猿の惑星:聖戦記 ~ SZ 1989 ~
29,2018 23:27
ゆっくり寝転んで
空を見上げられるような芝生を 維持するためには 根気が必要だ
春のうちに行う根切りや 砂まき・・・
適度な肥料も欠かせない
夏になれば 週一回の芝刈りに
早朝の水まき
日々どこからともなく侵入してくる
”雑草”と言うエイリアンたちを駆逐するため
厳しい監視は 24時間欠かせない
”芝生の管理”
それだけが私の生きる糧だ・・・
あのときの 芝生の庭のように・・・
?? あの芝生・・・??
それは いつのことだっただろう・・・
どこにあったのだろう・・・
最近物忘れがひどくなった
そういえば昨日テレビでやっていた・・・
あるウィルスが原因で
サルたちが人間以上に頭がよくなっているらしい
一方 人間の脳は 退化するそうだ
私も それにやられてしまったのだろうか・・・
それとも 神の天罰か
家族より
仕事を優先してきた人間の末路は 「無」だ
仕事仲間に裏切りられ 全財産は蜃気楼のごとく消えた
私を愛してくれた家内も
突然・・・
向こうの世界に逝ってしまった
そして・・・
高校生だった息子は 家を飛び出していった・・・
気が付くと
私は ここにいた
いつ やってきたのか 覚えていない・・・
ただ 庭を見ているうちに
芝生を作りたくなった
「・・・?? なんでだろう・・・」
日本最高気温が更新され
台風が東から西に進行した日・・・
芝刈りをしている老人の脇に
1989年製 アルファロメオSZ が停まった
街道沿いのインポート専門の中古車販売店に飾られていた車を
僕は 一目ぼれで購入した
後になって
父も同じ車に乗っていたことを知った
30年前・・・ 家を飛び出してから
一度も逢っていない父・・・
しかし・・・ 自分には あの父親の血が流れていたことを
改めて実感した
握ったハンドルと 踏み込んだアクセルの行き先は
父のいる療養所だった
療養所の庭には
幸せだった子供のころの思い出と瓜二つの
隅々まで 管理が行き届いた 寝心地のよさそうな芝生があった
そこにいた老人が SZを指さしながら
「あっ ・・・ あっ・・・」
何かを伝えようとしている
父だ・・・
最後に見た姿からは
全く想像もつかないほど 老いていた
父を SZの前まで連れてきた僕は言った
「アルファロメオ SZ」・・・

老人は
にっこり 微笑みながら ボンネットを そっと撫でる・・・
そして ゆっくり深々と
僕に向かってお辞儀をした父は
次の瞬間
芝生に向かって帰り始めた
「父さん!!」
僕は叫んだ
老人は 振り向いた
しかし・・・
その瞳には 僕の姿は映っていないようだった
僕は もう一度 手を引いて
父を SZの運転席に座らせてた
父の隣・・・助手席に僕は座った
フロントガラスの向こうに広がる芝生には・・・
父と母 そして子供のころの自分の3人が 寝転んで空を見上げていた
運転席で 涙を流している 老人も 同じ光景を見ている・・・
僕は そう思った
空を見上げられるような芝生を 維持するためには 根気が必要だ
春のうちに行う根切りや 砂まき・・・
適度な肥料も欠かせない
夏になれば 週一回の芝刈りに
早朝の水まき
日々どこからともなく侵入してくる
”雑草”と言うエイリアンたちを駆逐するため
厳しい監視は 24時間欠かせない
”芝生の管理”
それだけが私の生きる糧だ・・・
あのときの 芝生の庭のように・・・
?? あの芝生・・・??
それは いつのことだっただろう・・・
どこにあったのだろう・・・
最近物忘れがひどくなった
そういえば昨日テレビでやっていた・・・
あるウィルスが原因で
サルたちが人間以上に頭がよくなっているらしい
一方 人間の脳は 退化するそうだ
私も それにやられてしまったのだろうか・・・
それとも 神の天罰か
家族より
仕事を優先してきた人間の末路は 「無」だ
仕事仲間に裏切りられ 全財産は蜃気楼のごとく消えた
私を愛してくれた家内も
突然・・・
向こうの世界に逝ってしまった
そして・・・
高校生だった息子は 家を飛び出していった・・・
気が付くと
私は ここにいた
いつ やってきたのか 覚えていない・・・
ただ 庭を見ているうちに
芝生を作りたくなった
「・・・?? なんでだろう・・・」
日本最高気温が更新され
台風が東から西に進行した日・・・
芝刈りをしている老人の脇に
1989年製 アルファロメオSZ が停まった
街道沿いのインポート専門の中古車販売店に飾られていた車を
僕は 一目ぼれで購入した
後になって
父も同じ車に乗っていたことを知った
30年前・・・ 家を飛び出してから
一度も逢っていない父・・・
しかし・・・ 自分には あの父親の血が流れていたことを
改めて実感した
握ったハンドルと 踏み込んだアクセルの行き先は
父のいる療養所だった
療養所の庭には
幸せだった子供のころの思い出と瓜二つの
隅々まで 管理が行き届いた 寝心地のよさそうな芝生があった
そこにいた老人が SZを指さしながら
「あっ ・・・ あっ・・・」
何かを伝えようとしている
父だ・・・
最後に見た姿からは
全く想像もつかないほど 老いていた
父を SZの前まで連れてきた僕は言った
「アルファロメオ SZ」・・・

老人は
にっこり 微笑みながら ボンネットを そっと撫でる・・・
そして ゆっくり深々と
僕に向かってお辞儀をした父は
次の瞬間
芝生に向かって帰り始めた
「父さん!!」
僕は叫んだ
老人は 振り向いた
しかし・・・
その瞳には 僕の姿は映っていないようだった
僕は もう一度 手を引いて
父を SZの運転席に座らせてた
父の隣・・・助手席に僕は座った
フロントガラスの向こうに広がる芝生には・・・
父と母 そして子供のころの自分の3人が 寝転んで空を見上げていた
運転席で 涙を流している 老人も 同じ光景を見ている・・・
僕は そう思った
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