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カイロのぬくもり ~ Outlander ~ Angel-A ~

 31,2013 23:22
神様の気まぐれか 突如降り始めた雪は
サラリーマンの願いも空しく 一向にやむ気配を見せなかった

~一時間前・・・~

”イベント会場まで 大至急カイロを持ってこい!”
ボリュームを最小にして 顔から離しても聞こえてくる 怒鳴り声  
いつものことだが カチンとくる・・・
『どんなことがあっても クライアントを一番に考えろ』
これが 上席の口癖だったが
それは 彼自身のクライアントだけを指すようだ
僕は お客様との約束を反故にして イベント会場に向かった 

そして・・・午前零時を待った今 僕はアウトランダーの前に立っていた
イベント会場までは ほど遠い 雪の積もった橋の上・・・
6B31 MIVECエンジンを積んだ4WDをもってしても
ノーマルタイヤでの 今日の雪道は 無理があった

Outlander

 「本当に俺は どこまでついてないんだ!」
僕は 愛車に向かってつぶやいた

優に20cmを超えた積雪で アウトランダーの脚は完全にスタック 
橋の頂点間近のところで 動かなくなった
慌ててJAFに連絡を取ると 到着には5.6時間かかるという
諦めて 上席へ連絡を試みようとすると 携帯は電池切れになっていた
近隣には 民家も見当たらない
ダメもとで 踏んだアクセルで テールが滑って のの字を書いた 
アウトランダーが 
Kusu! Kusu! 笑っていた 

 「笑うなよ!」
僕は アウトランダーに向かって 雪玉を投げつけようとした その時!

 ZudeeeeeeeeeeeeeeeeeeN!

革靴が雪で滑り 見事にひっくり返った

 Fufufufu・Ahahahahahaha・・・

!!

目の前に Marc by Marc Jacobsの黒いフェイクファーコートを着た
女性が 立っていた
 「人の不幸で高笑いとは 失礼だな!」
そう言いながらも
アウトランダーのボディに浮かぶ自分を見て 僕もプッと吹いた

カノジョを車内に案内した僕は 先刻から気になっている質問を投げかけた
 「こんなところで 何をしてたの?」

するとカノジョは うつむき加減になって言った
 「わたし 死のうと思ってたの・・・」
!!
女性一人で設計会社を切り盛りしているカノジョは
情に流され クライアントから正規の報酬を受けられずに 多額の借金を抱えていた 
 「でも 私よりついてない人を見つけた・・・
  だから 私! 死ぬのはやめたわ!」
カノジョの心変わりにホッとしたが
僕は 自分の存在価値が 悲しい位置付けであることを 
改めて確認した・・・ 

 「寒くてごめんね・・・」
僕はカノジョに謝った
アウトランダーの燃料は 底をついており 
いつ救助が来るのかわからない状況では エンジンは停止せざるを得なかった
するとカノジョが言った
 「この真冬に 海に飛び込もうと思ったのだから 平気よ!」
しかし カノジョの体は 間違いなく冷え切っていた

悩んだ僕は ふと後部座席に目をやった
!!
 そこには使い捨てカイロが山のようにあった
 「・・・まあいいか」

僕とカノジョとアウトランダーは
100個の使い捨てカイロのおかげで 暖かい一夜を過ごした

翌朝 JAFに救助された僕は 
カノジョを Stationまで送った
もう二度と会えないだろう
そう思うと 別れたくなかった
しかし いつもの臆病で ツキのない僕は 何も言えなかった

Chu! 
突然 カノジョが僕の頬にキスをした 
そして 車を降りると 足早に改札へ向かった

カノジョの背中は 
再び降り始めた 雪が舞いあがり 大きな羽を広げているように見えた 
アンジェラ・・・



夢を見ているようだった

♪♪!

突然 充電中の携帯が鳴った
上席からだった・・・
 「お前何やってたんだ! 使えないやつが!」
いつもの怒鳴り声だ

いつも通り 謝ろうとしたとき 
助手席に カノジョの携帯を見つけた
・・・また カノジョに会える 天使に アンジェラに・・・

叫び続ける携帯電話を 僕は無言でOFFにした

たばこを 再生してはくれないが
間違いなく カノジョは 僕を再生してくれた

僕には天使が付いている 
雪が舞う空を見上げた僕は
はじめて 本気で自分を信じることができた






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