フォルトゥナの瞳 ~ XC40 T5 2020 ~
03,2021 15:34
キミのいない助手席の向こうに
台風一過 白波の立つ 秋の海岸線が広がる
心が ようやく 現実に追いついてきた
半年前・・・
キミは 突然の病で逝ってしまった
意識が無かったので
痛みを感じることも無かったのが せめてもの救いと医者は言った
何が救いなものか・・・
痛みさえあれば 病気に気付けたではないか
残された家族への配慮の一言も
僕には 死神のささやきに聞こえた
それなのに
日常は 少しづつ キミの記憶を削っていく
そんなとき
二人の思い出スクラップを見つけた
遊園地の入場券や御朱印が
キミの性格を表すように 几帳面に貼られている
ふと 映画の半券に目が留まる
”フォルトゥナの瞳”
あぁ 僕に あの能力があったら
キミの危機を事前に知ることができたのに・・・
ずっと ずっと
そばにいたのに・・・
自分の無力を嘆いていると
スクラップの間から ふわりと紙が落ちた
初夏に行く予定だったドライブマップだった
海を見渡すCaféは
キミが記した チェックポイント １つ目
カフェオレとチーズケーキを二つテイクアウトした
もちろん 一つは キミの分だ・・・
Caféを出ると
ドライブマップは
海岸線の道を逸れて 山道を指していた
XC40は 電気モーターに切り替わり
静かにワインディングロードを進んだ
紅葉が始まっている薄赤色の雑木林の壁が
突然ぽかりと切り開かれた
キミのチェックポイント二つ目 展望台に到着した
「週末の一泊ドライブ 楽しみだね」
そういう僕に
「できれば 旅行中 私もちょっと運転したいな」
ペーパーゴールドドライバーのキミが言った
「いいけど・・・
いきなりで 大丈夫かい」
そういう僕に 心配だから今日運転してみたいというキミ・・・
それではと 運転席を譲った
GON！！
突然のアクセル全開で XC40の右側フロントマスクが大破した
「ごめんなさい・・・」
旅行三日前の出来事・・・
世界の終わりを見つめているようなキミの瞳・・・
こうして
週末のドライブ計画は 延期された・・・
それから
たった一週間後のことだ
キミが 一人で逝ってしまったのは・・・
XC40を降りた僕は
秋風の吹く 空に手を伸ばした
もう少し 伸ばせば キミに触れることができるだろうか・・・
車が直ったら 行けばいいさ
そう約束したじゃないか・・・
Tears in Heaven
ドライブマップの終点は
露天風呂が 有名な温泉旅館
この道を曲がると・・・
！！
ドライブマップが示した場所は
大きな駐車場だった
コンビニに入った僕は
ホテルは 半年前に 山崩れで消失したことを聞いた
僕たちが宿泊する予定だった その日に・・・
再び 僕の脳裏に あの映画が思い出された
”フォルトゥナの瞳”
君は あの瞳を持っていたのかい・・・
僕を助けるために わざと事故を 起こしたのかい・・・
改めて
ドライブマップの裏面に書かれた 君のメモを見た
「ごめんね 車
ごめんね 一緒に行けなくて」
XC40のパノラマルーフを開放した僕は
冷めたカフェオレ手に 助手席を見た
ルーフから差し込む光のカーテン越しに
半透明の君が 微笑んでいた
台風一過 白波の立つ 秋の海岸線が広がる
心が ようやく 現実に追いついてきた
半年前・・・
キミは 突然の病で逝ってしまった
意識が無かったので
痛みを感じることも無かったのが せめてもの救いと医者は言った
何が救いなものか・・・
痛みさえあれば 病気に気付けたではないか
残された家族への配慮の一言も
僕には 死神のささやきに聞こえた
それなのに
日常は 少しづつ キミの記憶を削っていく
そんなとき
二人の思い出スクラップを見つけた
遊園地の入場券や御朱印が
キミの性格を表すように 几帳面に貼られている
ふと 映画の半券に目が留まる
”フォルトゥナの瞳”
あぁ 僕に あの能力があったら
キミの危機を事前に知ることができたのに・・・
ずっと ずっと
そばにいたのに・・・
自分の無力を嘆いていると
スクラップの間から ふわりと紙が落ちた
初夏に行く予定だったドライブマップだった
海を見渡すCaféは
キミが記した チェックポイント １つ目
カフェオレとチーズケーキを二つテイクアウトした
もちろん 一つは キミの分だ・・・
Caféを出ると
ドライブマップは
海岸線の道を逸れて 山道を指していた
XC40は 電気モーターに切り替わり
静かにワインディングロードを進んだ
紅葉が始まっている薄赤色の雑木林の壁が
突然ぽかりと切り開かれた
キミのチェックポイント二つ目 展望台に到着した
「週末の一泊ドライブ 楽しみだね」
そういう僕に
「できれば 旅行中 私もちょっと運転したいな」
ペーパーゴールドドライバーのキミが言った
「いいけど・・・
いきなりで 大丈夫かい」
そういう僕に 心配だから今日運転してみたいというキミ・・・
それではと 運転席を譲った
GON！！
突然のアクセル全開で XC40の右側フロントマスクが大破した
「ごめんなさい・・・」
旅行三日前の出来事・・・
世界の終わりを見つめているようなキミの瞳・・・
こうして
週末のドライブ計画は 延期された・・・
それから
たった一週間後のことだ
キミが 一人で逝ってしまったのは・・・
XC40を降りた僕は
秋風の吹く 空に手を伸ばした
もう少し 伸ばせば キミに触れることができるだろうか・・・
車が直ったら 行けばいいさ
そう約束したじゃないか・・・
Tears in Heaven
ドライブマップの終点は
露天風呂が 有名な温泉旅館
この道を曲がると・・・
！！
ドライブマップが示した場所は
大きな駐車場だった
コンビニに入った僕は
ホテルは 半年前に 山崩れで消失したことを聞いた
僕たちが宿泊する予定だった その日に・・・
再び 僕の脳裏に あの映画が思い出された
”フォルトゥナの瞳”
君は あの瞳を持っていたのかい・・・
僕を助けるために わざと事故を 起こしたのかい・・・
改めて
ドライブマップの裏面に書かれた 君のメモを見た
「ごめんね 車
ごめんね 一緒に行けなくて」
XC40のパノラマルーフを開放した僕は
冷めたカフェオレ手に 助手席を見た
ルーフから差し込む光のカーテン越しに
半透明の君が 微笑んでいた
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