パンダの贈り物 ~ Panda ~ チャーリーとチョコレート工場 ~
27,2012 23:59
Cinema bar Casablancaの客席には9本の柱がある
No5と定義づけられた柱に貼られているのは
Charlie and the Chocolate Factoryのポスター
普段は僕の定位置を
今晩は 黒縁の眼鏡に漆黒のストレートヘアの女性が占有していた
右手に持った パンダのキーホルダーを見つめるカノジョは
だれも寄せ付けない そんなオーラを纏っていた
「パンダが白黒なのは白銀の世界では、保護色になるからなんだ」
僕はカノジョのシールドを掻い潜り 横に座った
「そのおかげで パンダは人寄せの道具となって 自由を失ったわ
ある意味では大自然の驚異から逃れることで 絶対的な安全を手に入れたけど・・・
私と同じ・・・」
相変わらず微笑みを浮かべているが
その瞳に生者としての灯火を感じることはできなかった
「自由の無い世界から 降りようというのかい?」
僕は言った
「その考え方は 悪いことかしら・・・」
ためらいもなく カノジョが返した
悪くはない でも・・・
僕は目の前のポスターを見ながら カノジョに言った
「ウィリー・ウォンカは 家族と別れてでも
自分の夢だった チョコレート工場を作り大金持ちになった 夢を実現したんだ
でも ウォンカは一人ぼっちだった
夢を叶えてしまった彼は 自分の思い通りにならないことは何もないと思うようになった
自己中心の人間になってしまったんだ 自由の生活って ホントに幸せなのかな」
カノジョがメガネを外した
視線が交錯する どこかで見た顔だった・・・
「それじゃ あなたは これからも私が
人寄せパンダでいればいいというのね!
自分の生き方も自分で決められない そんな人生を永遠につづけろと!」
!!
「場所を変えよう!」
僕は シンデレラ(ノンアルコールカクテル)を一気に飲み干すと
カノジョの手を引いた
そして駐車場に止めていた Fiatパンダの助手席に放り投げた
並行輸入で手に入れた0.9リッターツインエアターボエンジンが軽快に唸る
日本では希少なボディは まさにジャイアントパンダそのものだ
第三世代のパンダは
欧州カーオブザイヤーを獲得した初代の血を引く生粋の運動性能を踏襲していた
狭路が続く下街を
NFLのワイドレシーバーの如く カツカツと直角に曲がる
その姿は動物園で寝ころぶパンダではなく 野生の熊猫であった
助手席のカノジョは・・・何度となく悲鳴をあげた

Zaaaaakieeeeeeeeeeeee!
急ブレーキで停止! そしてパンダはいつもの愛らしい姿に戻った
「どうしてこんなことをするの! 危ないじゃない!」
カノジョが僕を睨みつけた
「舞台(世界)を降りようとする人間が なにを怖がるんだい?」
僕が言うと カノジョは ハッと顔を伏せた
「チャーリーがチョコレート工場を見学したことで 多くの人が救われた
チョコレート工場には そんな秘密の力があるんだ」
僕は パンダのウィンドウを全開した
甘いチョコレートの香りが車中に充満する
「目の前は チョコレート工場なんだ」
カノジョは 甘い香りを 胸いっぱいに吸い込んだ
そして 僕に向かって ニッコリと微笑んだ
「ありがとう パンダ君!・・・」
毎朝 僕は地元ローカル局の情報番組で目を覚ます
「みなさん おはようございます!」
いつになく 女性キャスターの声が弾んでいるように感じ
僕はテレビ画面を見た
!!
カノジョだった
「Akiちゃん 今日は元気だね」
元サッカー選手男性の司会者が言った
するとカノジョは パンダのキーホルダーを右手で掲げながら言った
「はい! 今日から私は元気いっぱいです!
その秘訣は 朝一番に飲むホットチョコレートとパンダ君です」
カノジョの瞳には 確かに灯りがともっていた
No5と定義づけられた柱に貼られているのは
Charlie and the Chocolate Factoryのポスター
普段は僕の定位置を
今晩は 黒縁の眼鏡に漆黒のストレートヘアの女性が占有していた
右手に持った パンダのキーホルダーを見つめるカノジョは
だれも寄せ付けない そんなオーラを纏っていた
「パンダが白黒なのは白銀の世界では、保護色になるからなんだ」
僕はカノジョのシールドを掻い潜り 横に座った
「そのおかげで パンダは人寄せの道具となって 自由を失ったわ
ある意味では大自然の驚異から逃れることで 絶対的な安全を手に入れたけど・・・
私と同じ・・・」
相変わらず微笑みを浮かべているが
その瞳に生者としての灯火を感じることはできなかった
「自由の無い世界から 降りようというのかい?」
僕は言った
「その考え方は 悪いことかしら・・・」
ためらいもなく カノジョが返した
悪くはない でも・・・
僕は目の前のポスターを見ながら カノジョに言った
「ウィリー・ウォンカは 家族と別れてでも
自分の夢だった チョコレート工場を作り大金持ちになった 夢を実現したんだ
でも ウォンカは一人ぼっちだった
夢を叶えてしまった彼は 自分の思い通りにならないことは何もないと思うようになった
自己中心の人間になってしまったんだ 自由の生活って ホントに幸せなのかな」
カノジョがメガネを外した
視線が交錯する どこかで見た顔だった・・・
「それじゃ あなたは これからも私が
人寄せパンダでいればいいというのね!
自分の生き方も自分で決められない そんな人生を永遠につづけろと!」
!!
「場所を変えよう!」
僕は シンデレラ(ノンアルコールカクテル)を一気に飲み干すと
カノジョの手を引いた
そして駐車場に止めていた Fiatパンダの助手席に放り投げた
並行輸入で手に入れた0.9リッターツインエアターボエンジンが軽快に唸る
日本では希少なボディは まさにジャイアントパンダそのものだ
第三世代のパンダは
欧州カーオブザイヤーを獲得した初代の血を引く生粋の運動性能を踏襲していた
狭路が続く下街を
NFLのワイドレシーバーの如く カツカツと直角に曲がる
その姿は動物園で寝ころぶパンダではなく 野生の熊猫であった
助手席のカノジョは・・・何度となく悲鳴をあげた

Zaaaaakieeeeeeeeeeeee!
急ブレーキで停止! そしてパンダはいつもの愛らしい姿に戻った
「どうしてこんなことをするの! 危ないじゃない!」
カノジョが僕を睨みつけた
「舞台(世界)を降りようとする人間が なにを怖がるんだい?」
僕が言うと カノジョは ハッと顔を伏せた
「チャーリーがチョコレート工場を見学したことで 多くの人が救われた
チョコレート工場には そんな秘密の力があるんだ」
僕は パンダのウィンドウを全開した
甘いチョコレートの香りが車中に充満する
「目の前は チョコレート工場なんだ」
カノジョは 甘い香りを 胸いっぱいに吸い込んだ
そして 僕に向かって ニッコリと微笑んだ
「ありがとう パンダ君!・・・」
毎朝 僕は地元ローカル局の情報番組で目を覚ます
「みなさん おはようございます!」
いつになく 女性キャスターの声が弾んでいるように感じ
僕はテレビ画面を見た
!!
カノジョだった
「Akiちゃん 今日は元気だね」
元サッカー選手男性の司会者が言った
するとカノジョは パンダのキーホルダーを右手で掲げながら言った
「はい! 今日から私は元気いっぱいです!
その秘訣は 朝一番に飲むホットチョコレートとパンダ君です」
カノジョの瞳には 確かに灯りがともっていた
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