いまを生きる ~ Fiat 500X 2015 ~
02,2022 23:06
FIAT 500Xは 太平洋に突き出た
絶壁の前に停まった
目の前には
人生最後の景色として 申し分ない
神々しいまでの 黄金の大海原が広がっている
自分の人生を 自由にできないのなら 僕は人じゃない・・・
それは ロボットというのだ 僕は マシーンとして 生きていくつもりはない
父親の会社を継ぐこと これが僕の定められた人生・・・
しかし 僕には 夢があった
音楽で生きていく道・・・
父の目を盗んで
面接を受けた小さなイベント会社に 所属することができた
もちろん給与は出ない
アルバイトで食いつなぐ生活が待っている
それでも 自分の感性だけで勝負できる世界に 生きがいを感じた
しかし・・・
どこから洩れたか 父の圧力が入った
僕の人生は 強制的に元の軌道に戻された

神様なんて いない・・・
「さぁ いこうか!」
500Xに そう語りかけた僕は ふと 思った
コイツの人生・・・
車でも人生と言うのだろうか・・・ 余計なことが頭をよぎる・・・
それは どうでもいいが・・・
500Xの人生を 僕が終わらせてしまったら
僕は父と同じじゃないか・・・
「よし! お前とは ここまでだ!」
運転席から 降りて500Xに 別れを告げたとき・・・
スマートフォンが啼いた・・・
こんな音だったのかと思うほど
久しぶりに聞いた 着信音は 元カノからの間違い電話だった
「最後に 君と会話できて うれしかった」
僕の意味深な一言が
心に引っかかったのだろう 一度切れた電話が再び 騒いだ
カノジョは 聞き上手だった
いつの間にか 僕は 今の自分をすべてさらけ出していた
”まずは いったん うちに帰って!
そして 「いまを生きる」を 観なさい!”
カノジョの 命令口調に
条件反射した僕は 死ぬことを忘れて 家に戻っていた
手には 1989年 ロビン・ウィリアムズ主演”いまを生きる”のDVDを持って・・・
カノジョの アドバイスは 適切だった・・・
なぜなら・・・ 映画の中には 僕がいたから・・・
ジョン・キーティング先生に感化された生徒 ニールは 僕・・・ そのものだった
映画を見終えた僕は 変わっていた・・・
幕引きは いつでもできる
だからもう一度チャレンジしてみよう
今度は・・・ 自分を支えてくれる人を頼りながら・・・
僕は カノジョにLINEを入れた・・・
「都会に出て 音楽の道を目指したい・・・ 一緒に来ないか」
500Xは 再び あの断崖にいた
やり直しのスタート地点としては 最高の場所だ
待ち合わせの時間は 16:00・・・
しかし・・・ 既に時間は過ぎていた
「人生・・・ そう 上手くは いかないよな・・・」
500Xの運転席を 降りた僕は
鈴虫が啼く草原を 崖地ぎりぎりまで進んだ
少しだけセンチメンタルになったが
もう 人生を終わらせるという 選択肢はない・・・
カノジョがいてくれれば
サイコーだったけど・・・
僕は 目の前に広がる大海原の 遥か先に向かって 叫んだ!
