荒野の決闘 ~ フィアット スパイダー 124/2000 1979 ~
31,2021 11:52
アイツが嫌いだ
学生時代のころから いつも 正々堂々勝負をしない
FIAT スパイダー124/2000のバックミラーに
学生時代の 風景が映し出された

水泳大会の決勝・・・
僕に勝てないと分かると 足がつったと言い 途中から力を抜いた
クラスのみんなは
一位の僕より 負傷を顧みず戦った二位のアイツに寄り添った
自分が得意な器械体操では
真っ先に 完璧な演技を行う
背の順で バディだった僕は
いつもアイツの後・・・
そんなに悪くはないのに 見劣りした
勉強だってそうだ
極度な近視で メモが取れないと宣言した
アイツの言葉を信用した先生は
前の席に移ることを提案したが
「自分は 背が高いので皆に迷惑をかけます 後ろで結構です」
そう言って 僕の隣に座った
アイツの 上辺だけのハートに踊らされた先生は
僕に向かって ノートを貸してやれと指示した
先生の説明も全て記録する
メモ魔の僕のノートは 参考書10冊分の価値がある
そんな貴重なノートを 本来の視力1.5両目のアイツは
なにも苦労せずに 手に入れた
ふざけたことに
試験の結果は いつもアイツが上だった
何度も 何度も
アイツのいない場所に行きたいと思った
Kayou. - I Can't Hate You
しかし・・・
神様の悪ふざけは 止まらなかった
アイツは
ずっと 僕のそばにいた
クラブ活動も 進学先も そして就職先まで・・・
こうなると
もはや 笑うしかない
初恋の女性も
あっさり アイツが奪われたとき
仕方ないか・・・
ミラーの向こうで白旗をあげる僕を知った時
もう一度 僕は笑った
お前だけは 認めてやる
そう 割り切ることが ようやくできたのに・・・
アイツを友として
接することができるように準備ができたとき
アイツは 別世界に逝ってしまった
カノジョとワイアットアープを残して 逝ってしまった
ドク・ホリデーのように・・・
FIAT スパイダー124/2000の助手席に
僕の初恋の人でもある アイツのカノジョを乗せた僕は
瀬戸内の小さな町に向かった
僕とアイツの 故郷へ
行きしなに 僕は
アイツの 陽日の当たった思い出だけを語った
学生時代の話 クラブ活動の話 仕事の話・・・
カノジョの
潤んだ瞳はクリスタルのように ときおりキラりと輝きながら
遠くを見つめていた
墓参りを済ませたあと
アイツが好きだった海岸に カノジョを案内した
「あなたは かれの親友だったのね」
そうじゃない・・・
「彼は 自分のことより あなたのことばかり 話していたわ・・・
オレは アイツで アイツは俺なんだって・・・」
・・・
「あるとき 自分の命は長くない
なにかあったら あなたを頼れって・・・」
突然 カノジョは 僕の胸に飛び込んだ・・・
そして 泣いた
僕は・・・ 僕は・・・
カノジョを抱きしめようとする両手と
抱きしめてはいけないと 止めようとする
僕の両手の影が
カノジョの背中で 戦っている
やがて 影に負けた僕の両手は
ぐいと カノジョを 引き放した
「あなたの名前が大好きです」
ワイアットアープが クレメンタインに残した
一言・・・
それだけを カノジョに 告げると
僕は 一人 FIAT スパイダーに戻った
小春日和の海岸に立つカノジョが
牧場で ワイアットアープを 見つめるクレメンタインに見えた
僕の恋したカノジョは もう いない・・・
空を指さして 僕は笑った
やっぱり 僕は お前が嫌いだ
学生時代のころから いつも 正々堂々勝負をしない
FIAT スパイダー124/2000のバックミラーに
学生時代の 風景が映し出された

水泳大会の決勝・・・
僕に勝てないと分かると 足がつったと言い 途中から力を抜いた
クラスのみんなは
一位の僕より 負傷を顧みず戦った二位のアイツに寄り添った
自分が得意な器械体操では
真っ先に 完璧な演技を行う
背の順で バディだった僕は
いつもアイツの後・・・
そんなに悪くはないのに 見劣りした
勉強だってそうだ
極度な近視で メモが取れないと宣言した
アイツの言葉を信用した先生は
前の席に移ることを提案したが
「自分は 背が高いので皆に迷惑をかけます 後ろで結構です」
そう言って 僕の隣に座った
アイツの 上辺だけのハートに踊らされた先生は
僕に向かって ノートを貸してやれと指示した
先生の説明も全て記録する
メモ魔の僕のノートは 参考書10冊分の価値がある
そんな貴重なノートを 本来の視力1.5両目のアイツは
なにも苦労せずに 手に入れた
ふざけたことに
試験の結果は いつもアイツが上だった
何度も 何度も
アイツのいない場所に行きたいと思った
Kayou. - I Can't Hate You
しかし・・・
神様の悪ふざけは 止まらなかった
アイツは
ずっと 僕のそばにいた
クラブ活動も 進学先も そして就職先まで・・・
こうなると
もはや 笑うしかない
初恋の女性も
あっさり アイツが奪われたとき
仕方ないか・・・
ミラーの向こうで白旗をあげる僕を知った時
もう一度 僕は笑った
お前だけは 認めてやる
そう 割り切ることが ようやくできたのに・・・
アイツを友として
接することができるように準備ができたとき
アイツは 別世界に逝ってしまった
カノジョとワイアットアープを残して 逝ってしまった
ドク・ホリデーのように・・・
FIAT スパイダー124/2000の助手席に
僕の初恋の人でもある アイツのカノジョを乗せた僕は
瀬戸内の小さな町に向かった
僕とアイツの 故郷へ
行きしなに 僕は
アイツの 陽日の当たった思い出だけを語った
学生時代の話 クラブ活動の話 仕事の話・・・
カノジョの
潤んだ瞳はクリスタルのように ときおりキラりと輝きながら
遠くを見つめていた
墓参りを済ませたあと
アイツが好きだった海岸に カノジョを案内した
「あなたは かれの親友だったのね」
そうじゃない・・・
「彼は 自分のことより あなたのことばかり 話していたわ・・・
オレは アイツで アイツは俺なんだって・・・」
・・・
「あるとき 自分の命は長くない
なにかあったら あなたを頼れって・・・」
突然 カノジョは 僕の胸に飛び込んだ・・・
そして 泣いた
僕は・・・ 僕は・・・
カノジョを抱きしめようとする両手と
抱きしめてはいけないと 止めようとする
僕の両手の影が
カノジョの背中で 戦っている
やがて 影に負けた僕の両手は
ぐいと カノジョを 引き放した
「あなたの名前が大好きです」
ワイアットアープが クレメンタインに残した
一言・・・
それだけを カノジョに 告げると
僕は 一人 FIAT スパイダーに戻った
小春日和の海岸に立つカノジョが
牧場で ワイアットアープを 見つめるクレメンタインに見えた
僕の恋したカノジョは もう いない・・・
空を指さして 僕は笑った
やっぱり 僕は お前が嫌いだ
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