3人のAngel ~ Phantom ~ ジョニー・イングリッシュ ~
19,2012 23:59
僕の家には 天使”Marry”がいた
『Spirit of Ecstasy』
祖父が所有するファントムのボンネットが彼女のスペースだった
僕の家は 先祖代々農家の家系だったが
商才に長けた祖父は 一代で巨大な繊維会社を築きあげた
おかげで僕は幼少のころ お金に不自由のない生活を送った
祖父は 僕をとても可愛がってくれた
芝居や映画 そして旅行と 僕はいつも祖父と一緒だった
両親よりも多くの時間を 祖父と過ごした

あるとき祖父が ファントムの話をした
「この車は 英国紳士が乗る車なんだが
狭い日本では 扱いにくい
車体が大きいから運転するのは難儀だし 燃料はすぐに底をつく
扉も重いし 見た目より車内は狭い 故障も頻繁に起こる・・・」
悪いことばかりじゃないか・・・と僕は思った
しかし そう語る祖父の横顔は 優しい笑顔だった
「そんな無駄ばかりの車が わしにはとても愛おしい
人生は 無駄なことの中に 大切なものがあるんだ
Marryが それを教えてくれた」
そういうと ボンネットに立つ 天使を撫でた
僕には 祖父の言う意味が理解できなかったが 祖父のMarryへの想いは
なんとなく理解できた
僕が中学生3年の夏 祖父は突如病に倒れた
慌てて 病院に駆けつけた僕は
もう二度と 祖父と一緒に出かけることはできないと悟った
もちろん それは祖父にもわかっていた
それでも祖父は いつもと変わらぬ笑顔で僕に言った
「わしの人生 無駄ばかり でも十分楽しんだ
お前も遠回りの人生を歩みなさい」と
それから三日後 祖父は死んだ とても安らかな笑顔だった・・・
僕の両親は 祖父とは正反対の性格だった
毎日仕事に没頭し、仕事以外に全く興味のない父
無駄を省くことが美徳の母
そんな両親には 巨大で燃費の悪いファントムは 邪魔な存在でしかなかった
ファントムは祖父の四十九日とともに売却された
そして僕の家から 天使は消えた・・・
Marryは 座敷童だったのだろうか
その日を境に 我家は転落の一途を辿った
祖父の会社を引き継いだ父は 新しい事業への拡大を図ったが
効率だけを求めてきた父には 事業に夢がなかった
人々を魅了できる力のない事業は 全く振るわなかった
更に悪いことに 本業の繊維事業は 衰退産業に拍車が掛かった
そして 祖父の三回忌を迎える頃 会社は倒産した
人生を悲観した父は 僕と母を残して 祖父の後を追った
母は 父と夫 そして会社を無くしたことで 心が壊れてしまった
あれだけ無駄を嫌っていた母は 無駄なことしかできなくなってしまった
僕は そんな母を介護しながら 小さな自動車整備工場で働いていた
毎日 夢をみる間もなく ただ只管働いた
祖父の言葉も忘れて・・・

そんなとき リアの潰れた 1991年式 Silver Spiritが工場にやってきた
工場長は 廃車する予定だったが 僕はその車を引き取った
・・・その車には Marryがいたから・・・
僕は 半年かけて車をレストアした
美しく蘇ったSilver Spirit
でも大柄なボディに 燃費の悪さは変えようがなかった 維持費は家計を圧迫した
しかし 僕は子供のような無邪気さを取り戻していた
「もう二度と Marryを手放さない・・・」
そう誓った
ある日 母の病院からの帰り道
僕は いつもの道を通らずに 遠回りをした
無駄な時間を 過ごしたかったからだ
休憩を兼ねて 駐車したコンビニで
「可愛いい 天使ですね・・・」
Marryを見て
ストレートのロングヘアーに
Polo Ralph Lauren のロングスカートを風に靡かせる女性が 話しかけてきた
「無駄の中にこそ 素晴らしき何かがある!」
祖父の言葉が ふわりとよぎった・・・ そして僕は カノジョに一目惚れした
ボンネットに立つMarryを見ながら
僕は カノジョとの出会いを思い出し微笑んだ
「どうしたの?」
助手席のカノジョが不思議そうに僕を見た
ジョニー・イングリッシュ(Rowan Atkinson)が
愛称ボンネット(ロールスロイス・ファントム)を屈指して強敵に挑む
一見無駄で お馬鹿な行動が伏線となり 難局を乗り切る
~無駄×人生=コメディ ⇒ Happy~
今 僕の車(Silver Spirit)には 3人の天使が乗っている
ボンネットと助手席 そしてカノジョの中に・・・
『Spirit of Ecstasy』
祖父が所有するファントムのボンネットが彼女のスペースだった
僕の家は 先祖代々農家の家系だったが
商才に長けた祖父は 一代で巨大な繊維会社を築きあげた
おかげで僕は幼少のころ お金に不自由のない生活を送った
祖父は 僕をとても可愛がってくれた
芝居や映画 そして旅行と 僕はいつも祖父と一緒だった
両親よりも多くの時間を 祖父と過ごした