「世界よー ! 待ってろよー !」
そのとき・・・
突風が 僕の背中を 押 し た ・ ・ ・
虚空に しがみつこうと もがく両手・・・
反動で 身体が 反転する
Fiat500Xの 寂し気なヘッドライトと 目が合った
ごめんな・・・
そして・・・
崖地には ただ 秋風が通り過ぎ ただ 鈴虫が 啼いていた
暫くすると・・・
Fiat500Xのもとに カノジョがやってきた
「どこにいったのかなぁ
あれ? 鍵は 開いているから・・・ トイレかなぁ」
ひとり呟くカノジョは
いたずらっ子の笑顔を見せて
後部座席に隠れるように寝ころんだ
彼が着たら 後ろから驚かそうとしているらしい・・・
彼の作曲した お気に入りの歌を口ずさむカノジョは
左手の腕時計が
停まっているのに まだ気づいていなかった・・・
Extreme - There Is No God
※ 人生は どこまでも 理不尽な ものなのです
突然の交通事故で 逝ってしまった 友人を偲んで・・・
絶壁の前に停まった
目の前には
人生最後の景色として 申し分ない
神々しいまでの 黄金の大海原が広がっている
自分の人生を 自由にできないのなら 僕は人じゃない・・・
それは ロボットというのだ 僕は マシーンとして 生きていくつもりはない
父親の会社を継ぐこと これが僕の定められた人生・・・
しかし 僕には 夢があった
音楽で生きていく道・・・
父の目を盗んで
面接を受けた小さなイベント会社に 所属することができた
もちろん給与は出ない
アルバイトで食いつなぐ生活が待っている
それでも 自分の感性だけで勝負できる世界に 生きがいを感じた
しかし・・・
どこから洩れたか 父の圧力が入った
僕の人生は 強制的に元の軌道に戻された

神様なんて いない・・・
「さぁ いこうか!」
500Xに そう語りかけた僕は ふと 思った
コイツの人生・・・
車でも人生と言うのだろうか・・・ 余計なことが頭をよぎる・・・
それは どうでもいいが・・・
500Xの人生を 僕が終わらせてしまったら
僕は父と同じじゃないか・・・
「よし! お前とは ここまでだ!」
運転席から 降りて500Xに 別れを告げたとき・・・
スマートフォンが啼いた・・・
こんな音だったのかと思うほど
久しぶりに聞いた 着信音は 元カノからの間違い電話だった
「最後に 君と会話できて うれしかった」
僕の意味深な一言が
心に引っかかったのだろう 一度切れた電話が再び 騒いだ
カノジョは 聞き上手だった
いつの間にか 僕は 今の自分をすべてさらけ出していた
”まずは いったん うちに帰って!
そして 「いまを生きる」を 観なさい!”
カノジョの 命令口調に
条件反射した僕は 死ぬことを忘れて 家に戻っていた
手には 1989年 ロビン・ウィリアムズ主演”いまを生きる”のDVDを持って・・・
カノジョの アドバイスは 適切だった・・・
なぜなら・・・ 映画の中には 僕がいたから・・・
ジョン・キーティング先生に感化された生徒 ニールは 僕・・・ そのものだった
映画を見終えた僕は 変わっていた・・・
幕引きは いつでもできる
だからもう一度チャレンジしてみよう
今度は・・・ 自分を支えてくれる人を頼りながら・・・
僕は カノジョにLINEを入れた・・・
「都会に出て 音楽の道を目指したい・・・ 一緒に来ないか」
500Xは 再び あの断崖にいた
やり直しのスタート地点としては 最高の場所だ
待ち合わせの時間は 16:00・・・
しかし・・・ 既に時間は過ぎていた
「人生・・・ そう 上手くは いかないよな・・・」
500Xの運転席を 降りた僕は
鈴虫が啼く草原を 崖地ぎりぎりまで進んだ
少しだけセンチメンタルになったが
もう 人生を終わらせるという 選択肢はない・・・
カノジョがいてくれれば
サイコーだったけど・・・
僕は 目の前に広がる大海原の 遥か先に向かって 叫んだ!
「世界よー ! 待ってろよー !」
そのとき・・・
突風が 僕の背中を 押 し た ・ ・ ・
虚空に しがみつこうと もがく両手・・・
反動で 身体が 反転する
Fiat500Xの 寂し気なヘッドライトと 目が合った
ごめんな・・・
そして・・・
崖地には ただ 秋風が通り過ぎ ただ 鈴虫が 啼いていた
暫くすると・・・
Fiat500Xのもとに カノジョがやってきた
「どこにいったのかなぁ
あれ? 鍵は 開いているから・・・ トイレかなぁ」
ひとり呟くカノジョは
いたずらっ子の笑顔を見せて
後部座席に隠れるように寝ころんだ
彼が着たら 後ろから驚かそうとしているらしい・・・
彼の作曲した お気に入りの歌を口ずさむカノジョは
左手の腕時計が
停まっているのに まだ気づいていなかった・・・
Extreme - There Is No God
※ 人生は どこまでも 理不尽な ものなのです
突然の交通事故で 逝ってしまった 友人を偲んで・・・
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