崖の上のポニョ ~ For Four ~
25,2019 23:13
台風一過の週末
真夏の日差しを期待していたが
台風の置き土産は
クジラのような入道雲ではなく 秋風とイワシ雲だった
港街を抜け 老人ホームの前を通り過ぎると
細くて急な海岸線の坂道が見えた
スマートForFourですら
車幅いっぱいの狭い道路の向こうに広がる
群青色の大海原は 記憶の中の景色と一緒だった
カーラジオから
David Lee Roth - California Girlsが流れてきたとき
懐かしいオレンジ色の屋根が見えた
ウィンドウを開けて
「ただいま・・・」
屋根のてっぺんで カラカラと元気に回っていた
真っ赤なオンドリ型の風向風速計に向かって 僕は 言った
一月前・・・
「私 この街が嫌い! 前の家に戻りたい」
転勤で 都会暮らしになった僕たち
それでも 海が大好きなカノジョのために
分不相応な湾岸地区のマンションを借りた・・・
この生活を維持するため
毎日残業を続けて がんばってきたつもりだた
それなのに・・・・
思いのままを ストレートに口に出す
カノジョの一言は
時にはナイフのように ぐさりと僕を貫く・・・
カノジョにとって
僕の気持ちなんて どうでもいいのだろう もう勘弁してくれ・・・
「そんなことを言っても・・・ あの家から 会社には通勤できないよ」
自分の感情を抑えて 優しく諭す僕に
「私と会社 どっちが大切なの」
涙をためた瞳で カノジョは僕に訴えた
Fuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
かみ合わない歯車に 溜息をつくと
巨大な入道雲から
大粒の涙雨が落ちてきた・・・
「わー 海っ!!」
車内に入り込んだ潮の香りが
助手席で眠っていたカノジョの肩を叩いたのだろう
瞳を輝かせながら
勢いよくフォーフォーと飛び出し
無邪気に 海に向かって走り出すカノジョは
波の上を走り抜ける 魔女のように見えた
仕事なんて
カノジョと楽しく暮らすための手段でしかない・・・
カノジョの泡のような 涙を見たとき
僕は 故郷に戻る 決心をした
ママ!!
おいてかないで!!私たちも行くー!!
カノジョにそっくりな 双子のお姫様たち
金魚のように
真っ赤なワンピースを着た二人は
ForFourの後部座席から 転がり出ると
カノジョの後を追った
2019年・・・夏
Fuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
これは ため息じゃない
大きな 深呼吸だ
!!
と その時・・・
僕の肺から 真っ黒な 空気玉が出た
都会の生活に
病んでいたのは 僕のほうだった
「おーい 待ってよ!!」
ForFourのフロントガラスには
魚のように飛び跳ねる
家族四人が映っていた

真夏の日差しを期待していたが
台風の置き土産は
クジラのような入道雲ではなく 秋風とイワシ雲だった
港街を抜け 老人ホームの前を通り過ぎると
細くて急な海岸線の坂道が見えた
スマートForFourですら
車幅いっぱいの狭い道路の向こうに広がる
群青色の大海原は 記憶の中の景色と一緒だった
カーラジオから
David Lee Roth - California Girlsが流れてきたとき
懐かしいオレンジ色の屋根が見えた
ウィンドウを開けて
「ただいま・・・」
屋根のてっぺんで カラカラと元気に回っていた
真っ赤なオンドリ型の風向風速計に向かって 僕は 言った
一月前・・・
「私 この街が嫌い! 前の家に戻りたい」
転勤で 都会暮らしになった僕たち
それでも 海が大好きなカノジョのために
分不相応な湾岸地区のマンションを借りた・・・
この生活を維持するため
毎日残業を続けて がんばってきたつもりだた
それなのに・・・・
思いのままを ストレートに口に出す
カノジョの一言は
時にはナイフのように ぐさりと僕を貫く・・・
カノジョにとって
僕の気持ちなんて どうでもいいのだろう もう勘弁してくれ・・・
「そんなことを言っても・・・ あの家から 会社には通勤できないよ」
自分の感情を抑えて 優しく諭す僕に
「私と会社 どっちが大切なの」
涙をためた瞳で カノジョは僕に訴えた
Fuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
かみ合わない歯車に 溜息をつくと
巨大な入道雲から
大粒の涙雨が落ちてきた・・・
「わー 海っ!!」
車内に入り込んだ潮の香りが
助手席で眠っていたカノジョの肩を叩いたのだろう
瞳を輝かせながら
勢いよくフォーフォーと飛び出し
無邪気に 海に向かって走り出すカノジョは
波の上を走り抜ける 魔女のように見えた
仕事なんて
カノジョと楽しく暮らすための手段でしかない・・・
カノジョの泡のような 涙を見たとき
僕は 故郷に戻る 決心をした
ママ!!
おいてかないで!!私たちも行くー!!
カノジョにそっくりな 双子のお姫様たち
金魚のように
真っ赤なワンピースを着た二人は
ForFourの後部座席から 転がり出ると
カノジョの後を追った
2019年・・・夏
Fuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
これは ため息じゃない
大きな 深呼吸だ
!!
と その時・・・
僕の肺から 真っ黒な 空気玉が出た
都会の生活に
病んでいたのは 僕のほうだった
「おーい 待ってよ!!」
ForFourのフロントガラスには
魚のように飛び跳ねる
家族四人が映っていた

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