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記憶にございません ~ イヴォーグ2019 ~

 22,2020 12:38
アイツから また突然の呼び出し
「明日 ドライブにいかないかい?
 できれば お弁当があると嬉しいな」

もう!!
私は お手伝いさんじゃないんだから
そう思いながらも 
明日の天気は快晴 ドライブは 悪くない
新型イヴォーグは 
彼がナビをつけていても
デュアル画面だから 気兼ねなくテレビも楽しめる

イヴォーグ 2018

仕方なく 彼の大好きな
クロワッサン・パストラミのサンドウィッチをバスケットに詰め込んで
イヴォーグの助手席に乗った

春の ワインディングロードを しなやかに 走るイヴォーグ
カーブの連続もロールが少ないため快適

「こんなにおいしいクロワッサン 生まれて初めて食べるよ」
カーブを曲がりながらも 
早速サンドウィッチを頬張る彼

「前にも 何度か作ってるけどね・・・」と私

Hahahahaha
「あっ そうだっけ」と彼

「そうだ!!」
話題を変えるように 彼が続けて言う
「この前 海岸沿いで いい雰囲気のカフェを見つけたんだ
 帰りに 連れて行ってあげるよ Casablancaっていうんだけど・・・」

「それ 私が教えてあげたお店のこと?」

Hahahaha・・・

「あっ前のポルシェのナンバー!! 参勤交代だよ!!
 1635!! ジュウロウドウダヨ サンキンコウタイ いい趣味してるなぁ・・・」



まったく・・・
運転中は無口彼が 今日は何かと 話しかけてくる 
別に構わないけど・・・
彼は 私に興味がないのだ
私と話したことなどほとんど覚えてない

自分の悩み相談室程度にしか思っていないのだろう
確かに 小学生のころからの付き合いだから
あなたのことは ご両親と同じぐらい知っていると思う
車と映画 そして 歴史年号を暗記すること以外 関心がない人ということも よく知っている

だから 無理して話しかけてこなくてもいいんだよ・・・
 
「そういえば この道 大好きだったよね」

また また・・・
まったく 記憶にございません いったい誰と間違っているのやら・・・

段々気分が悪くなってきた

「さぁ ついたよ」

イヴォーグが停まったのは
山道の途中にある小さな公園の駐車場

車を降りた彼は 私の手を引いて公園の奥へ向かう

針葉樹林を抜けると 目の前に関東平野が広がった
かなり高いところまで登ってきていたようだ

「わぁー・・・きれい」
心がつぶやいた 

と その時 彼が 目の前の景色とは反対のほうを 指さした



満開の桜と 時計台・・・ 

「ようやくだけど・・・ 僕と結婚してください」

あっ・・・

私の中で 
15年前の記憶がよみがえってきた

卒業記念で植えた桜の木・・・
その時私は彼に言った
「あの時計台より大きくなった桜の花が満開の下で プロポーズされたいな」

あの日私は確かに言った・・・ 

 
私は彼に飛びついた

涙を流しながら
彼の耳元で 呟いた
「きおくにございません」

小さな小さな 彼への仕返しを 雲雀が 遠くで笑っていた




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