候補者ビル・マッケイ ~ アルファロメオ ジュリア・スーパー 1971 ~
10,2022 17:41
日本の人口は 今年50万人減少したらしい
それでも 1億2500万人・・・
東京に絞り込んでも
1/14,000,000の確率で 僕はカノジョと出会った
AM 7：08
湾岸発のメトロの３両目
車内に入ると すぐに扉側に向きを変える
右でカノジョが 左は僕が
お互いに 次に この扉が開く 7つ目の駅で降りる
車内では 隣人同士が干渉してはいけないという
不文律のような空間の中で
その日の僕は ひたすら額の眼鏡を探していた
Pu・・・
窓に写った 僕を見て 噴き出したカノジョは
自分の頭に人差し指を指していた
その瞬間
会社と自宅の往復だけの毎日だった僕に
カノジョとの 21分間の関係が生まれた
とは言っても
それは 僕の中の妄想であり
カノジョからすれば ただの挨拶相手なのだが
「ようやく お前にも女性の大切さが理解できたか」
そういうのは 幼馴染のTakashi
30歳目前に迫った僕を見かねて
中学時代に戻ったように 助言をくれた
それは
ビル・マッケイをサポートする ルーカス（ピーター・ボイル）のように的確だった
「候補者 ビル・マッケイ」
「とにかく洋服には気を配れ」
服装に興味を持ったことのない僕にとって
洋服について考えることは苦痛だった
モノトーンに徹して
同じデザインの服３着で 着まわす生活スタイルは
Takashiの彼女の見立てで 多彩になった
「今日は 黒のスーツじゃないんですね・・・ 」
その日 カノジョと
挨拶以外の言葉を聞いた
「挨拶だけではなく 会話も大切だ
政治や宗教っぽい話はだめだ
あと・・・ アルファロメオと映画もNG
お前は この二つになると 自分の世界に 入っちゃうから」
Takashiは 広告代理店の後輩から
2022年のトレンドの一つ ピスタチオスィーツに関する 蘊蓄を手に入れていた
「最近 ピスタチオをよく見かけるよね」
唐突すぎる
僕の会話にもカノジョは 優しく反応した
「ピスタチオ スキなんですか？」
いつもより歩幅一つ 僕よりのカノジョに
少し怖気づきながら えぇ・・・と返事を返す
「私もです ピスタチオっていえば シチリアワインですよね！」
！！
Takashiチームから得た ピスタチオスウィーツの名前を
魔法の呪文のように 頭の中で詠唱していた僕は・・・
想定外の反応に フリーズしかけた
「たっ・・・ 確かに・・・
ゴッドファーザーでドン・コルレオーネも飲んでいたね」
映画の話に進んでしまった・・・
「そうそう・・ PRINCIPE DI CORLEONEですよね」
その時 扉が開いた
メトロに救われた・・・
「もっと慎重に！！」
Cafébar Casablancaに集まった Takashiとチームのメンバーに
小言を受けたものの
結果往来 道は開けたと 及第点をもらった
「次は ドライブに誘おう
ただし・・・ ジュリアスーパーは ダメだ
あの車は エアコンもついてないからな」
いきなり愛車のダメだしを受けて
イラっときたが
そもそも ドライブに誘うなって大丈夫なのかと思った
しかし
Takashiの作ったシナリオに カノジョは笑顔で了解した
「いい ワイナリーを知っているんだけど 週末一緒に行かないかい？」
「私でよければ・・・」
メトロを降りたホームで 僕らは LINEを交換した
Elliott smith Everything Means Nothing To Me
僕が求めていた未来が開けた
はずなのに・・・
カノジョからのLINEを見ながら
洗面台の前に立つ男は 誰なのか・・・
こんな服で・・・
趣味は・・・ ・・・ スウィーツ？
怖い・・・
お前は これから どうしたいんだ・・・
鏡の前の 多分僕は・・・
個性を失った 空っぽの男になっていた
それでも 1億2500万人・・・
東京に絞り込んでも
1/14,000,000の確率で 僕はカノジョと出会った
AM 7：08
湾岸発のメトロの３両目
車内に入ると すぐに扉側に向きを変える
右でカノジョが 左は僕が
お互いに 次に この扉が開く 7つ目の駅で降りる
車内では 隣人同士が干渉してはいけないという
不文律のような空間の中で
その日の僕は ひたすら額の眼鏡を探していた
Pu・・・
窓に写った 僕を見て 噴き出したカノジョは
自分の頭に人差し指を指していた
その瞬間
会社と自宅の往復だけの毎日だった僕に
カノジョとの 21分間の関係が生まれた
とは言っても
それは 僕の中の妄想であり
カノジョからすれば ただの挨拶相手なのだが
「ようやく お前にも女性の大切さが理解できたか」
そういうのは 幼馴染のTakashi
30歳目前に迫った僕を見かねて
中学時代に戻ったように 助言をくれた
それは
ビル・マッケイをサポートする ルーカス（ピーター・ボイル）のように的確だった
「候補者 ビル・マッケイ」
「とにかく洋服には気を配れ」
服装に興味を持ったことのない僕にとって
洋服について考えることは苦痛だった
モノトーンに徹して
同じデザインの服３着で 着まわす生活スタイルは
Takashiの彼女の見立てで 多彩になった
「今日は 黒のスーツじゃないんですね・・・ 」
その日 カノジョと
挨拶以外の言葉を聞いた
「挨拶だけではなく 会話も大切だ
政治や宗教っぽい話はだめだ
あと・・・ アルファロメオと映画もNG
お前は この二つになると 自分の世界に 入っちゃうから」
Takashiは 広告代理店の後輩から
2022年のトレンドの一つ ピスタチオスィーツに関する 蘊蓄を手に入れていた
「最近 ピスタチオをよく見かけるよね」
唐突すぎる
僕の会話にもカノジョは 優しく反応した
「ピスタチオ スキなんですか？」
いつもより歩幅一つ 僕よりのカノジョに
少し怖気づきながら えぇ・・・と返事を返す
「私もです ピスタチオっていえば シチリアワインですよね！」
！！
Takashiチームから得た ピスタチオスウィーツの名前を
魔法の呪文のように 頭の中で詠唱していた僕は・・・
想定外の反応に フリーズしかけた
「たっ・・・ 確かに・・・
ゴッドファーザーでドン・コルレオーネも飲んでいたね」
映画の話に進んでしまった・・・
「そうそう・・ PRINCIPE DI CORLEONEですよね」
その時 扉が開いた
メトロに救われた・・・
「もっと慎重に！！」
Cafébar Casablancaに集まった Takashiとチームのメンバーに
小言を受けたものの
結果往来 道は開けたと 及第点をもらった
「次は ドライブに誘おう
ただし・・・ ジュリアスーパーは ダメだ
あの車は エアコンもついてないからな」
いきなり愛車のダメだしを受けて
イラっときたが
そもそも ドライブに誘うなって大丈夫なのかと思った
しかし
Takashiの作ったシナリオに カノジョは笑顔で了解した
「いい ワイナリーを知っているんだけど 週末一緒に行かないかい？」
「私でよければ・・・」
メトロを降りたホームで 僕らは LINEを交換した
Elliott smith Everything Means Nothing To Me
僕が求めていた未来が開けた
はずなのに・・・
カノジョからのLINEを見ながら
洗面台の前に立つ男は 誰なのか・・・
こんな服で・・・
趣味は・・・ ・・・ スウィーツ？
怖い・・・
お前は これから どうしたいんだ・・・
鏡の前の 多分僕は・・・
個性を失った 空っぽの男になっていた
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