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ボブという名の猫 ~ 2008 ~

 11,2018 22:40
今年届いた年賀状は個展の招待状を兼ねていた

このアパートに引っ越してきて8年
毎年届く 送り主不明の年賀状は 前の住民宛だった

コメントはいつも ”お元気ですか?”
の一言だったが
必ずオリジナルの猫の絵が描かれていた

自分宛てに来るのは 大量印刷のそっけない年賀状ばかり・・・
いつしか 僕にとって 
この年賀状が一番の楽しみになっていた



今年の年賀状は 
僕の愛車と同じブルーのプジョーのボンネットで眠る 
マフラーをまいた茶色の猫・・・ボブに似ていた
 ※”ボブという名の猫”

そして いつものコメントの代わりに
”最後の個展になりそうです” 
そう書かれていた

僕は2008を駆って 
50km離れた ギャラリーを訪問した

浜辺沿いにポツンと建つ 
白い屋根に水色の壁 
ミニチュアの洋館のような ギャリーの扉を開けると
パステルカラーの 陽気な猫たちの絵が 僕を迎えた

中には 客と思われる人が2人ほど
のんびりとした時間を感じるのは
暖かい日差しが入り込む 南側の大きな窓のせいか・・・
それとも受付のおばさんが 
縁側で日向ぼっこする三毛猫のように 
うたた寝しているせいだろうか

僕の 小さな咳払いで 目をゆっくり開けたおばさんに
招待状を見せた僕は 早速 プジョーの絵の前に向かった

2008 2017

”居眠り”と題された絵から 暖かい感情が流れていた

「Hiro君 ありがとう・・・ 
 最後の最後で あなたが来てくれた!! こんなにうれしいことないわ!!
 これでもう 思い残すことはない」

ギャラリーの外観と同じ 
水色のロングブリーツスカートに 真っ白のニットトップスの女性が 
絵画のガラス越しに反射して見えた
この猫たちの創作者・・・そして 手紙の主・・・

でも どうして 僕が彼だと思ったのだろう・・・
急に話しかけられた僕は 慌てた・・・

!!

そういえば・・・ 
三毛猫おばさんに渡した招待状にはシリアルナンバーが打たれていたっけ・・・

カノジョは僕のことを 
前の住民 ”Takada Hiroki”だと思って声をかけてきたのだ

僕は ゆっくり 振り向き カノジョに謝ろうとした

ところが・・・

カノジョは 僕の顔を確認した後も
天使のようにあったかい笑顔のまま 話を続けた

「中学を卒業して もう20年だね お互い 年とったよね」

カノジョとHiro君は中学卒業以来 逢ってなかったようだ
偶然 Hiro君と僕は 同年代・・・そして顔のジャンルも似ていたのだろう

昔話を矢継ぎ早に続ける カノジョを前にして
僕は 本当のことを言う機会を完全に失った

カノジョの猫に対する思いはHiro君への思いと同調しているようだった 
そして・・・
最後に カノジョは言った

「これで 私の創作活動はおしまい!」

その一言は Hiroを演じ続けた僕を 素に戻した
 「こんなに人をほっこりさせる絵を 見たことない!
  君の絵で 元気になる人が 少なくとも 一人はいることを忘れないでほしい」


そう告げると 僕は ”居眠り”を購入したいと申し出て ギャリーを後にした

バックミラーには 頬に涙が流れるカノジョがいた

一週間後 僕のもとに絵が届いた

”2008さんへ”で始まる手紙とともに・・・

”Hirokiは 私のことを君とは言いません
 ピーコ・・・
 いつも泣いてばかりの私を 彼は必ずそう呼びました
 君でも 本名でもない 彼にとって私は いつでも 泣き虫ピーコなんです・・・」

!!

あの日 カノジョを勇気づけたつもりだった一言が彼女を傷つけていた・・・
善人ぶっていた自分が恥ずかしかった

しかし・・・
手紙は こう続いていた

”でも・・・ 
 私が本当に来てほしかったのは あなただったのかもしれません 2008様へ”

手紙の最後には
カノジョの本名と住所が書かれていた


※ Al Stewart - Year Of The Cat

僕は 送られてきた絵の中の猫に 
ハイタッチして言った

ネコ年に 乾杯!





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