ミスター ガラス ~ ジュリア1300GTA 1969 ~
02,2019 15:58
5月だというのにギラギラした太陽が照り
巷では早くも異常気象がささやかれている
しかし 異常気象も毎年続けば
それは もう異常ではなく 日常気象じゃないかな
カーラジオから流れてきた
長期予報を聴きながら僕は 呟いた
「まったくね・・・
でも・・・50年前に比べると
猛暑日が3倍になっていることは間違いないのない事実よ
つまり オーバーヒートに注意しなくちゃいけない日も 増えているということ!
アクセルワークには 十分気をつけてね!!」
彼女が言った
「もちろんさ 今までに僕が急発進をしたことが あったかい?」
無言になった彼女に 苦笑する僕は
ふと右側から 視線を感じた
それは 隣の車線で 同じく信号待ちしていた
ステップワゴンの助手席に乗っていた少年からのものだった
「誰としゃべってんの? 変なの!!」
!!
慌てた 運転席のお父さんは
信号が変わるや否や アクセル全開で飛び出した

いやいや・・・お父さん 息子さんは悪くないですよ
彼でなくても
ふつうは僕のことを見れば 変人に思えてしまうでしょう
なにせ この1300GTAには 僕以外の人は 誰も乗っていないのだから・・・
僕の話し相手は
ジュリア・・・ そうこの車だ
僕は子供のころから
人より メカとのほうが うまく対話ができるんだ
ある意味・・・Xマンのようなものかな
ゆっくりスタートした僕に彼女が言った
「あなたも 丸くなったわね 昔だったら 間違いなく 彼らのはるか先を走っていたのに」
そんなことはないさ・・・
いつだって僕は 紳士だよ・・・
そんなことを思っていると 彼女が続けて言う
「でも あの車の運転 ちょっと・・・危なくない?」
ジュリアの言葉に 僕は 再び前方の車に集中した
「怖い! 怖いよ・・・」
ステップワゴンの叫び声が聞こえる・・・ とその時・・・
交差点の右折信号がまだ赤にもかかわらずステップワゴンは 急ハンドルを切って右折をはじめた
「きゃっ!!」
横断歩道を渡っていた シバ犬と散歩していた女性が慌てよけて 転んだ
そして カノジョの右手から リードが外れた
「あっ・・・」
パニックになった シバ犬は
車道に駆け出し ジュリアの前で・・・ 固まった
「おい!! いけるなっ!」
急ブレーキじゃ間に合わない・・・
とっさに 僕はジュリアと・・・交差点の信号機に向かって叫んだ
”OK!!!!!!!”
メカたちの声が響く中・・・
アクセルとブレーキを交互にノックし カウンターステアをあてた・・・
アスファルトに焼かれる後輪・・・
ジャックナイフターンを決めたジュリアは シバ犬の鼻先をすり抜け・・・停まった
「よかったわね・・・」
ジュリアが言う
「何がだい?」
「カノジョ 今度は 楽しいドライブに連れて行ってください・・・だって・・・
あなたも まんざらじゃない顔をしていたわよ」
「そんなこと ないさ」
という僕の バックミラーに映る顔は
確かに いつもの青白い顔より ほんの少しオレンジがかって見えた
「君のオレンジ色のボディが 映りこんでいるだけさ」
「まぁ そういうことにしておきましょう
私も カノジョのこと・・・気に入ったわ
カノジョ・・・
私と同じように クローバーのマークが手首に書かれていたわ
きっと 私とも 相性がいいわよ
ただ・・・ カノジョのクローバーは三つ葉だったけどね」
「えっ・・・」
カーラジオから
梅雨入り宣言のニュースが流れた・・・
さっきまで ジュリアのボディーを輝かせていた夕陽の空に
重たいグレーの雲が 生まれていた
巷では早くも異常気象がささやかれている
しかし 異常気象も毎年続けば
それは もう異常ではなく 日常気象じゃないかな
カーラジオから流れてきた
長期予報を聴きながら僕は 呟いた
「まったくね・・・
でも・・・50年前に比べると
猛暑日が3倍になっていることは間違いないのない事実よ
つまり オーバーヒートに注意しなくちゃいけない日も 増えているということ!
アクセルワークには 十分気をつけてね!!」
彼女が言った
「もちろんさ 今までに僕が急発進をしたことが あったかい?」
無言になった彼女に 苦笑する僕は
ふと右側から 視線を感じた
それは 隣の車線で 同じく信号待ちしていた
ステップワゴンの助手席に乗っていた少年からのものだった
「誰としゃべってんの? 変なの!!」
!!
慌てた 運転席のお父さんは
信号が変わるや否や アクセル全開で飛び出した

いやいや・・・お父さん 息子さんは悪くないですよ
彼でなくても
ふつうは僕のことを見れば 変人に思えてしまうでしょう
なにせ この1300GTAには 僕以外の人は 誰も乗っていないのだから・・・
僕の話し相手は
ジュリア・・・ そうこの車だ
僕は子供のころから
人より メカとのほうが うまく対話ができるんだ
ある意味・・・Xマンのようなものかな
ゆっくりスタートした僕に彼女が言った
「あなたも 丸くなったわね 昔だったら 間違いなく 彼らのはるか先を走っていたのに」
そんなことはないさ・・・
いつだって僕は 紳士だよ・・・
そんなことを思っていると 彼女が続けて言う
「でも あの車の運転 ちょっと・・・危なくない?」
ジュリアの言葉に 僕は 再び前方の車に集中した
「怖い! 怖いよ・・・」
ステップワゴンの叫び声が聞こえる・・・ とその時・・・
交差点の右折信号がまだ赤にもかかわらずステップワゴンは 急ハンドルを切って右折をはじめた
「きゃっ!!」
横断歩道を渡っていた シバ犬と散歩していた女性が慌てよけて 転んだ
そして カノジョの右手から リードが外れた
「あっ・・・」
パニックになった シバ犬は
車道に駆け出し ジュリアの前で・・・ 固まった
「おい!! いけるなっ!」
急ブレーキじゃ間に合わない・・・
とっさに 僕はジュリアと・・・交差点の信号機に向かって叫んだ
”OK!!!!!!!”
メカたちの声が響く中・・・
アクセルとブレーキを交互にノックし カウンターステアをあてた・・・
アスファルトに焼かれる後輪・・・
ジャックナイフターンを決めたジュリアは シバ犬の鼻先をすり抜け・・・停まった
「よかったわね・・・」
ジュリアが言う
「何がだい?」
「カノジョ 今度は 楽しいドライブに連れて行ってください・・・だって・・・
あなたも まんざらじゃない顔をしていたわよ」
「そんなこと ないさ」
という僕の バックミラーに映る顔は
確かに いつもの青白い顔より ほんの少しオレンジがかって見えた
「君のオレンジ色のボディが 映りこんでいるだけさ」
「まぁ そういうことにしておきましょう
私も カノジョのこと・・・気に入ったわ
カノジョ・・・
私と同じように クローバーのマークが手首に書かれていたわ
きっと 私とも 相性がいいわよ
ただ・・・ カノジョのクローバーは三つ葉だったけどね」
「えっ・・・」
カーラジオから
梅雨入り宣言のニュースが流れた・・・
さっきまで ジュリアのボディーを輝かせていた夕陽の空に
重たいグレーの雲が 生まれていた
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