スライディング・ドア ~ シエンタ 2016 ~
18,2018 21:28
11月も中旬になって 北海道でようやく初雪が観測された
今年の日本列島は暖冬の兆し
そんな中で 一人極寒のオーラに包まれている僕は
呼び鈴を聞いて 玄関に向かった
”Hacsyooooooon!!”
リビングを抜けて
廊下にでると ひんやりとした空気に包まれる
部屋の中だというのに
バナナで釘が打てるほどの寒さに感じたのは
何の装飾もない 真っ白な廊下の壁が
立山黒部アルペンルートのように見えるからだけではない
カノジョがこの家を出たとき外された
4つの フォトフレームの痕跡が
ドライアイスのように冷気を吐き出しているからだ
”Hacsyooooooon!!”

ここに飾られていた写真は
シエンタのボンネットに 腰を下ろした二人の写真・・・
真っ赤に色づいた紅葉を手にした二人
菜の花の花束を両手いっぱいに持った二人
スノーボードを持った二人
浮き輪にひまわりを持った二人・・・そして真夏の太陽
ただ・・・
どの写真も 我が家の駐車場で撮られたもの
何故かって・・・
そのわけは・・・僕とカノジョとの出会いにまで遡る・・・
6年前・・・
初めての取引先と 駅で 待ち合わせをしたとき
僕の前に現れたのが カノジョだった
「遅くなって申し訳けございません・・・」
アースカラーの僕とは
対照的な パステルカラーの雰囲気を持った女性だった
予定時間を15分も遅れてきたカノジョ・・・
今回の仕事は しんどいな・・・
そう思いながら
自己紹介とミーティングをかねて喫茶店に入った
いざ本題に入ろうとしたとき
何気なく スマホを確認した僕は
会社からのメールに気が付いた
”相手先より連絡あり
急きょ 担当が体調不良になったとのこと
リスケジュールをお願いしたいとのこと 連絡願います”
「えっ・・・???」
それでは 今僕の前にいる女性は誰・・・
そこで初めて
カノジョが 今日PR会社に面接に来たこと
僕のことを 人事担当者だと思ったことを知った
そんな すれ違いから始まった僕とカノジョのストーリーは
どこまで行っても
すれ違うことが多かったが
お互いに 今までの人生では体験できない世界を見るようで新鮮だった
しかし・・・
1年・・・2年・・・時が過ぎていっても
一向に共通点が芽生えない生活に
お互いが 無理を感じはじめていた
そして半年前
僕の幼馴染の男友達が我が家にやってきたとき
「お前とは 阿吽の呼吸があって楽だよ」
何気ない僕のその一言は
カノジョには 自分への当てつけに聞こえてしまった
そして カノジョは 4枚の写真とともに この家を去った・・・
If You Don't Know Me By Now ‐ Simply Red
カノジョがいなくなって 初めての冬が来る
”Hacsyooooooon!!”
扉を開ける直前に 三度目のくしゃみ・・・
そうそう
僕が風邪を引くのは いつもカノジョにうつされるからだった
カノジョがくしゃみを始めると
必ず2日後に 僕もくしゃみが出始める
そして風邪の神様は 我が家にしばらく居座ってしまう
そんなカノジョの風邪は いつも旅行の計画に合わせてやってきた
だから彼女との旅行は いつもお流れ・・・
せめて シエンタの前で
旅行をテーマに 写真を撮りましょう
そんなカノジョのアイデアから生まれたのが 廊下にあった写真の理由・・・
「あいつ・・・ また風邪ひいたんじゃないかな」
そう思いながら 玄関の扉を開けた
そこには 寒さを感じないフレッシュな宅配のお兄さんがいた
彼が運んできたのは
カノジョからの鍋セットだった
「今年も木枯らしに合わせて 風邪をひきました だから・・・」
カノジョからのメモ手紙が入っていた
風邪をひいたときは
ショウガを効かせた水炊きが一番!!
そう言って カノジョが作る水炊きは
僕には 味付けが濃すぎたが 確かに体は温まった
しかし・・・
送られてきた鍋の具材は 四人前・・・
何でだ・・・と思いつつ
僕は 半年ぶりにカノジョに電話をした
「一人じゃ食べきれないから 一緒に食べるか」
「うん・・・」
鼻声のカノジョ・・・
気を利かせて 僕はシエンタでカノジョの家に向かった
カノジョの家に近づいたころ
雪が舞っていることに気づいた
今年は暖冬なので 雪がけっこう降るらしい
気象予報士の うんちくを思い出しながら
雪の降る街を見渡してると
視界に都電のホームが入った
そこには ピンク色のコートを羽織ったカノジョがいた
「おーい!」
Goooooooooooooooooooooooooooooooooo
僕の声は ホームに入ってきた都電でかき消された
都電のスライディングドアが開き・・・
カノジョが 車両に乗り込んだ
「おーい!!」
さらに大きな声でカノジョを呼ぶと
カノジョは こちらに気づいた
しかし・・・
スライドドアは 閉じてしまった
相変わらず ちぐはぐな二人・・・
それでも・・・
都電と並走するシエンタは知っていた
電車に揺られて 首をコクリコクリするカノジョと
Ton・・・ Ton・・・
左手の中指で 定期的にハンドルを叩く彼の癖が シンクロしていること
そして 二人の人生は次の駅で もう一度交差することを
今年の日本列島は暖冬の兆し
そんな中で 一人極寒のオーラに包まれている僕は
呼び鈴を聞いて 玄関に向かった
”Hacsyooooooon!!”
