ヴァイオレット・エヴァーガーデン ~ シビック 2019 ~
01,2021 13:58
毎週金曜日の夜は
実家に帰り 母と過ごした
小学4年生のころ
父は家を出て行った
その理由を 僕は知らない
ただ 僕の大好きだったヴァイオレットの1991年型EFシビックが
駐車場を出ていくとき
庭に咲いていた 紫色の藤棚を眺めていた母の瞳は枯れていた
その日から 母は 仮面をかぶってしまった
アルバイトで稼いだお金で
毎週 花の苗をプレゼントする僕に
「ありがとう」
そう言って 見せる笑顔も 仮面の一つで感情が伴っていない
僕が 友達とけんかをして相手に怪我を負わせてしまった時も・・・
「だめよ・・・」
成績優秀で 学校から表彰された時も・・・
「よかったわね・・・」
就職して 実家から独立すると言った時も・・・
「そう・・・」
いつも 表情の変わらない顔で・・・
あの日 父は母の感情も
持って行ってしまった・・・
バイオレットの心と共に消えた ギルベルト少佐のように
そんな母が
若年性アルツハイマーになった
気付いたときには もはや 施設に入れなければならないほどに進行していた
僕は 母のことを何も理解できていなかった・・・
母を介護施設に入所させ
実家の整理をしていた僕は 母の日記を見つけた
そこには 父と出会ったころの
感情豊かな 若かりし頃の母がいた
僕は・・・
母の日記を読みながら
手紙を書いた
送り主は Keizo(父)・・・
毎週金曜日・・・
母の見舞いのたびに こっそり手紙を置いていった
その日は
体調が良かったのだろう 看護師に支えられて
母は 駐車場で僕を 待っていた
父が乗っていた車の後継車2019年式FCシビックを降りた僕に
「おかえりなさい」
幼いころ・・・
もう忘れかけていた 母の 満面の笑みがあった
手に持っていた母へのプレゼント
藤の苗木を見つけた母は
「あぁ・・・ 私の大好きな 藤の花・・・
ありがとう Keizo-san」
少女のような 母の瞳に映っていたのは 父だった
藤の花を看護師に渡すと
僕は 母と一緒に ドライブに出た
母の笑顔は 美しかった
僕のことを覚えていない・・・
そんなことは どうでもよかった
ただ 母に笑顔が戻ってきたことがうれしかった
母の前では 僕はKenzo-sanでいいのだ
日記によく書かれていた ”ふじの咲く丘”に到着した・・・

どこまでも続く
藤棚を見つめて 母は 僕の左手に抱きついて
ぎゅっと握りしめながら呟いていた
藤がずっと ずっと 続いている・・・ ずっと ずっと ずっと ずっと・・・
ヴァイオレット・・・ エヴァー・・・ ガーデン キ・レ・イ・・・
「手紙 ありがとう・・・ アイシテル Kenta 」
!・・・・・・・・・・かあさん・・・ 僕の名前を・・・
やっぱり 僕は 母のことを わかってなかった
快晴の空・・・
僕の視界にだけ 七色の橋が架かった
実家に帰り 母と過ごした
小学4年生のころ
父は家を出て行った
その理由を 僕は知らない
ただ 僕の大好きだったヴァイオレットの1991年型EFシビックが
駐車場を出ていくとき
庭に咲いていた 紫色の藤棚を眺めていた母の瞳は枯れていた
その日から 母は 仮面をかぶってしまった
アルバイトで稼いだお金で
毎週 花の苗をプレゼントする僕に
「ありがとう」
そう言って 見せる笑顔も 仮面の一つで感情が伴っていない
僕が 友達とけんかをして相手に怪我を負わせてしまった時も・・・
「だめよ・・・」
成績優秀で 学校から表彰された時も・・・
「よかったわね・・・」
就職して 実家から独立すると言った時も・・・
「そう・・・」
いつも 表情の変わらない顔で・・・
あの日 父は母の感情も
持って行ってしまった・・・
バイオレットの心と共に消えた ギルベルト少佐のように
そんな母が
若年性アルツハイマーになった
気付いたときには もはや 施設に入れなければならないほどに進行していた
僕は 母のことを何も理解できていなかった・・・
母を介護施設に入所させ
実家の整理をしていた僕は 母の日記を見つけた
そこには 父と出会ったころの
感情豊かな 若かりし頃の母がいた
僕は・・・
母の日記を読みながら
手紙を書いた
送り主は Keizo(父)・・・
毎週金曜日・・・
母の見舞いのたびに こっそり手紙を置いていった
その日は
体調が良かったのだろう 看護師に支えられて
母は 駐車場で僕を 待っていた
父が乗っていた車の後継車2019年式FCシビックを降りた僕に
「おかえりなさい」
幼いころ・・・
もう忘れかけていた 母の 満面の笑みがあった
手に持っていた母へのプレゼント
藤の苗木を見つけた母は
「あぁ・・・ 私の大好きな 藤の花・・・
ありがとう Keizo-san」
少女のような 母の瞳に映っていたのは 父だった
藤の花を看護師に渡すと
僕は 母と一緒に ドライブに出た
母の笑顔は 美しかった
僕のことを覚えていない・・・
そんなことは どうでもよかった
ただ 母に笑顔が戻ってきたことがうれしかった
母の前では 僕はKenzo-sanでいいのだ
日記によく書かれていた ”ふじの咲く丘”に到着した・・・

どこまでも続く
藤棚を見つめて 母は 僕の左手に抱きついて
ぎゅっと握りしめながら呟いていた
藤がずっと ずっと 続いている・・・ ずっと ずっと ずっと ずっと・・・
ヴァイオレット・・・ エヴァー・・・ ガーデン キ・レ・イ・・・
「手紙 ありがとう・・・ アイシテル Kenta 」
!・・・・・・・・・・かあさん・・・ 僕の名前を・・・
やっぱり 僕は 母のことを わかってなかった
快晴の空・・・
僕の視界にだけ 七色の橋が架かった
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