Kiss in the dark ~ DB5 ~ 007 ロシアより愛をこめて ~
11,2012 23:12
”Kiss in the dark”を 2度オーダーする男は信用できない
Cinema bar Casablancaに通い続けて 学んだ法則・・・
ひと月前から 僕がお気に入りの席
007 ロシアより愛をこめてのポスターを目の前にできる
カウンターを独占している男は その法則に適合していた
ヘリンボーン柄の ツィードスーツを着た男は
スパークリングルビーのルージュをひいた どちらかというと
街に埋没してしまいそうな女を
いつも自分の左側に座らせていた
グラスの底へ向かうほど 限りなく漆黒に近づく液体が
女の唇を濡らしながら 吸い込まれていく様を
男は 自らの口元を人差し指でなぞりながら 眺めている
2杯目のKiss in the darkを手にするとき
女は 左目を幾分細めた視線を ゆるりと右側に流す・・・
その瞬間が 男にとって至高のひと時のようだ
そして 女が男の耳に一言 囁く・・・
すると男は誕生日プレゼントを渡された子供の様に 饒舌になった
やがて 2杯目のグラスをあけた女は 男に向かってふわりと揺らぐ
そっと女の肩に手を回す男・・・と その時・・・
♪♪・・・男の携帯電話が鳴る
目の前で ゴールデンチョコレートが売り切れてしまったかのように
悔しそうな顔を見せる男は 一言彼女に声をかけ 店を後にする・・・
この光景を 僕は3度目撃した
オルゴールのように同じ情景の繰り返し・・・
「大丈夫かい・・・?」
4回目にして 初めて僕はカノジョに声をかけた
「えぇ ありがとう・・・」
そう言いながら 僕を見るカノジョは
先ほどまでの 存在感の無い女とは違った生き物になっていた
燃え上がるような情熱的な瞳に
僕は ソビエト情報局員のタチアナ・ロマノヴァ(Daniela Bianchi)が重なった
一瞬で心を奪われた僕は 熱情の赴くままカノジョを誘った
まだアルコールを口にしていなかった僕は
ジェームズボンドが愛用した ASTON MARTIN DG5に
彼女を乗せると 湾岸道を南に向けて走った

「この車 ナンバープレートが変わったり マシンガンが付いてるんでしょう?」
どうやらカノジョは 007に精通しているらしい
それならばと 僕は007のテーマを流しながら言った
「それは シークレットさ! 僕の生業にもかかわる問題だから・・・」
「秘密主義なのね・・・」
妖艶なほほ笑みを浮かべるカノジョが言った
僕たちは 最上階に女神像が立つシーサイドホテルにチェックインした
真っ暗な海の向こうに 東京の夜景が望みながら
「あなたは いつも私を見ていたわね そしていつも私を助けようとしていた・・・」
とカノジョが呟いた
!!
どうやらカノジョは 流れる瞳の中で 僕のことを観察していたようだ
「君を見ていると 危険な香りがしたんだ・・・」
フロントにオーダーしたヴェスパーマティーニで 僕たちは改めて乾杯した
「007に乾杯・・・」
いつもは こんな軽薄な行動をとることはない・・・
でも今日の僕は 完全にカノジョのペースにはまっていた
ジンがハートを そしてウォッカが体を焦がした
「あなたを見た時から 私・・・」
カノジョの口元に人差し指をあてる・・・
それ以上 言葉はいらない・・・
僕も同じ思いだから・・・そして 僕たちは 女神が嫉妬するほど熱い一夜を過ごした・・・
朝日が僕の顔を照らし始めたとき 既にカノジョの姿はなかった
昨夜の出来事は 全て夢のように思えた
!
