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黄色いマフラー ~ GLK ~ Cyborg009 ~

 24,2013 23:52
メルセデスの中では コンパクトSUVになるらしいGLKは
精悍な外観からは想像できないほど マイルドな一面を感じさせる
震災の爪痕が随所にのこるアスファルトの道を 
ギャルソンの如く しなやかに巡航した

GLK

 「可愛らしい装いに 巨大な火力を秘めるドルフィン号とは 正反対だな・・・」
ステアリングを撫でながら 独り言をつぶやいていると 市制看板が目に入った

~石巻市~

僕は目的の地に入った 大震災で壊滅した街 僕が生まれ育った街・・・

児童養護施設で育った僕には 8人の仲間がいた
どんな苦難も 助け合い乗り越えてきた僕たちは 
家族のような絆を感じていた
しかし それは 高校卒業と同時に終了する期限付きの絆だった
最後の日 僕らは 再開できる日を夢見て
おそろいの黄色いマフラーを手に 全国に散った
僕は二度目の家族を失った・・・

上京した僕は 自動車整備工場に勤めた
汗と油にまみれた仕事は 一人ぼっちの淋しさを
感じる時間もないほど忙しかった
やがて訪れる別れを もう二度と味わいたくない僕には
そんな環境が とても居心地がよかった 
そして僕は 語らぬ ワーキングロボットになった

オートメーションのような生活が 
毎日繰り返されてきた12年目のある日 1通の手紙が届いた
 送り先に007と書かれた手紙には「003が結婚するらしい」とだけ書かれていた 

 「Naoが 結婚!!」
僕は思わず 叫んだ!
初めて 僕の声を聴いた同僚が 目を丸くした

その夜 僕は工場長に呼び出された
 「お前にあいつを貸してやるから 行って来い!」
工場長が僕に渡したのは GLKのキーだった
 「カノジョに会ってこい!」
!!
僕は深く頭を下げて 工場を飛び出した 後ろで工場長が叫ぶ
 「汚れた作業服で乗るなよ!」・・・
しかし 僕には なにも聴こえなかった・・・
思いは故郷に飛んでいた 

GLKは もえぎ色の建物前に停止した
児童養護施設は 僕のいたころとは全く違う建物になっていた
しかし 施設の子供たちは あのころの自分と同じ香りがした
一人の男の子が GLKを指さした
 「カッコイイ! ベンツだー!」
その子の指先を見るように 隣にいた赤いセーターの女性が振り向いた
 「・・・Jaw?」
Naoとの12年ぶりの再会だった

 「どうして もっと早く連絡してくれなかったんだ・・・」
僕は言った
 「震災で 何もかも流されてしまったの・・・」
そうだったのか・・・
 「こんなこと言うべきじゃないんだけど・・・ よくわかっているんだけど・・・
  でも 言わせてほしい 僕は 君と結婚したかった」
僕を見つめ返す カノジョは
 「プロポーズに加速装置は使わないで・・・
  12年ぶりの再開から 5分もたってないわ・・・」
と言った後 とび色の瞳を大きく見開いて続けた
 「私も結婚したいです」

!? 何か会話がかみ合っていない・・・
僕はそんな違和感を感じた すると
 「やっと 言ったな」
建物の後ろから 7人の仲間たちが現れた
 「お前たち・・・どうして」
先頭に立つJun(002)が言った
 「003(Nao)の結婚相手は お前だよ!」
 「12年も待たせるなんて ひどいぞ!」
あの頃よりさらに太った006(Chinpei)が言った



勇気のない僕と いつまでも待ち続けるカノジョ 
二人の仲を心配した皆が 仕組んだようだ
僕らは まんまと彼らの罠にはまった 心が熱くなるトラップに

石巻は 石ノ森章太郎生誕の街 そしてサイボーグ戦士の街
今日 1月25日は 石ノ森章太郎の誕生日だった

009のニックネームで呼ばれていた僕は 
12年ぶりに再会した00ナンバーの友人に感謝した
離れていても 僕らはサイボーグ戦士のように深い絆で 結ばれていた
9人の黄色いマフラーが 風になびいていた









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