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凍った涙 ~ 356 Speed Star ~ Top Gun ~

 23,2012 23:31
大磯海岸から早川までの 15kmに渡る一直線の道は
ポルシェ356スピードスターに オープンで乗る僕を
マーベリック(Tom Cruise)に変える

左に広がる太平洋からの海風と 
Danger Zone(Kenny Loggins)に合わせて
軽快に踏み込まれたアクセルに反応する フラット4が引き起こす 
ハリケーンのような旋風は 356をF14戦闘機に 昇華させた


 「君と結婚することはできない・・・」
一年前の僕は 人間界でも極寒の部類に入る言葉を カノジョに放った
 「どうして・・・」
縋り付くような瞳で僕を見つめるカノジョは 続く言葉を見失っていた 
そして 愛情たっぷりの潤む瞳も 心和ませてくれる声が生まれる口元も 
ゆっくりと凍りついていった・・・カノジョはアイスマンになった・・・

社長令嬢のカノジョと サラリーマンの息子の僕・・・
 「身分の違う二人が一緒になれるのは おとぎ話の仲だけだ 
  現実世界では 単なる悲劇を生むだけだ
  愛情が全てに勝るなんてことは 幻想でしかない
  賢い君ならばわかるだろう・・・娘の為にも身を引いてくれ・・・」
あの日 カノジョの父親が 僕にそっと伝えた言葉だった

ガラスの床を舞台にした 僕とカノジョの世界は 簡単に砕け散り 
僕は別世界へ落ちた 
カノジョの瞳は最後まで 何かを伝えようとしていた 
しかし僕の放った一言が 全てを閉ざした

箱根と熱海の分岐点を超えると 
パスタの様に 複雑に入り組んだハイウェイが 
僕と356の進む 直進コースに絡まってくる 
海の幸をふんだんに使ったバジリコクリームソースのフェットチーネが 頭に浮かんだ
・・・それは カノジョのお気に入りだった

三日前 カノジョが結婚することを知った
相手は大手企業の子息だった
誰が聞いても 現実世界の カノジョに相応しい相手だった・・・
 「それでいいのか!」
目を伏せた僕の前に シルバーの鎧を着た マッスル猫が現れた
孤高の人となった僕の中に灯火がともり 僕はカノジョの携帯ナンバーを押した

真鶴旧道に入ると、左右に振れる急カーブが続く
フラット4はここでも 
軽快に廻り 地面に吸い付くような安定感でコーナーをクリアしていく
365SpeedStar

あの映画では チャーリー(Kelly McGillis)が 356(コイツ)を全開で駆った
F14のドックファイトも魅力的だったが 
356の紳士的な出で立ちに隠された 走りの血筋を垣間見たとき 僕はコイツに惚れた
正確に言えば 僕とカノジョが・・・

カノジョとドライブのたびに通った 小さなイタリアンの店には 
今日もイタリア国旗がそよいでいた
356を停め 店の扉を開けると オーシャンビューの窓の席に
カノジョが座っていた
セミロングに 純白のタンクトップとロングスカートは
今日がカノジョの結婚式であるかのように思わせた 
しかし 夏の天使のような出で立ちも
僕には 薄いブルーのベールをかぶっているように見えた

 「あなたは 私と結婚しないと言ったわ・・・」
カノジョの言葉は 僕の廻りの温度を5℃下げた

・・・長い沈黙・・・
僕はカノジョとの 空白の一年を反芻し そして言った
 「僕は 君と結婚しないと言った でも 君が他の誰かと結婚していいとは言ってないよ」
 「そんな・・・ それじゃ私はどうすればいいの・・・」
そのとき カノジョの凍りついていた瞳が潤んだ 
 「君が 僕以外の誰かと結婚するのは 君にとっても悲劇的なことだ
  君が幸せになれないことを僕は知っている」
僕はカノジョを抱きしめた
 「そして これを阻止するために 僕は・・・僕の宣言を撤回する
  つまり・・・君と結婚する」
 「勝手なのね・・・」 
満面の笑みが カノジョのベールを吹き飛ばした
そして カノジョの瞳から 凍りついた1年前の涙が零れ落ちた


~トニー・スコット監督ありがとうございました そしてさようなら~




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AUTOart 1/18 ストリートシリーズ ポルシェ 356A スピードスター (ホワイト)



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