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未来のミライ ~ 30CSL 1973 ~

 10,2019 23:40
どこまでも続く一本道・・
どれだけ走り続けてきただろうか・・・
思い返しても 記憶に残る景色は 
たった今 1973年式BMW30CSLのフロントガラスから見えている 景色と寸分の違いも感じない

つまり・・・ この先も まだまだ 同じ景色が続くということだ・・・

”Fuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu”

長い溜息から出た二酸化炭素は
あやふやな記憶とGabrielle Aplinの歌声に融合して 
僕を架空世界に引きずり込もうとする

Gabrielle Aplin - Please Don't Say You Love Me


「ねぇ どうして山は 僕たちを追いかけてくるの」

後部座席から 乗り出してきたのは 小学生の僕だった

「自分たちのことを忘れないでほしいからさ」

「ふーん・・・」

心のこもっていない返事だった

わかってるさ・・・ 答えなんてどうでもいいんだ・・・
ただ質問することで 
自分の存在をアピールしたいだけ
あのころの僕は いつだって そうだった
そうそう・・・ 
未来ちゃんのお兄ちゃん・・・ あの”くんちゃん”のように・・・



僕の家族は 隣人と仲良くしていた
それは きっと僕と同い年の子供がいたからだ

二つの家族は いつも一緒に行動していた
買い物に行くときや旅行だけでなく 
夕食も毎晩 一緒に食べた

でも・・・ 僕は そんな毎日が 嫌でしょうがなかった

「まぁ なんてかわいいんでしょう・・・ ほんとに お人形さんみたい・・・」

ほら・・・

僕の横に いたのは 女の子
目がクリクリで
いつも ニコニコ笑っていて
真っ黒で長い髪の毛が いい香りで・・・

周りの大人は いつもカノジョだけに集まっていく
だから・・・
僕は 自分をアピールしなくちゃいけなかった

でも・・・
結局 どんなに頑張っても 大人たちが僕を見るのは ほんの一瞬のこと
僕のフラストレーションは 溜まる一方だった

そんなある日
カノジョが 僕を訪ねてきた
きれいなリボンのついたプレゼント
それは カノジョの髪を結っているリボンとおなじ柄だった

しかし・・・
その日の僕は 
いつもより 綺麗に見えたカノジョが 許せなかった

「お前なんて いなくなればいいのに!」

クリクリした目に涙がいっぱい溜まっていくのが見えた

2月14日のことだった

それから すぐ・・・ 
カノジョは 父親の急な転勤で 引越してしまった
僕の一言が 現実になった・・・

「あっ おうちだ!!」

運転しながら 記憶の旅を 続けていた僕に
再び後部座席から声が聞こえた
”えっ????”

開いた瞼をもう一度 開くようにして 
フロントガラスに映る風景と バックミラーを交互に見た僕は
周りが 遠い記憶の中の街並みに 変わっていること
そして 声の主は 小学生時代のカノジョだったことに気付いた

BMW 30CSL 1973

都会に就職に出た僕は
奇跡的に カノジョと出会うことができた
それは 1973年式BMW30CSLのおかげだった
46年前のBMWを 街で見かけることはほとんどない
そんな 僕の愛車は カノジョの父親の愛車でもあった

信号待ちをしていた30CSLを 覗き込んだカノジョが
「Kenちゃん・・・?」
声をかけてきた
それが去年の春の話・・・

そして今日・・・ 
僕は カノジョを両親に紹介するためふるさとに戻ってきた 

「ついたよ・・・」

助手席で 眠るカノジョの額にキスをしながら
僕はそっと囁いた・・・ 

「あのときは ごめん」

あれから20年・・・ ようやく ようやく・・・ 謝ることができた

ニコリと笑うカノジョ・・・
そのとき カノジョが小学生のころのような 
無邪気な笑顔を取り戻したように思えた

バックミラ越しに
8歳のころの 僕とカノジョが手をつないで 
後部座席で眠っているのが見えた





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