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One Shot ~ Stagea ~ ディアハンター ~

 16,2012 00:15
  「お前には 大学時代 貸しがあったな」
久しぶりの秋晴れに 小さな幸せを感じていた僕の額は
携帯から聞こえてきた アイツの常套句によって
真っ青な空の色以上に ブルーに染まった 

学生時代 アイツが僕の代返をした回数3回 それを指しているのだ
 「俺様の代返無くして 君は大学を 卒業できただろうか?!」
そう うそぶくアイツの言動に
 『できた 十分にできた 寧ろ お前の方が単位不足で危なかっただろう・・・
  そもそも こちらから代返してくれなどと言った覚えは無い』
僕の右脳が直感的に 異議を訴えた・・・心の中で・・・

 「合コンメンバーが足りないんだ・・・
  でも喜べ! お前を合コンメンバーに入れてやる!」
!!
 『お願いなのか 命令なのか わからないが要は人数合わせということか・・・』
今度は 論理的思考の中で左脳が反応したが 
異議を唱えても同じこと 僕には了解する選択肢しか残っていない

 「それじゃぁよろしく! あーそうだ お前は車を出せ!」
!!
 『合コンで車? お酒は・・・』
と言う疑問が浮かんだ刹那 アイツが畳みかける
 「今回は紅葉狩りがテーマなんだ だから箱根に行く!
  お前の車は 紅葉の中を走らせたら日本一なのだろう?!」
僕は昔 アイツにStageaについて語ったことを後悔した・・・



Keiko LeeのWe Will Rock Youに酔いしれて衝動買いしたStageaは
スカイラインの血統を引く羊の皮をかぶった狼
大胆かつ優雅な走りは 峠のワインディングも 面白いように駆け抜ける
運転の楽しさを教えてくれた僕の愛車だ
久しぶりの箱根は とても魅力的だ 
しかし 女性はカノジョと呼べる人以外 乗せたくなかった・・・

 「女は乗せない そんなこと言うなよ!俺のカノジョもいるんだから! 
  それじゃ ヨロシク!」

結局 アイツは 僕の意志を何も確認せず 電話を切った
しかし これもいつものことだが 
僕には一言も 話す機会を与えないのに 僕の思考とアイツとは 
しっかり会話が成立してしまう・・・ 
まぁ 僕が一方的に振り廻されているだけなのだが

ふと 学生時代の記憶が呼び覚まされる・・・
教授の自動車通勤に対して異議を唱えた「言語学パーキング事件」
学食のメニューにかみついた 「メロンパン・コンセプト事件」
いつも アイツの首謀で何かが起きていた 
そして首謀者枠には なぜか僕の名も加わっていた
 
僕の大学生活は
ベーカー街221bの狂人につき合わされた しがない従軍医師のように
非日常の世界だった 
就職活動への影響にビクビクしていた日々 
今思えば 面白い経験ではあったが・・・

週末は いつにもまして 空が高かった
待合の場所に車を止めると 既にアイツと二人の女の子がいた
一人は もちろんアイツの彼女
目のやり場に困るようなボディラインのはっきりした 紅赤のニットワンピース
 「Ken くーん 久しぶりー」
アイツと付き合っているからか 彼女の雰囲気も少し鼻につく
だいたい 同い年なのだから 
僕のことを子供扱いするような 呼び方はやめてもらいたい
まぁ それも いつものことだからと あきらめムードで
ふと 彼女の横に立つ女性を見た
Stagea

顔を下げていて控えめな女性だった
なんとなく自分と同じ空気を感じた僕は この子なら今日一日 何とかなるだろうと思った
その時 カノジョの左手薬指がきらりと光った 
・・・!!
それは紛れもなく あの指輪だった ということは・・・

Bachhhhhhhhhhhhhhhhn!!

 「気づくのが遅い!」
思考停止に陥る寸前 アイツが 思いっきり僕の背中を叩いた
 「Yuriちゃんだよ! お前の大切な人だろうが!」
そうだ・・・でもどうして・・・

Yuriは 大学3年の夏 アメリカに渡った アメリカ人と結婚するために 
僕は必死に彼女を呼び止めた 
君が必要だ 行かないでくれ 僕と一緒にいてくれと 
今思えば 自分勝手な女々しい言い分だった
そんなことが起きるまで 
僕はカノジョがいつまでも 僕の隣にいてくれるものだと信じていた
だから カノジョに対して 本気のプロポーズをしたことがなかった
それが カノジョの心を空洞化させてしまってたのだろう・・・

自己中心の言葉は 彼女を呼び止める楔にはならなかった
そして彼女は 日本を発った
それから3日間 僕は学校を休んだ アイツが代返したのは その時だった・・・
4日目 アイツが僕に言った
 「カノジョは間違いなくお前のことが好きだったよ」
それがせめてもの救いだった

そのカノジョが 今 僕の目の前にいる
 「Kenクン 私・・・ もう一度あなたと一緒にいてもいいかな」 
うれしかった・・・
しかし あの時と同じようにカノジョを愛することができるか 少し不安がよぎる・・・
僕の頭は 不要なレジストリが溜まりすぎて 思考回路がショートしかけた


 「Ken! One shot!」
One shot・・・ ディアハンターだ
大学時代アイツの部屋で友情について語り会い 
一緒に泣期ながら見たあの映画・・・
ニック(Christopher Walken)が 思考回路を閉ざして 
危険なロシアンルーレットの世界で生きている
そんな彼を救おうと マイケル(Robert De Niro)が彼に語る 
切り札の一言は "One shot"(一発必中) 
その言葉で ニックが自分を取り戻した・・・ 勇気と友情の言葉!
そうだ One shotだ・・・

僕のハートに ディアハンターのテーマ曲が流れた
真っ赤なモミジの葉がふわりと落ちる 
その向こうで 次の僕の一言を憂懼するカノジョの瞳は 
森林の中で優雅に佇む シカの透き通った瞳を思わせた
 「お帰り Yuri ずっとスキだった これからも・・・」
僕は 精一杯の気持ちを込めたOne shotを放った 
カノジョは満面の笑みを返した

 「Takashi ありがとう」
僕は アイツに向かって礼を言った

 「Kenの生声 久しぶりに聞いたよ」
モミジたちが 笑った








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