんが言う
僕は 顔を赤くして 栗しぐれを二つパクリ!
 「うれしい時は 栗しぐれをたくさん頬張るんよ・・・Hohohohoh]
曾祖母が言う
 「ばあちゃん 帰るよ!」
Dokadokaとした僕の一言でおしまい・・・これが僕たちの日常だった・・・

いつまでも続くと思われた 毎日の繰り返しは 突然終わりを告げるもの
父の転勤で 曽祖母を残し 僕の家族は この街を去ることなった
僕は Matuさんや Akariちゃんだけでなく Taeばあ様とも
しっかりと さよならを言えずに 街を離れた・・・

あれから20年・・・曾祖母も遠い昔に空へ帰っていた・・・


過去最速の桜前線が都心を通過した日 「おくりびと」を見た 
その夜 僕は不思議な夢を見た 

老桜の下に 明るい光が二つ よく見ると 二人のおばあ様が笑顔で立っている
 「桜を 見においで・・・」 そう言っている気がした

土曜の朝 僕は朝日が昇る前にガリューを駆って 都会から150km北にある 
懐かしい街に到着した
思い出の街は 朝露に日光が灯り ホロホロと輝いている 

街は 時間が止まっているかのように 当時の面影そのものだった
木製の電信柱に タバコ屋の看板 寺の梵鐘にトマト畑・・・
唯一 僕の感覚と違ったのは 
異国の地に向かう決心が必要なほど 広大だったトマト畑の道が 
わずか200mしかなかったことだ
僕は自分の世界観が変わったことに 
天空を孤独に飛ぶトンビのような寂しさを覚えた

!!

トマト畑の向こう側に ショートボブの女性が立っている
淡いピンク色のロングワンピースが風になびく
・・Akariちゃん??・・・

 「Akiraくんじゃない?」
声を出したのは カノジョが先だった

Galue

 「なんとなく あなたが いるような気がして・・・」
ガリューの助手席に座った彼女が言った
 「実は僕も・・・」

Matuさんと曾祖母は 共に今年で13回忌を迎える・・・
仲良し二人組は 新しい世界への出発も同じ年だった

 「Taeおばあ様とMatuおばあ様 いつも一緒だったわね そして・・・私たちも・・・」
カノジョは言った
 「そうだね・・・実は昨晩 僕は夢をみたんだ ばあ様たちが 桜を見においでって」
 「わたしも・・・」

どうやら 彼女との出会いは いたずら好きの ばあ様たちが計画したものらしい
僕とカノジョは 車の中で 笑った

 「あの時の 告白 覚えてる?」
カノジョが言った
僕は 鞄から 二つ 栗しぐれを取って口に放り込んだ

満開の老桜の下で カノジョの笑顔は ほんのりピンク色になった

~”おくりびと”で使われた「おくりぐるま」は 光岡ガリューの改造車・・・
ほんのり昔の記憶を呼び覚ます ノスタルジーを乗せた車だと思います~





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