波止場 ~ ルノー5 1985 ~
22,2021 16:52
カノジョは
巨大なビルに囲まれた
日の当たらないオフィスの中で
一人 ハイビスカスのように 底抜けに 明るく賑やかで
取引先からの評判は最高だった
しかし・・・
日差しが強く当たる場所には
必ず影ができるように
カノジョの周囲にも どんよりとした黒い陰があった
それでも
自分のスタイルを変えなかったカノジョに
突然 不倫のうわさが流れた
根拠のないスキャンダルだったが
結局 カノジョは 会社を辞めることになった
根拠がないと
なぜ 言い切れるかって・・・
それは 存在感のない僕が
昼休みに デスクで居眠りしていと
カノジョに対する 嫉妬プロジェクトが聴こえてきたから・・・
「僕も辞めます」
カノジョが 会社を出ようとした そのとき・・・
僕はカノジョの手を取った
「何を カッコつけてるんだ」
「アイツが カノジョの相手だったの？」
様々な 思いが乗っかった視線を 掻い潜っているとき
1954年 アメリカ映画のワンシーンが蘇った
波止場のテリー（Marlon Brando）は
オーディエンスを顧みず 自分の信念を貫いたじゃないか
僕はカノジョと一緒に
事務所を飛び出した
誰の目にも止まらない
オフィスの人工観葉植物
そう 言われ続けてきた僕の
最初で最後の反抗は
人工観葉植物に 毎日水をやるように
僕の背中をＴｏｎ！と叩いて
笑顔で おはよう！ と挨拶してくれた
カノジョのために 使われた
「あの・・・ちょっと・・・」
何かを 言おうとするカノジョを
駐車場に停めてある
ルノー5の助手席に押し込んだ
「この車・・・
やんちゃで なかなか言うことを聞いてくれないんだ
これまで 何度 ぶつけたことか・・・ 」
えっ・・・
身体を固くするカノジョ
「あっ・・・ 今日は 大丈夫ですよ 君が乗ってるから」
そう言うと
僕は 更に話しを続けた
カノジョに 喋る機会を与えないように・・・
「でも そんな ところが とても愛おしい
君は この車と同じ香りがする」
ルノー5は 駅のロータリーに到着した
「僕は 変わりたかったんだ
それが
たまたま 今日だった それだけのことだから・・・
僕が 会社を辞めたことを
君が 気にすることはない・・・
むしろ 今・・・ とてもスッキリしているんだ
ただ・・・ 君とは
ここでお別れ だけど・・・」
Don’t you Simple Minds
「これからも やんちゃで元気な君でいてほしいな」
「あの・・・」
カノジョが 再び何かを言いたそうだったが
僕は 運転席を出ると
助手席に回って さよならを告げるように 扉を開けた
「もう！！ そうじゃなくて・・・！」
えっ・・・
加速装置を使ったように
カノジョが 僕に向かって飛び込んできた
Kacheeeeeeeennnnnnnnn！
唇を通り越して
カノジョの前歯が僕の前歯にぶつかった
あぁ やっぱり・・・
僕は じゃじゃ馬 なしでは いられない
巨大なビルに囲まれた
日の当たらないオフィスの中で
一人 ハイビスカスのように 底抜けに 明るく賑やかで
取引先からの評判は最高だった
しかし・・・
日差しが強く当たる場所には
必ず影ができるように
カノジョの周囲にも どんよりとした黒い陰があった
それでも
自分のスタイルを変えなかったカノジョに
突然 不倫のうわさが流れた
根拠のないスキャンダルだったが
結局 カノジョは 会社を辞めることになった
根拠がないと
なぜ 言い切れるかって・・・
それは 存在感のない僕が
昼休みに デスクで居眠りしていと
カノジョに対する 嫉妬プロジェクトが聴こえてきたから・・・
「僕も辞めます」
カノジョが 会社を出ようとした そのとき・・・
僕はカノジョの手を取った
「何を カッコつけてるんだ」
「アイツが カノジョの相手だったの？」
様々な 思いが乗っかった視線を 掻い潜っているとき
1954年 アメリカ映画のワンシーンが蘇った
波止場のテリー（Marlon Brando）は
オーディエンスを顧みず 自分の信念を貫いたじゃないか
僕はカノジョと一緒に
事務所を飛び出した
誰の目にも止まらない
オフィスの人工観葉植物
そう 言われ続けてきた僕の
最初で最後の反抗は
人工観葉植物に 毎日水をやるように
僕の背中をＴｏｎ！と叩いて
笑顔で おはよう！ と挨拶してくれた
カノジョのために 使われた
「あの・・・ちょっと・・・」
何かを 言おうとするカノジョを
駐車場に停めてある
ルノー5の助手席に押し込んだ
「この車・・・
やんちゃで なかなか言うことを聞いてくれないんだ
これまで 何度 ぶつけたことか・・・ 」
えっ・・・
身体を固くするカノジョ
「あっ・・・ 今日は 大丈夫ですよ 君が乗ってるから」
そう言うと
僕は 更に話しを続けた
カノジョに 喋る機会を与えないように・・・
「でも そんな ところが とても愛おしい
君は この車と同じ香りがする」
ルノー5は 駅のロータリーに到着した
「僕は 変わりたかったんだ
それが
たまたま 今日だった それだけのことだから・・・
僕が 会社を辞めたことを
君が 気にすることはない・・・
むしろ 今・・・ とてもスッキリしているんだ
ただ・・・ 君とは
ここでお別れ だけど・・・」
Don’t you Simple Minds
「これからも やんちゃで元気な君でいてほしいな」
「あの・・・」
カノジョが 再び何かを言いたそうだったが
僕は 運転席を出ると
助手席に回って さよならを告げるように 扉を開けた
「もう！！ そうじゃなくて・・・！」
えっ・・・
加速装置を使ったように
カノジョが 僕に向かって飛び込んできた
Kacheeeeeeeennnnnnnnn！
唇を通り越して
カノジョの前歯が僕の前歯にぶつかった
あぁ やっぱり・・・
僕は じゃじゃ馬 なしでは いられない
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