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スライドギターの音色 ~ PT Cruiser ~ クロスロード ~

 17,2012 23:59
 
南側へ緩やかに傾斜したクロスロードで PTクルーザーは止まった
北の街から南下してきた僕は 空気の中に仄かな潮の香りを感じつつ そっと目を閉じた
ここから西に25kmの地点に カノジョの家がある

ジャスミンの花が咲く庭先で
カノジョは ロングヘアーにイブサンローランのロングスカートを
均等な放物線でそよがせている 口元に微かな笑みを浮かべて

 「私たち これからどうなるの・・・」
一月前 カノジョが Café Casablancaで言った
 「このまま 何となく時を刻むのは もう限界・・・ おばあちゃんになっちゃうわ」
そう言いながら取り出した 小さなカレンダー
 「この日 私は故郷に帰ります・・・」
カノジョの指差した 5月17日には赤いHeartのマークを付いていた
そんなカノジョの瞳には 果てしなく続くグリーンの大地が見えた

クロスロードの北西には 真っ赤な屋根の小さなCaféがあった
”The sky is cryin” 僕は 吸い込まれるように 店に入った

Caféの中は ブルースが流れていた
僕は クロスロードの見える窓際に座り カフェオレを頼んだ

砂糖をたくさん入れ もはや珈琲牛乳となったカフェオレを飲みながら
東に続く 道を眺めた
ここから東に28km先に 僕の夢が待っていた 

子供のころから弾き続けてきたギター 
Café Casablancaで彼女に聴かせた ユジーン(Ralph Macchio)になりきって


その時 隣席の 紳士が声をかけてきた 
 「オーディションを受ける気があるかい? 君なら世界中の人を魅了できるだろう・・・」
今日は そのオーディションの日・・・

椅子に置いたギターに僕は声をかけた
 「東か 西か 君ならどっちを選ぶ・・・」

北から流れてくる雲をぼんやり眺めていると マスターが声をかけてきた
 「ギターを弾くのかい?」
今は一人になりたいところだったが マスターの人懐こい笑顔に 僕の心は緩んだ
 「えぇ そんなにうまくないですけど」
 「私も 若いころはよく弾いたもんさ ちょっと貸してもらえるかな」
僕は 快くギターを手渡した 

♪Ry Cooder - Feelin' Bad Blues~ ♪


マスターのギターは 荒野と どこまでも続く道 そして男のロマンを醸し出いしていた
薄っぺらい自分の音色とは 全く違う人生が詰まっているようだった

 「このギターは 本当にいいギターだ よく弾き込んでいるね 持ち主の気持ちが伝わってくる」
弾き終わるとマスターが言った
 「君と同じ年のころ 私は自分のギターで 世界を変えることができると信じていた
  しかし 結局は最愛の人すら 幸せにすることができなかった・・・
  自分の存在意義は 目の前にあることを忘れてはいけないよ」
マスターは 僕にギターを返すと カウンターに戻った
彼の後ろには セピア色の写真が一枚
若きギタリストとロングヘアーの美しい女性が映っていた

PTクルーザーの2.4リットルターボエンジンを始動する 
排気音が ブルースに聴こえる
PT cruiser

 
十字路のうち 夕日に照らされてオレンジ色に輝く一本の道
その先に 僕のsoundを待つ人がいる 

真っ赤な屋根のCafé ”The sky is cryin”の窓際の席には
真っ白のピックが 置かれていた 
そこには ”Go West Thank You master” と書かれていた







 
      
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