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大銀杏の記憶 ~ Serena ~ The Goonies ~

 16,2012 23:59
7人を乗せたセレナは 僕たちが”アイガー”と呼ぶ 街の北壁 小高山の前に到着した
この車の秀抜な アイドリングストップシステムは 
鳥のさえずりやクマゼミの鳴き声 そして山を滑り降りてくる風が奏でる
天然の合奏を エンジン音で阻害させることは無かった 
Serena
 
エコモードの進化に頭が下がる そんなことを思いながら
バックミラー越しに Ichiroを見た
サンルーフの上に広がる 真っ青な空を見上げていた彼が言った
 「Batten treeが待ってるぞ! あのころを思い出して 元気に歩こう!」
男5人と女2人のパーティは それぞれ思いを胸に車を降りた

 「俺たちのBatten treeが無くなる」
三日前 Ichiroから連絡が入った 
僕たち7人の思い出の場所 小高山は 
数年前から 再開発の噂があった
しかし 世界的な経済不況が原因なのか 着工はされなかった
だれもが開発は中止されたと思っていた
ところが 計画は水面下で着々と進行していたのだ
僕らは 愛すべき アイガーそしてBatten treeに別れを告げるため ここに集った 
20年ぶりに・・・ 
 
立ち入り禁止の札を超えて 30分ほど歩いたところで Tommyが右足首をひねった
 「イテテ・・・・・」
子供のころは 息一つ切らさずに 頂上まで登りきれた道も
20年の月日が カンナを滑らせるように 僕たちの体力を削り取り 
想像以上に冒険的な道に変貌していた

Tommyを見て 笑った僕も次の瞬間 脚を滑らせ尻餅をついた 
みんなの冷たい視線が  
夏の日差しで火照った体を急速に冷やした 
冷たい汗は出る一方だったが・・・
 
突然 道は大きく開けた
月日の影響を受けていたのは 我々だけではなかった
アイガーは 既に半分が切り崩されていた 
来年には ここに洋風のカレッジキャンパスが姿を現すそうだ・・・

 「あれだ! あった!」
皆が 暗黒世界に落ちそうになった瞬間 Yusukeが叫んだ
僕たち7人の思いでの場所 ”Batten tree”は 二本の銀杏が複雑に交差した大木
僕らは 笑う膝を抑え込みながら 変わらぬ勇姿を見せる大銀杏に向かった

20年前 僕たちは この木に自分たちの夢を記した
いつかこの場所で再開することを誓って

バットにボールが当たる瞬間を描き 野球選手!と刻んだTommyこと冨田は 
ゼネコンで働く2児の父 現在少年野球の監督をしている

ピアニストと記した Michikoは 
いよいよ今年 世界的に有名なコンクールに挑戦する

リーダー的存在の Ichiroは刑事と書いていたが 未だ交番のお巡りさん
一方 弟のjiroは刻んだ通り 消防士になっていた

小説家を目指した Yusukeは 最近の同人誌ブームに乗り ネット上では「神」と呼ばれている 

みんな 自分の夢を実現していた 僕は・・・

トレジャーハンター・・・それが僕の夢・・・
右脳から あのころ流行した”グーニーズ”のテーマが聞こえた・・・


~20年前~
  ”そんな仕事無いぞ”と 仲間から揶揄された僕は 
   「あるさ! いつか みんなが羨ましいと思うほど すごい宝を手に入れてやる!」
   そう大見得を切った
   「Kenくんならできる!」

そう言ってくれたのは??? うっすらと記憶に白いベールがかかる

今の僕はドライブが趣味の しがないサラリーマン
宝物なんて 見つけるどころか 探しに行く暇もない
僕は思わず苦笑した・・・

!!
  
僕は トレジャーハンターと刻まれた横に もう一つの夢を見つけた
 「どうしたの」
カノジョが背後から声をかけてきた 
自分の気持ちを素直に出せない僕は カノジョの声を聴いて固まった
 
DoooN!

銀杏の木の後ろから 前向き思考だった頃の僕が背中を押した
 「あの時 僕を応援してくれたのは 君だったね・・・」
僕の思考回路を覆ったベールが取り除かれた

 「Saori ずっと君が好きだった 結婚してほしい」
いつも言い出せなかった
ただ 想い続けてきたカノジョへの気持ちが 
Batten treeの前で なんの苦労もなく言えた

カノジョは 僕のプロポーズを聞いたあと ゆっくり頷き そして言った
 「私・・・夢が叶った!」
Saoriの夢は ”お嫁さん”だった
カノジョは ポケットから出した鍵で 20年前に刻んだ文字の前に
「Kenの」と刻んだ

カノジョの夢がかなった瞬間
僕は 世界一のトレジャーハンターになった  




The Goonies: Main Theme for Solo Piano




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