ヒアアフター ~ アルファロメオ147GTA 2007 ~
25,2022 22:33
ナビゲーションが示す20m先
左折の情報は
携帯マップでは 渋滞が予測されたルートだった
最新の携帯情報を信じるべきか
それとも 2007年式アルファロメオ147GTAの嗅覚を信じるべきか・・・
カノジョの家まで 20km

LINEに綴られた
絵文字が多用された文章から浮かび上がる
隠された思い
クリスマスイブの今宵
カノジョを一人に させてはいけない
それは 僕にそう 告げていた
時計の針は
すでに23時を回っている
どんなに凄腕の
ドライバーでもクリスマス渋滞だけは どうにもならない
空を行く
赤鼻のトナカイであれば
15分もあれば 到着してしまうのだが・・・
『今夜は フレンチレストラン
シェフのおすすめで 贅沢三昧でした』
何気なく
僕に 送ってきた カノジョのLINE
誰と一緒・・・の情報はない
テーブルに注がれたシャンパングラスに
写ったテーブル料理は
明らかにシングルだった
カノジョは
料理教室で隣の席に座っている
ただ
それだけの関係・・・
それでも 僕にとっては カノジョは特別だった
離婚して
自炊が必要になったことから通い始めた料理教室
初回で 自分には向いてないことが分かった
そんな僕が 今でも教室に通うのは
ぽかりと開いた心の穴を
底抜けに明るいカノジョが埋めてくれたから
そんな カノジョが シグナルを送ってきた
「もちろん お前を信じるさ」
15年前の地図情報から更新されてない
愛車のナビゲーションに そう返事をしながら
僕は ハンドルを 左に切った
・・・それも 僕を肯定するかのように 頷いた
天に向かうような急坂を登り切ったあとは
車幅ぎりぎりの曲がりくねった道路が続く
時折 ぽかりと開いた空地から見える 下層部の国道は
真っ赤なブレーキランプの点滅された帯が どこまでも続いていた
『100m先を左です』
ナビの声が 自慢げに聞こえた
・・・ それも 微笑みを見せていた
23:45・・・
「君が 去年送ってくれた
銀杏並木のイルミネーションに来ています」
LINEを送ってから 5分後・・・
カノジョは 助手席にいる
「驚いたよ!
君が 同じ場所にいたなんて
でも いいの? クリスマスイブに 助手席に女子を乗せちゃって・・・
カノジョに 怒られちゃうんじゃない?」
いつもより 張られた声が
寂しさの裏返しだということがわかる
「こんな日に 水に入ったら 風邪ひいちゃうよ」
「えっ・・・」
「飛び込むのなら 小さくて頼りないけど 僕のほうが まだ ましだ」
カノジョの瞳から 天の川の星屑よりも
たくさんの光の粒があふれ出した
「もう 大丈夫ですよ」
僕は 車の外に立つ それ・・・ 年配の夫婦に向かって呟いた
クリスマスイブの今宵だけ
発現する 僕の力・・・
既に 亡くなっているのだろう
君のご両親が 危険を知らせてくれた
君に死なれたら
僕も 生き甲斐を失ってしまう
ジョージ・ロネガン(Matt Damon)と同じように
この人外の力は 人を怯えさせる 離婚も これが原因だった
二度と他人に
干渉するのはやめようと 封印してきた力
でも 君は 他人ではない・・・
Gloria in Excelsis Deo - (Angels We Have Heard On High)
運転席の窓を開けると
Gloria ”Angels We Have Heard on High” が聴こえた
左折の情報は
携帯マップでは 渋滞が予測されたルートだった
最新の携帯情報を信じるべきか
それとも 2007年式アルファロメオ147GTAの嗅覚を信じるべきか・・・
カノジョの家まで 20km

LINEに綴られた
絵文字が多用された文章から浮かび上がる
隠された思い
クリスマスイブの今宵
カノジョを一人に させてはいけない
それは 僕にそう 告げていた
時計の針は
すでに23時を回っている
どんなに凄腕の
ドライバーでもクリスマス渋滞だけは どうにもならない
空を行く
赤鼻のトナカイであれば
15分もあれば 到着してしまうのだが・・・
『今夜は フレンチレストラン
シェフのおすすめで 贅沢三昧でした』
何気なく
僕に 送ってきた カノジョのLINE
誰と一緒・・・の情報はない
テーブルに注がれたシャンパングラスに
写ったテーブル料理は
明らかにシングルだった
カノジョは
料理教室で隣の席に座っている
ただ
それだけの関係・・・
それでも 僕にとっては カノジョは特別だった
離婚して
自炊が必要になったことから通い始めた料理教室
初回で 自分には向いてないことが分かった
そんな僕が 今でも教室に通うのは
ぽかりと開いた心の穴を
底抜けに明るいカノジョが埋めてくれたから
そんな カノジョが シグナルを送ってきた
「もちろん お前を信じるさ」
15年前の地図情報から更新されてない
愛車のナビゲーションに そう返事をしながら
僕は ハンドルを 左に切った
・・・それも 僕を肯定するかのように 頷いた
天に向かうような急坂を登り切ったあとは
車幅ぎりぎりの曲がりくねった道路が続く
時折 ぽかりと開いた空地から見える 下層部の国道は
真っ赤なブレーキランプの点滅された帯が どこまでも続いていた
『100m先を左です』
ナビの声が 自慢げに聞こえた
・・・ それも 微笑みを見せていた
23:45・・・
「君が 去年送ってくれた
銀杏並木のイルミネーションに来ています」
LINEを送ってから 5分後・・・
カノジョは 助手席にいる
「驚いたよ!
君が 同じ場所にいたなんて
でも いいの? クリスマスイブに 助手席に女子を乗せちゃって・・・
カノジョに 怒られちゃうんじゃない?」
いつもより 張られた声が
寂しさの裏返しだということがわかる
「こんな日に 水に入ったら 風邪ひいちゃうよ」
「えっ・・・」
「飛び込むのなら 小さくて頼りないけど 僕のほうが まだ ましだ」
カノジョの瞳から 天の川の星屑よりも
たくさんの光の粒があふれ出した
「もう 大丈夫ですよ」
僕は 車の外に立つ それ・・・ 年配の夫婦に向かって呟いた
クリスマスイブの今宵だけ
発現する 僕の力・・・
既に 亡くなっているのだろう
君のご両親が 危険を知らせてくれた
君に死なれたら
僕も 生き甲斐を失ってしまう
ジョージ・ロネガン(Matt Damon)と同じように
この人外の力は 人を怯えさせる 離婚も これが原因だった
二度と他人に
干渉するのはやめようと 封印してきた力
でも 君は 他人ではない・・・
Gloria in Excelsis Deo - (Angels We Have Heard On High)
運転席の窓を開けると
Gloria ”Angels We Have Heard on High” が聴こえた
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