英国王のスピーチ ~ リューギ 2018 ~
15,2020 20:22
紫色のリューギが側道から
国道に出るため 信号待ちをしている
長い長い
赤信号のランプが
ドライバーの男に 一ヶ月前の記憶をシネラマで投影した

「き・・・き・・・ 君と・・・ 君とつっ・・・付き合い・・・」
子供のころから吃音というコンプレックスを抱いていた彼は
大切なことを話そうとすると
きまって 言葉が出てこない・・・
それでも 就職を機に
街を出ることが決まっていた彼は
今度こそ しっかりカノジョに告白しなければならないと思った
しかし・・・
どう考えても どもってしまう
悩んだ末 彼は幼馴染のNanaに助けを求めた
ひまわりのように いつも明るく
吃音に苦しむ彼を 励ましてきたNanaは
英国王のスピーチという映画を薦めたうえで こう助言した
「好きな女の子だって ただの人間!
友達に話すように 話しなさい!」
ラジオスピーチに向かうジョージ6世に
スピーチ矯正の専門家であるライオネルが最後に伝えた言葉 そのものだった
しかし・・・
彼にとって カノジョは
友達のように話すことが 一番できない相手だった
結局 告白は 彼が思うようにはできなかった
「ごめんなさい・・・」
30日も前の カノジョの返事が
彼の頭の中で いまだにリフレインしていた
秋空に浮かぶ鱗雲を背景に
信号は まだ 赤色・・・
寝室の窓を開けると
鱗雲がたなびく秋晴れの日差しと共に入ってきた
乾いた南風が カノジョの耳元で囁いた
それは 彼の告白・・・
今日 彼は街を出る
たどたどしい告白は カノジョの心に響いていた
でも・・・
彼は Nanaと話しているとき
一度も どもったことがないの・・・
そう・・・
彼の隣にいるのは 私じゃないのよ・・・
カノジョの瞳に映り込む 鱗雲に波紋が浮かんだ
同じとき
鱗雲の空をNanaも見上げていた
今日・・・あいつは 街を出るんだ・・・
でも・・・
あいつは 大切な思いを伝えるとき・・・
必ず どもってしまうのに
私との会話は 一度も どもったことがなかった・・・
あいつにとって 私はゴースト
アイツの隣にいることはできない
Nanaの目尻が きらりと光った
ロールスロイス シルヴァークラウドIIのようなリューギの
ボンネットに映る信号が青に変わった・・・
国道を進む
リューギから フィガロの結婚の序曲が流れていた
国道に出るため 信号待ちをしている
長い長い
赤信号のランプが
ドライバーの男に 一ヶ月前の記憶をシネラマで投影した

「き・・・き・・・ 君と・・・ 君とつっ・・・付き合い・・・」
子供のころから吃音というコンプレックスを抱いていた彼は
大切なことを話そうとすると
きまって 言葉が出てこない・・・
それでも 就職を機に
街を出ることが決まっていた彼は
今度こそ しっかりカノジョに告白しなければならないと思った
しかし・・・
どう考えても どもってしまう
悩んだ末 彼は幼馴染のNanaに助けを求めた
ひまわりのように いつも明るく
吃音に苦しむ彼を 励ましてきたNanaは
英国王のスピーチという映画を薦めたうえで こう助言した
「好きな女の子だって ただの人間!
友達に話すように 話しなさい!」
ラジオスピーチに向かうジョージ6世に
スピーチ矯正の専門家であるライオネルが最後に伝えた言葉 そのものだった
しかし・・・
彼にとって カノジョは
友達のように話すことが 一番できない相手だった
結局 告白は 彼が思うようにはできなかった
「ごめんなさい・・・」
30日も前の カノジョの返事が
彼の頭の中で いまだにリフレインしていた
秋空に浮かぶ鱗雲を背景に
信号は まだ 赤色・・・
寝室の窓を開けると
鱗雲がたなびく秋晴れの日差しと共に入ってきた
乾いた南風が カノジョの耳元で囁いた
それは 彼の告白・・・
今日 彼は街を出る
たどたどしい告白は カノジョの心に響いていた
でも・・・
彼は Nanaと話しているとき
一度も どもったことがないの・・・
そう・・・
彼の隣にいるのは 私じゃないのよ・・・
カノジョの瞳に映り込む 鱗雲に波紋が浮かんだ
同じとき
鱗雲の空をNanaも見上げていた
今日・・・あいつは 街を出るんだ・・・
でも・・・
あいつは 大切な思いを伝えるとき・・・
必ず どもってしまうのに
私との会話は 一度も どもったことがなかった・・・
あいつにとって 私はゴースト
アイツの隣にいることはできない
Nanaの目尻が きらりと光った
ロールスロイス シルヴァークラウドIIのようなリューギの
ボンネットに映る信号が青に変わった・・・
国道を進む
リューギから フィガロの結婚の序曲が流れていた
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