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落葉の中で ~ C4-Picasso ~ ライアンの娘 ~

 25,2012 23:43
黄色い蝶のようにひらひらと銀杏の葉が落ちる
 「来る・・・」
絵画館をぼんやりと眺めていると もう1枚
 「来ない・・・」
C4-Picassoのガラスルーフには 早くも落ち葉が積もり始めている・・・

C4-PICASSO

生き生きした新緑の銀杏の下で 僕はカノジョと出会った
光合成によって生成された高濃度の酸素に影響されたのか 
いつもより積極的になった僕は
キャンバスに なぜか黄色い葉をつけた銀杏を描く カノジョに声をかけた
 「ちょっといいかな・・・」
 「銀杏が一番輝いているのは黄色く紅葉したときだから」
カノジョは 僕の言葉を遮り 機械的に答えた
黄色い銀杏に関するQuestionが カノジョに何回も投げかけられてきたのだろう
しかし 僕が聞きたかったのは そんなことではなかった・・・
 「いやいや そんなことより 君がどうして
  そんなに淋しい思いをしているのか知りたかったのさ」
!!
キャンバスから目を離すことのなかったカノジョが 
”どういうこと”という不思議そうな顔を僕に向けた

 「緑は人に安らぎを与える。これだけの深緑を前にしたら 
  心が安定している人の絵ならば まず緑を基本に構成するだろう
  しかし君は黄色を選んだ 救援を求める色さ
  君は 知らず知らずに だれかに助けを求めていたのさ」
  
カノジョの瞳から 突然涙がこぼれた
それは ロージー・ライアン(Sarah Miles)を彷彿させた・・・


ロイヤルガーデンカフェでサンドイッチとコーヒーをゲットした僕は
駐車していたC4-Picassoにカノジョを迎え入れた

カノジョには家庭があった
結婚して5年を経過しているらしいが 夫の気持ちが理解できないという
それは どこの家も同じさ・・・この世界が続く限リ誰も理解などできない
僕は首を横に振りながら やれやれ といった表情でカノジョに言った
 「たとえば こいつ(C4-Picasso)の 
  フロントガラスが前席の上部まで伸びるガラスルーフ
  直下で見るスカイツリーだって 窓を開けなくても全景が飛び込んでくる
  それを最高だと思う男がいれば 
  どうしても日焼けが避けられないと嫌な車と嘆くのが女」
自分の別れた妻のことだとは・・・ここでは述べまい・・・

カノジョはくすりと笑った
そして 貴方みたいな人好きよ と僕の頬に軽くキスをした
久しぶりに 感じたドキンだった

それから僕達は 何度か銀杏並木で出会った
お互いが誰であるかは知らないまま 偶然に出会ったときだけ 
C4-Picassoで都内を走り 別れ際にキスをする それだけの関係・・・

遅い秋が訪れた頃 カノジョは もう逢えないと言った
絵が完成したから ここに来ることはないと・・・ 
カノジョには家庭がある どうしようもないことだった
しかし 僕の中でカノジョの存在は思った以上に大きくなっていた
 「この銀杏並木が 君の描いたとおりになった時 もう一度だけ逢いたい」
僕が言うと カノジョは西風のように清々し笑顔を見せた

今日の風景は 間違いなくあの情景だった 
カノジョは来てくれるだろうか・・・
あと5分で 15:00・・・
その時 こいつ(C4-Picasso)の天井に落ちた銀杏の葉が 奇数ならカノジョは来る 
そう念じて 僕は落ちてくる銀杏の葉を見守った

PIPIPIPI・・・

アラームと同時に枚数を数える・・・20枚・・・偶数だった・・・

単なる遊び出会ったが 僕には十分だった
もうここには来るまい そう誓うとC4-Picassoのエンジンを始動させた
そのとき・・・
 
車の目の前に 銀杏の葉のように黄色いスカートを履いた小さな女の子が飛び出してきた
思わず車から出た僕は 女の子に近づいた

 「こんにちは」
女の子が 一枚の絵を差し出した
 「これどうぞ・・・」
それは カノジョの絵だった
ただ あの頃の絵は 黄色い銀杏並木だけが続く物哀しい風景画だったが
今僕の前にある絵には 人の姿が追加されていた
それは間違いなく あの日の僕とカノジョだった・・・

小走りに去っていく少女の後ろ姿 その先に「ライアンの娘」が立っていた

僕は C4-Picassoのエンジンを回すと 直線の道を一気に加速した
地上に落ちた無数の黄色い落ち葉が もう一度 命を与えられたように 
優雅に舞い踊っていた






 

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