あるとき祖父が ファントムの話をした
「この車は 英国紳士が乗る車なんだが
狭い日本では 扱いにくい
車体が大きいから運転するのは難儀だし 燃料はすぐに底をつく
扉も重いし 見た目より車内は狭い 故障も頻繁に起こる・・・」
悪いことばかりじゃないか・・・と僕は思った
しかし そう語る祖父の横顔は 優しい笑顔だった
「そんな無駄ばかりの車が わしにはとても愛おしい
人生は 無駄なことの中に 大切なものがあるんだ
Marryが それを教えてくれた」
そういうと ボンネットに立つ 天使を撫でた
僕には 祖父の言う意味が理解できなかったが 祖父のMarryへの想いは
なんとなく理解できた
僕が中学生3年の夏 祖父は突如病に倒れた
慌てて 病院に駆けつけた僕は
もう二度と 祖父と一緒に出かけることはできないと悟った
もちろん それは祖父にもわかっていた
それでも祖父は いつもと変わらぬ笑顔で僕に言った
「わしの人生 無駄ばかり でも十分楽しんだ
お前も遠回りの人生を歩みなさい」と
それから三日後 祖父は死んだ とても安らかな笑顔だった・・・
僕の両親は 祖父とは正反対の性格だった
毎日仕事に没頭し、仕事以外に全く興味のない父
無駄を省くことが美徳の母
そんな両親には 巨大で燃費の悪いファントムは 邪魔な存在でしかなかった
ファントムは祖父の四十九日とともに売却された
そして僕の家から 天使は消えた・・・
Marryは 座敷童だったのだろうか
その日を境に 我家は転落の一途を辿った
祖父の会社を引き継いだ父は 新しい事業への拡大を図ったが
効率だけを求めてきた父には 事業に夢がなかった
人々を魅了できる力のない事業は 全く振るわなかった
更に悪いことに 本業の繊維事業は 衰退産業に拍車が掛かった
そして 祖父の三回忌を迎える頃 会社は倒産した
人生を悲観した父は 僕と母を残して 祖父の後を追った
母は 父と夫 そして会社を無くしたことで 心が壊れてしまった
あれだけ無駄を嫌っていた母は 無駄なことしかできなくなってしまった
僕は そんな母を介護しながら 小さな自動車整備工場で働いていた
毎日 夢をみる間もなく ただ只管働いた
祖父の言葉も忘れて・・・

そんなとき リアの潰れた 1991年式 Silver Spiritが工場にやってきた
工場長は 廃車する予定だったが 僕はその車を引き取った
・・・その車には Marryがいたから・・・
僕は 半年かけて車をレストアした
美しく蘇ったSilver Spirit
でも大柄なボディに 燃費の悪さは変えようがなかった 維持費は家計を圧迫した
しかし 僕は子供のような無邪気さを取り戻していた
「もう二度と Marryを手放さない・・・」
そう誓った
ある日 母の病院からの帰り道
僕は いつもの道を通らずに 遠回りをした
無駄な時間を 過ごしたかったからだ
休憩を兼ねて 駐車したコンビニで
「可愛いい 天使ですね・・・」
Marryを見て
ストレートのロングヘアーに
Polo Ralph Lauren のロングスカートを風に靡かせる女性が 話しかけてきた
「無駄の中にこそ 素晴らしき何かがある!」
祖父の言葉が ふわりとよぎった・・・ そして僕は カノジョに一目惚れした
ボンネットに立つMarryを見ながら
僕は カノジョとの出会いを思い出し微笑んだ
「どうしたの?」
助手席のカノジョが不思議そうに僕を見た
ジョニー・イングリッシュ(Rowan Atkinson)が
愛称ボンネット(ロールスロイス・ファントム)を屈指して強敵に挑む
一見無駄で お馬鹿な行動が伏線となり 難局を乗り切る
~無駄×人生=コメディ ⇒ Happy~
今 僕の車(Silver Spirit)には 3人の天使が乗っている
ボンネットと助手席 そしてカノジョの中に・・・
![]() |
![]() スポンサーサイト
Latest Posts - |