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巴里祭 ~ ジャパンタクシー 2017~

 15,2018 23:00
車を路肩に停めると
いつもの弁当屋の列に並ぶ
オフィス街の一角にあるこの店は
12時になると 巨大なビルから 
心太のように押し出されたサラリーマンが 
店の前で 長い行列を作る
注文まで15分 お弁当を受け取るのにさらに15分
合計30分の 弁当行列・・・

でも・・・ 
僕にとっては その時間は トイストーリーマニアの待っているように
アトラクションの一つであった
弁当屋の隣にある花屋・・・
僕は毎日 自分の相棒 ジャパンタクシーの中に飾る花を一輪購入した

japantaxi 2017

それは 花屋の看板娘である
ポニーテールのカノジョとの貴重な時間だから・・・

行列に並びながら こっそりカノジョを眺める・・・
今日も ひまわりのような 笑顔のカノジョ・・・

そして弁当を注文した後 僕は花屋に入る
「いらっしゃいませ!」
「いつものように お任せで・・・」
「はい! それじゃあ 今日はオレンジのガーベラにしましょう!!」
「はい 100円!」
「あっ・・・ありがとうございます」

以上が 僕たちの定型文・・・
僕はカノジョの指先を
そして カノジョは 花に向かって会話した

明るいけど 
僕と同じように 人見知りなカノジョに 磁力を感じた 

「唐揚げ弁当のお客さーん!!」

弁当屋の 豆大福のようなおかあさんの呼び声で
僕の 夢の世界は終わりを告げる 

また明日・・・

そう心に思いながら ぼくは 花屋を出る



カノジョとの時間が 
父親の介護に疲れた 僕の唯一の光明だった

連続真夏日の記録を更新した
その日も いつものようにタクシーを 停めて
弁当屋の 長い列に加わり
遠くからカノジョを眺めていた僕の耳に

玉のような汗で いっぱいの豆大福のおかみさんが
ポッキーのようにGari Gariで 背中を押すとばらばらに砕けてしまいそうな男
(あとから それは弁当屋の主人だと分かった)に話す声が聞こえてきた

「花屋の お嬢ちゃん 結婚するんだってさ!!
 看板娘がいなくなるって ご主人落ち込んでたわよ!」

!!!!!!!!!!!!

「結婚・・・」

弁当を注文した後 ・・・
僕の足は 条件反射のように 花屋に向かい 
いつものように 100円を出していた

カノジョは 
遠く3000km先で 話しているようで ほとんど耳に入ってこなかった

「結婚・・・おめでとうございます・・・」
感情のない つぶやきに
カノジョは ありがとうございますと答えた・・・ようだった

僕は 父親の介護をしているときの僕・・・ 藁人形になっていた

いつもと違う僕を カノジョは感じたのだろうか・・・
はじめて カノジョは僕の顔を 見た気がしたが・・・

僕は 逃げるように ジャパンタクシーに戻った
手には 黄色いバラが一輪
花言葉は 愛情にはつながらない・・・友情・・・

僕とカノジョを引き付けていた磁場は消滅し
僕は オフィス街の弁当屋に通うのをやめた

それから半年後・・・ 介護の甲斐なく あっけなく父が他界し
孤独になった僕は 
感情をなくした タクシードライバーというロボットになった

それから どれだけ時間が経過したか わからない・・・
ロボットには 時の感覚はないものだ

小雨が降り続く 夏の日・・・

乗客が指定した場所は あの弁当屋のあるオフィス街だった
依然と変わりなく 豆大福のようなおかみさんが立つ 弁当屋・・・
そして隣には・・・

花屋には カノジョがいた

カスミソウが 開花したときに発する瞬間程度に
心が はじけたような気がした

体のどこかに 残っていたのだろうか・・・
磁力に誘われるように 僕は弁当屋の列に加わり
あのころののように 
花屋に入った

「あっドライバーさん!!お久しぶりですね」

カノジョは 僕の顔を見ていた
相変わらず カノジョの顔を直視できない僕は
もじもじしながら ぽつりと言った

「お店に・・・出てらっしゃるんですね」

「もちろんですよ・・・ 
 妹が結婚したおかげで 午前も 午後も! フル勤務になっちゃいました」

「それは大変・・・ ん・・・ 妹・・・」



7月14日・・・
フランス革命の日は 日本では巴里祭と呼ばれる

ジャパンタクシーの後部座席いっぱいの花と一緒に
カノジョは 僕の家にやってきた

ジャン(ジョルジュ・リゴー)とアンナ(アナベラ)の物語のように
僕とカノジョのストーリーは 
ようやく 始まった




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