リビングを抜けて
廊下にでると ひんやりとした空気に包まれる
部屋の中だというのに
バナナで釘が打てるほどの寒さに感じたのは
何の装飾もない 真っ白な廊下の壁が
立山黒部アルペンルートのように見えるからだけではない
カノジョがこの家を出たとき外された
4つの フォトフレームの痕跡が
ドライアイスのように冷気を吐き出しているからだ
”Hacsyooooooon!!”

ここに飾られていた写真は
シエンタのボンネットに 腰を下ろした二人の写真・・・
真っ赤に色づいた紅葉を手にした二人
菜の花の花束を両手いっぱいに持った二人
スノーボードを持った二人
浮き輪にひまわりを持った二人・・・そして真夏の太陽
ただ・・・
どの写真も 我が家の駐車場で撮られたもの
何故かって・・・
そのわけは・・・僕とカノジョとの出会いにまで遡る・・・
6年前・・・
初めての取引先と 駅で 待ち合わせをしたとき
僕の前に現れたのが カノジョだった
「遅くなって申し訳けございません・・・」
アースカラーの僕とは
対照的な パステルカラーの雰囲気を持った女性だった
予定時間を15分も遅れてきたカノジョ・・・
今回の仕事は しんどいな・・・
そう思いながら
自己紹介とミーティングをかねて喫茶店に入った
いざ本題に入ろうとしたとき
何気なく スマホを確認した僕は
会社からのメールに気が付いた
”相手先より連絡あり
急きょ 担当が体調不良になったとのこと
リスケジュールをお願いしたいとのこと 連絡願います”
「えっ・・・???」
それでは 今僕の前にいる女性は誰・・・
そこで初めて
カノジョが 今日PR会社に面接に来たこと
僕のことを 人事担当者だと思ったことを知った
そんな すれ違いから始まった僕とカノジョのストーリーは
どこまで行っても
すれ違うことが多かったが
お互いに 今までの人生では体験できない世界を見るようで新鮮だった
しかし・・・
1年・・・2年・・・時が過ぎていっても
一向に共通点が芽生えない生活に
お互いが 無理を感じはじめていた
そして半年前
僕の幼馴染の男友達が我が家にやってきたとき
「お前とは 阿吽の呼吸があって楽だよ」
何気ない僕のその一言は
カノジョには 自分への当てつけに聞こえてしまった
そして カノジョは 4枚の写真とともに この家を去った・・・
If You Don't Know Me By Now ‐ Simply Red
カノジョがいなくなって 初めての冬が来る
”Hacsyooooooon!!”
扉を開ける直前に 三度目のくしゃみ・・・
そうそう
僕が風邪を引くのは いつもカノジョにうつされるからだった
カノジョがくしゃみを始めると
必ず2日後に 僕もくしゃみが出始める
そして風邪の神様は 我が家にしばらく居座ってしまう
そんなカノジョの風邪は いつも旅行の計画に合わせてやってきた
だから彼女との旅行は いつもお流れ・・・
せめて シエンタの前で
旅行をテーマに 写真を撮りましょう
そんなカノジョのアイデアから生まれたのが 廊下にあった写真の理由・・・
「あいつ・・・ また風邪ひいたんじゃないかな」
そう思いながら 玄関の扉を開けた
そこには 寒さを感じないフレッシュな宅配のお兄さんがいた
彼が運んできたのは
カノジョからの鍋セットだった
「今年も木枯らしに合わせて 風邪をひきました だから・・・」
カノジョからのメモ手紙が入っていた
風邪をひいたときは
ショウガを効かせた水炊きが一番!!
そう言って カノジョが作る水炊きは
僕には 味付けが濃すぎたが 確かに体は温まった
しかし・・・
送られてきた鍋の具材は 四人前・・・
何でだ・・・と思いつつ
僕は 半年ぶりにカノジョに電話をした
「一人じゃ食べきれないから 一緒に食べるか」
「うん・・・」
鼻声のカノジョ・・・
気を利かせて 僕はシエンタでカノジョの家に向かった
カノジョの家に近づいたころ
雪が舞っていることに気づいた
今年は暖冬なので 雪がけっこう降るらしい
気象予報士の うんちくを思い出しながら
雪の降る街を見渡してると
視界に都電のホームが入った
そこには ピンク色のコートを羽織ったカノジョがいた
「おーい!」
Goooooooooooooooooooooooooooooooooo
僕の声は ホームに入ってきた都電でかき消された
都電のスライディングドアが開き・・・
カノジョが 車両に乗り込んだ
「おーい!!」
さらに大きな声でカノジョを呼ぶと
カノジョは こちらに気づいた
しかし・・・
スライドドアは 閉じてしまった
相変わらず ちぐはぐな二人・・・
それでも・・・
都電と並走するシエンタは知っていた
電車に揺られて 首をコクリコクリするカノジョと
Ton・・・ Ton・・・
左手の中指で 定期的にハンドルを叩く彼の癖が シンクロしていること
そして 二人の人生は次の駅で もう一度交差することを
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