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ララバイ ~ Mark-X ~ Streets of Fire ~

 22,2012 23:57
春分を迎えても 北風は勢力を保っている
今年は ボレアスが故郷に帰るのは未だ先のようだ
MarkXの車内は Frontwindowに吹き付けられた 彼の息吹が
エンジン音よりもはるかに大きく響いていた
MarkX

携帯着信 ♪ 母さんからの連絡 
 「Mariちゃん 大変らしいのよ 学級崩壊だって・・・」
いきなり本題に入る 母さんの電話 
万一 間違い電話をしていたら 
相手は少なくとも 5分間 母のマシンガントークを聞くことになるだろう
いつもの僕なら 携帯電話を耳から20cm話して 上の空を決め込むのだが
”Mari”の名前が僕を 20年前に誘った
 
高校生だった僕は 村上春樹をこよなく愛するMariと付き合っていた
Silverの縁なしメガネにロングストレートのカノジョは 
国語の教師になることを夢見ていた 
因みに そのころの僕の夢は カーレーサーだった
 「小学生の夢ね・・・」
いつもカノジョは 僕の夢を笑った そしてその都度 僕は真面目に抗議した
 「男のロマンを笑うな!」と・・・
 
しかし 男のロマンはあっけなく崩れ去り 僕は平凡なサラリーマンになった
あれだけ 強く語っていた僕の想いはどこに行ってしまったのだろう?
一方 Mariは自分の夢を実現させていた 
母校の国語教師となって

Mariとの付き合いは 
僕が東京の大学へ通うことで 遠距離恋愛になり 何時しかFadeoutした 
だから僕は ”羊”とか”ノルウェイ”と言う単語を耳にする度に
カノジョのことを思い出した
僕にとって Mariとの時間は いまでも大切な宝物だった


そんな彼女が 窮地に追い詰められていることを知った僕は 
入社以来一度も使ったことのない有休休暇を申請し 
その日のうちに 故郷に向かった 
東京から車で9時間 リアス式海岸で有名な漁師町へ

夜通し走るドライブは5年ぶりだったが MarkXの2.5L V6エンジンは
僕の気持ちを増幅させるように 優しく そして勇ましく廻った
朝日が昇るころ 僕は街に到着した
校庭の片隅にある駐車場にMarkXを止めた僕は 
浜の香りを楽しむため ウィンドウを開放したあと うとうと眠りについた

 「センコーは 引っ込んでろ!」
秒針の運動能力が劣っているかのように 時間の流れがスローなこの街には
なじまない暴言が聞こえた
10人近い男子生徒でできた輪の中心には 
必死に生徒を指導している メガネをかけたMariがいた
一段と美しく成長したカノジョを 僕はヴィーナスを見るように眺めていた
"Pashieeeeen!
その時 一人の学生がカノジョの顔を叩いた Silverのメガネが宙を舞った
その瞬間 僕の中の 理性をつかさどる回路がバチンとショートした

”Farrrrrrrrrrrn”

クラクションを鳴らすと同時に リアタイヤを鳴かせながら 急発進したMarkXは 
テールを滑らせ 彼らの目の前で急停止した

だれもが 呆気にとられる中 僕は車から降りて 学生たちに言った 
 「先生に対する その態度はなんだ!」
僕の声に 4人の男子生徒が反応した どうやら彼らは 僕を叩きのめすつもりらしい

平凡なサラリーマンでも 箱根の峠で培った動体視力は伊達ではない
僕は 彼らの拳を素早くかわし それぞれの頬を叩いた
 「今後二度とカノジョに手を出すな! 
  これからお前たちは MarkXが監視してるぞ!」
シュンとした彼らは 先生に謝罪した
 
 「ありがとうごじました・・・ほんとに助かりました」 
子供たちが帰ると カノジョは僕に言った
!!
メガネの無いカノジョは どうやら僕に気付いていないようだった
名を名乗ろうとした僕は カノジョの左薬指に輝く指輪に気付いた
咄嗟に僕は MarkXに乗り込んみ「ララバイ!」と言って 故郷を後にした

カノジョはもう 僕の恋人ではない 
僕はトム・コーディのように 静かにこの街を去ることにした
もうカノジョと逢うことは無いだろ しかし これからも君を想い続けたい
紺碧の海に 僕はそう言い残した


段ボールいっぱいの”せとか”が届いたのは 一週間後だった 
添えられた手紙には
 「ララバイをサヨナラの意味で使うのは 貴方だけよ・・・
  どうもありがとう 」
甘い”せとか”が 心に沁みた 



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