シン・仮面ライダー ~ カプチーノリミテッド 1994 ~
14,2023 21:05
「車のほうが 便利に決まってるじゃない
荷物も運べるし こうやって会話もできる
なにより 車は 私たちを守ってくれるわ」
運転席で ソフトクリームを片手に運転するカノジョ
「いやいや バイクのほうが 便利だよ
維持費も安いし 渋滞知らず
なにより 空と大地を肌で感じて 自然と一体になれる」
大抵のことは お互い 歩み寄る僕たちだったが
この論争だけは どこまでも平行線・・・
これが 僕たちの関係を 進ませない要因でもあった
これから
どうするべきだろう
有休をとって 一人ツーリングに来ていた僕は
空に浮かぶ 綿雲をながめながら
霞のかかる カノジョとの未来をぼんやり 思い浮かべていた
と そのとき・・・ スマホが啼いた
バイクと一体化した僕は
人造人間になったように 感情の赴くまま アクセルを回し
霞みで覆われた5秒先の未来を 切り裂いた
平日の昼間・・・
車であれば 渋滞に巻き込まれて ゆうに2時間はかかるところ
バッタオーガと化した僕は
発信履歴の示した 海の見える救急病院に30分で到着した
「Chika!!」
変身を解くのも・・・
いや ヘルメットに手袋を 外すのを忘れて 病室に飛び込むと
「Hiroくん ごめん・・・ やっちゃった」
いたずらっ子の笑顔でカノジョが僕を迎えた
中央ラインを越えてきた
バイクを避けようとして 側壁に激突したカノジョは 両足を骨折する重傷だった
渋滞知らずの特性が証明され
自動車の安全性が揺らいだにも関わらず
僕の バイクへの情熱は カノジョの回復と共に 薄れていった

「今日は 最高の五月晴れだし 雲でも見に行かないかい?」
「いいわね! それじゃ サンドウィッチにコーヒーを用意するわね」
事故から2年・・・
僕と カノジョの左手薬指には リングが輝いている
僕らを覆ていた 霞を解消したのは
スズキ カプチーノ
燃費もよくて
自然と一体になれるオープンカー
小さなボディは
バイクのように小回りが利き 二人の距離も近い
僕らの 車とバイク論争の間を紡いだ車だった
「この先 10Kmの渋滞があります・・・」ナビの警告
どんなに小型でも 四輪では 渋滞は避けられない
でも・・・
「それじゃ この路地を 入ってみよう!」
知らない道を走ると
新鮮な風景と やさしい時間が待っていた
最短距離では味わえない 楽しみ
スケジュール通りに いかない未来は 僕にとって弱点ではなくなっていた
「あの雲・・・ 仮面ライダーみたい!」
助手席から 空を見上げるカノジョは
真っ赤なバンダナで 髪を覆ている
”あの日・・・ 仮面ライダーのように 私のところに駆けつけてくれた
貴方がいたから 私はつらい リハビリを乗り越えられたの
今の私は 貴方が造ってくれた”
これが プロポーズの返事だった
「やっぱり ヒーロー(Hiro)には バイクが必要ね」
おいおい・・・ シン仮面ライダーを
見たばかりで 感化されているのだろうけど
このままじゃ
僕らの主張は 逆さまになっちゃうよ・・・
♪ Ed Sheeran - Thinking Out Loud ♪
目的地につくと
運転席のヒーローは 後遺症が残り 左足を引きづるカノジョに
優しく肩を貸した
そんな二人を見つめるカプチーノには
白髪になっても
仲睦まじく寄り添う 二人が見えた
荷物も運べるし こうやって会話もできる
なにより 車は 私たちを守ってくれるわ」
運転席で ソフトクリームを片手に運転するカノジョ
「いやいや バイクのほうが 便利だよ
維持費も安いし 渋滞知らず
なにより 空と大地を肌で感じて 自然と一体になれる」
大抵のことは お互い 歩み寄る僕たちだったが
この論争だけは どこまでも平行線・・・
これが 僕たちの関係を 進ませない要因でもあった
これから
どうするべきだろう
有休をとって 一人ツーリングに来ていた僕は
空に浮かぶ 綿雲をながめながら
霞のかかる カノジョとの未来をぼんやり 思い浮かべていた
と そのとき・・・ スマホが啼いた
バイクと一体化した僕は
人造人間になったように 感情の赴くまま アクセルを回し
霞みで覆われた5秒先の未来を 切り裂いた
平日の昼間・・・
車であれば 渋滞に巻き込まれて ゆうに2時間はかかるところ
バッタオーガと化した僕は
発信履歴の示した 海の見える救急病院に30分で到着した
「Chika!!」
変身を解くのも・・・
いや ヘルメットに手袋を 外すのを忘れて 病室に飛び込むと
「Hiroくん ごめん・・・ やっちゃった」
いたずらっ子の笑顔でカノジョが僕を迎えた
中央ラインを越えてきた
バイクを避けようとして 側壁に激突したカノジョは 両足を骨折する重傷だった
渋滞知らずの特性が証明され
自動車の安全性が揺らいだにも関わらず
僕の バイクへの情熱は カノジョの回復と共に 薄れていった

「今日は 最高の五月晴れだし 雲でも見に行かないかい?」
「いいわね! それじゃ サンドウィッチにコーヒーを用意するわね」
事故から2年・・・
僕と カノジョの左手薬指には リングが輝いている
僕らを覆ていた 霞を解消したのは
スズキ カプチーノ
燃費もよくて
自然と一体になれるオープンカー
小さなボディは
バイクのように小回りが利き 二人の距離も近い
僕らの 車とバイク論争の間を紡いだ車だった
「この先 10Kmの渋滞があります・・・」ナビの警告
どんなに小型でも 四輪では 渋滞は避けられない
でも・・・
「それじゃ この路地を 入ってみよう!」
知らない道を走ると
新鮮な風景と やさしい時間が待っていた
最短距離では味わえない 楽しみ
スケジュール通りに いかない未来は 僕にとって弱点ではなくなっていた
「あの雲・・・ 仮面ライダーみたい!」
助手席から 空を見上げるカノジョは
真っ赤なバンダナで 髪を覆ている
”あの日・・・ 仮面ライダーのように 私のところに駆けつけてくれた
貴方がいたから 私はつらい リハビリを乗り越えられたの
今の私は 貴方が造ってくれた”
これが プロポーズの返事だった
「やっぱり ヒーロー(Hiro)には バイクが必要ね」
おいおい・・・ シン仮面ライダーを
見たばかりで 感化されているのだろうけど
このままじゃ
僕らの主張は 逆さまになっちゃうよ・・・
♪ Ed Sheeran - Thinking Out Loud ♪
目的地につくと
運転席のヒーローは 後遺症が残り 左足を引きづるカノジョに
優しく肩を貸した
そんな二人を見つめるカプチーノには
白髪になっても
仲睦まじく寄り添う 二人が見えた
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