何気なくつけたテレビの中に
ツイードスーツの男が映っていた
そして男の後ろには・・・カノジョがいた・・・
男は 横領罪で捕まった公務員だった
どうやらカノジョは特別捜査官のようだ・・・
刹那 僕はテーブルの上に置かれたメモに気づいた
「女には 謎が多いものよ・・・ボンド君・・・」
「ジェームス・ボンドも 一度は女性に弱みを見せる・・・
今度会うときは 必ず君を手に入れるさ・・・
スカイフォールが 僕達の始まりだ」
窓の外に広がる秋の青空を眺めながら 僕はそう呟いた
Cinema bar Casablancaに通い続けて 学んだ法則・・・
ひと月前から 僕がお気に入りの席
007 ロシアより愛をこめてのポスターを目の前にできる
カウンターを独占している男は その法則に適合していた
ヘリンボーン柄の ツィードスーツを着た男は
スパークリングルビーのルージュをひいた どちらかというと
街に埋没してしまいそうな女を
いつも自分の左側に座らせていた
グラスの底へ向かうほど 限りなく漆黒に近づく液体が
女の唇を濡らしながら 吸い込まれていく様を
男は 自らの口元を人差し指でなぞりながら 眺めている
2杯目のKiss in the darkを手にするとき
女は 左目を幾分細めた視線を ゆるりと右側に流す・・・
その瞬間が 男にとって至高のひと時のようだ
そして 女が男の耳に一言 囁く・・・
すると男は誕生日プレゼントを渡された子供の様に 饒舌になった
やがて 2杯目のグラスをあけた女は 男に向かってふわりと揺らぐ
そっと女の肩に手を回す男・・・と その時・・・
♪♪・・・男の携帯電話が鳴る
目の前で ゴールデンチョコレートが売り切れてしまったかのように
悔しそうな顔を見せる男は 一言彼女に声をかけ 店を後にする・・・
この光景を 僕は3度目撃した
オルゴールのように同じ情景の繰り返し・・・
「大丈夫かい・・・?」
4回目にして 初めて僕はカノジョに声をかけた
「えぇ ありがとう・・・」
そう言いながら 僕を見るカノジョは
先ほどまでの 存在感の無い女とは違った生き物になっていた
燃え上がるような情熱的な瞳に
僕は ソビエト情報局員のタチアナ・ロマノヴァ(Daniela Bianchi)が重なった
一瞬で心を奪われた僕は 熱情の赴くままカノジョを誘った
まだアルコールを口にしていなかった僕は
ジェームズボンドが愛用した ASTON MARTIN DG5に
彼女を乗せると 湾岸道を南に向けて走った

「この車 ナンバープレートが変わったり マシンガンが付いてるんでしょう?」
どうやらカノジョは 007に精通しているらしい
それならばと 僕は007のテーマを流しながら言った
「それは シークレットさ! 僕の生業にもかかわる問題だから・・・」
「秘密主義なのね・・・」
妖艶なほほ笑みを浮かべるカノジョが言った
僕たちは 最上階に女神像が立つシーサイドホテルにチェックインした
真っ暗な海の向こうに 東京の夜景が望みながら
「あなたは いつも私を見ていたわね そしていつも私を助けようとしていた・・・」
とカノジョが呟いた
!!
どうやらカノジョは 流れる瞳の中で 僕のことを観察していたようだ
「君を見ていると 危険な香りがしたんだ・・・」
フロントにオーダーしたヴェスパーマティーニで 僕たちは改めて乾杯した
「007に乾杯・・・」
いつもは こんな軽薄な行動をとることはない・・・
でも今日の僕は 完全にカノジョのペースにはまっていた
ジンがハートを そしてウォッカが体を焦がした
「あなたを見た時から 私・・・」
カノジョの口元に人差し指をあてる・・・
それ以上 言葉はいらない・・・
僕も同じ思いだから・・・そして 僕たちは 女神が嫉妬するほど熱い一夜を過ごした・・・
朝日が僕の顔を照らし始めたとき 既にカノジョの姿はなかった
昨夜の出来事は 全て夢のように思えた
!
何気なくつけたテレビの中に
ツイードスーツの男が映っていた
そして男の後ろには・・・カノジョがいた・・・
男は 横領罪で捕まった公務員だった
どうやらカノジョは特別捜査官のようだ・・・
刹那 僕はテーブルの上に置かれたメモに気づいた
「女には 謎が多いものよ・・・ボンド君・・・」
「ジェームス・ボンドも 一度は女性に弱みを見せる・・・
今度会うときは 必ず君を手に入れるさ・・・
スカイフォールが 僕達の始まりだ」
窓の外に広がる秋の青空を眺めながら 僕はそう呟いた
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