5パーセントの奇跡 ~ S660 2020 ~
27,2021 16:53
学生時代の君は
負けず嫌いが過ぎていた
キャッチャーのサインに首を振り 投じた一球で
甲子園の道が閉ざされた時も
自分のピッチングが原因じゃないと最後まで反省しなかった
それが その年の野球部の卒業写真にエースがいない理由
卒業すると車にのめり込んだ君は
通学と称して 毎日のように峠道を駆っていた
車重を均等にしたいからと言って
「今日も ヨロシクな」
たった一言で
私を 毎日のように助手席に押し込んだ
君には私しかいないから 仕方ないと思った
でも・・・ あの日
「車は裏切らない」
君はそう言った
私ではなく なぜ車なの・・・
それが・・・
ずっと君の衛星軌道上を回っていた
世界一の美女が 離れていった理由
社会人になった君は 週末レーサーになっていた
一度だけ
レースに向かう君を見かけた
運転席の君が
あの夏の マウンドの君に見えたとき 私の ハートは ぽくりと鳴った
そんなとき
君は 事故で左目の視力を失った・・・
そして今・・・
車を手放した君は 私と同じ通勤列車に乗っている
人にぶつかるたびに
”ごめんなさい・・・” ”すいません・・・”と言い続けている
あの自信満々の君は もういない
ずっと ずっと
君は 地球ばかり 見ながら歩いている
Time with you by Marc Robillard
Don！！
「すいません・・・」
ぶつかった相手を見ることもなく 地面に向かって 呟く君・・・
「へぇー わざとぶつかった 私にも 謝ってくれるんだ」
見上げる彼の顔は 心を無くしたビスクドールのようだった
「週末 ヨロシクな」
私は 君の肩を叩いて そう告げた
梅雨の合間・・・
青空に羊雲が浮かぶ日曜日
S660の運転席に君を押し込んだ
「さぁ ドライブしよう
コイツ・・・ 私には手に負えないのよ！！」
「ごめん・・・ おれ 眼が・・・」
私は言った
「5％の視力でも ホテルマンの夢をかなえる人がいるの！
たかが半分の視力がなくなったくらいで 車は 君を裏切るの？」
・・・
信号待ちのS660・・・
「ねぇねぇ ママ・・・」
横断歩道を渡る女の子が S660を指差しながら言った
「あのお姉ちゃん ずっと窓の外ばっかり見てるよ 喧嘩でもしてるのかな？」
「こらっ！ 指をささないの！」
母親は ぺこりと私に挨拶をして 娘を引きづるように去っていった
ニッコリ笑顔の私は
「左 オーライ」 とつぶやいた
「Mari ・・・ありがとう」
運転席の君は 確かに言った・・・
君の口から聞いたことのない言葉
『謝罪』 そして『感謝』
その二つを クリアしたのは 世界中を探しても 私しかいない
その日・・・
S660の動く条件が 決まった
キーとガソリン そして
左目の見えないドライバーと ペーパードライバーのナビゲイターがそろうこと！
負けず嫌いが過ぎていた
キャッチャーのサインに首を振り 投じた一球で
甲子園の道が閉ざされた時も
自分のピッチングが原因じゃないと最後まで反省しなかった
それが その年の野球部の卒業写真にエースがいない理由
卒業すると車にのめり込んだ君は
通学と称して 毎日のように峠道を駆っていた
車重を均等にしたいからと言って
「今日も ヨロシクな」
たった一言で
私を 毎日のように助手席に押し込んだ
君には私しかいないから 仕方ないと思った
でも・・・ あの日
「車は裏切らない」
君はそう言った
私ではなく なぜ車なの・・・
それが・・・
ずっと君の衛星軌道上を回っていた
世界一の美女が 離れていった理由
社会人になった君は 週末レーサーになっていた
一度だけ
レースに向かう君を見かけた
運転席の君が
あの夏の マウンドの君に見えたとき 私の ハートは ぽくりと鳴った
そんなとき
君は 事故で左目の視力を失った・・・
そして今・・・
車を手放した君は 私と同じ通勤列車に乗っている
人にぶつかるたびに
”ごめんなさい・・・” ”すいません・・・”と言い続けている
あの自信満々の君は もういない
ずっと ずっと
君は 地球ばかり 見ながら歩いている
Time with you by Marc Robillard
Don！！
「すいません・・・」
ぶつかった相手を見ることもなく 地面に向かって 呟く君・・・
「へぇー わざとぶつかった 私にも 謝ってくれるんだ」
見上げる彼の顔は 心を無くしたビスクドールのようだった
「週末 ヨロシクな」
私は 君の肩を叩いて そう告げた
梅雨の合間・・・
青空に羊雲が浮かぶ日曜日
S660の運転席に君を押し込んだ
「さぁ ドライブしよう
コイツ・・・ 私には手に負えないのよ！！」
「ごめん・・・ おれ 眼が・・・」
私は言った
「5％の視力でも ホテルマンの夢をかなえる人がいるの！
たかが半分の視力がなくなったくらいで 車は 君を裏切るの？」
・・・
信号待ちのS660・・・
「ねぇねぇ ママ・・・」
横断歩道を渡る女の子が S660を指差しながら言った
「あのお姉ちゃん ずっと窓の外ばっかり見てるよ 喧嘩でもしてるのかな？」
「こらっ！ 指をささないの！」
母親は ぺこりと私に挨拶をして 娘を引きづるように去っていった
ニッコリ笑顔の私は
「左 オーライ」 とつぶやいた
「Mari ・・・ありがとう」
運転席の君は 確かに言った・・・
君の口から聞いたことのない言葉
『謝罪』 そして『感謝』
その二つを クリアしたのは 世界中を探しても 私しかいない
その日・・・
S660の動く条件が 決まった
キーとガソリン そして
左目の見えないドライバーと ペーパードライバーのナビゲイターがそろうこと！
 |
 スポンサーサイト
Latest Posts - |
