コーヒーをめぐる冒険 ~ メガーヌ265 2014 ~

 08,2018 22:55
Am 9:05 
机の上に 置かれたホットコーヒー

中堅ゼネコンの設計担当として この街に転勤して3ヶ月
毎日かかさず用意してくれるのは 
入社5年目のグラデーションボブのカノジョ



配属初日に僕は言った

「お茶くみなんて 時代錯誤な配慮は不要だよ 
 それに 僕はコーヒーが苦手なんだ」

カノジョは言った
「私・・・命令でやっているのではありません
 主任に コーヒーの良さを知ってもらいたいという 自発的な行動です
 これを お茶くみと思うスタンスのほうが時代錯誤です」

遠くから部長が笑いながら言った
「カノジョの勝ちだな」

それ以来
僕の机の上の19.625㎠は コーヒーカップに占有された

僕にできた ほんのわずかな抵抗は 
淹れられたコーヒーに 
3倍の牛乳を入れて飲むことだった
それでも カノジョは にこりと笑って僕を見ていた

カノジョの笑顔には魔力がある

クライアントの前で見せる笑顔・・・
それによって カノジョはクライアント自身が気付いていない 
潜在的な希望を見つけ出した
カノジョが感じとったインスピレーションを 僕が設計で具現化した
結果として 僕らの成果は 
部長の胃袋を”満足”という言葉で満たした

仕事のパートナーとしてのカノジョはベストだった

しかし 相変わらず僕はコーヒーを好きになれなかった

そんなある日・・・
カノジョが退職した

「これで君も コーヒーの苦悩から解放されるな」

部長の声を 僕は 月の裏側にいるような想いで 聞いた

知らぬ間に通り過ぎていく 桜前線のように 
カノジョは いつの間にか 僕の前から消えた

そして 机の上は 19.625㎠ 広くなった

メガーヌ265 2014

人員補充はなく
クライアント廻りは 愛車の2014年式 メガーヌ265がパートナーになった
メガーヌ・・・
その名前に意味はない
”力強さ”と”安心感”そして”高級感”を感じさせる言葉ということで生まれた造語だ
思い込むことで人は強くなる
メガーヌは 僕の生き方を具現化していた

「次を右です」

ナビの示す道は きまって僕の思う道とは異なっていた・・・
だから 僕は自分の思う道を選ぶ
地形プログラムだけで判断する機械では 
絶対に人間には勝てない そう思い込んでいるから・・・ 

しかし その日・・・
クライアント対策に夢中だった僕は
ナビの言う通りに ハンドルを切っていた

しかし・・・
結果は いつもより 早く目的地に到着していた・・・
そのおかげで・・・
カノジョ抜きの仕事で 初めて満足のいくものになった

ナビ・・・イコール・・・あてにならないという 
固定観念に縛られていた自分を愚かだと感じてしまった・・・
そのとき
2012年ドイツ映画「Oh Boy」を思い出した
日本名・・・コーヒーをめぐる冒険・・・
朝一番で コーヒーを飲む機会を逸した男の悲劇・・・



アイツの淹れたコーヒーを 朝一番に飲むべきだった・・・
南の空を見ながら 僕は思った

南風が ふわりと注ぐ海岸線に建つ白亜の建物に
北の町から宅配物が届いた

ロングヘアーになったカノジョが 封を開けてみると
そこには カノジョが北の町で働いていた時に拘っていた
小川珈琲 スペシャルティコーヒー009 が入っていた

カノジョは 北の空に向かってニッコリと微笑んだ





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