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ライオンの夢 ~ 406 ~ 素晴らしき哉人生 ~

 20,2012 23:59
会社までの道のりを 毎日60分間かけて自転車通勤
愛車のPeugeot406は『今日もおいてくの』と
ツンと切れ上がったネコ目(ヘッドランプ)で 僕を見ている
 「ごめん あともう少し 辛抱してくれ!」
そんな思いでボディを撫でた

Peugeot406

大地震の影響で会社が倒産し 僕の人生は大きく傾いた
カノジョとの結婚も 蜃気楼のように消えた
生活力の無い男に 自分の娘を嫁がすわけにはいかないと
カノジョの両親は主張した
だれが反論できようか・・・
 「いつか 迎えに来てくれるよね・・・」
というカノジョの言葉も 重たかった

「僕は生まれてくるべきではなかった・・・」
橋の真ん中に406を止めて 欄干に手をかけた僕は
運河に飛び込もうと思った

 Faaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaan!!

顔中が真っ白な髪と髭で覆われた紳士が 406のホーンを鳴らした
僕が 何かを言おうとしたとき 老紳士はふわりと消え 次の瞬間 
携帯が鳴った

昔の取引先からだった
 「Kenjiさんには 仕事で助けてもらったから
  うちで働かない?・・・」
やれやれ・・・
どうやら まだ僕には生きる理由があるらしい・・・
収入は半分になり ドライブする機会も少なくなったが 
406は僕のそばに居続けた 

自宅から会社までは 湾岸沿いの道を進む
406でドライブしていたころは 坂道ゼロの平坦な土地だと思っていた
ところが 自転車に乗って初めて気が付いた
運河にかかる12の橋たちは 心臓破りの坂だった
僕のハートとふとももは 毎日BIKIBIKI悲鳴を上げた

4つ目の橋を過ぎたところに
茶色と白が特徴的なハーフティンバー様式のパン屋がある

僕は毎朝 この店でフレンチトーストを買う
「おはよう!」
カノジョの笑みは ぽかぽかした陽だまりを感じさせた
JINSのメタルフレームにマロン色のミディアムウェーブを
キャップに押し込めた店員は 1年前のフィアンセだ

僕とカノジョとは フレンチトーストの厚みだけで繋がっていた・・・ 
 
 「やぁ~・・・どうもです」
僕の 力の無い返事に
 「そんなことじゃサンタが来ないぞ!
  Kenjiクンのところに来ないということは・・・
  私にも来ないってことになるじゃない!!」
とカノジョは頬を膨らませた

僕は未だ カノジョを迎えにいくことがでなかった
仕方がないことだ 
僕には財力が無いのだから・・・
パン屋を出ると 
僕は 思い切り真っ白な ため息をついた
Haaaaaaaaaaaaa

その夜 
406のホーンが あの日のように鳴った
僕は 慌ててガレージに向かった
するとそこには サンタクロースの衣装を纏った
あの白髪の紳士がいた

東京タワーにハートマークが点灯するころ 降り始めた雪は
大都会を銀世界に変えた
僕は406を駆って 老人を4つ目橋まで連れて行った
老人は 欄干の雪を見ながら言った
 「ジョージ・ベイリー(James Stewart)に比べたら
  君は幸せ者だよ だから早くカノジョにも幸せを分けてあげなさい」



僕はカノジョの携帯に連絡した
 「やっと 連絡がきた・・・うれしいわ」
電話の向こうでカノジョの涙声が聞こえた

僕がカノジョと話し合っていると
老紳士の姿はゆっくりと 消え始めた
そこにはPeugeotのシンボル ベルフォールのライオンがあった






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