FC2ブログ

マジック ~ Pao ~

 03,2017 22:08
父の事業が失敗して 住み慣れた 街を去ることになった

焦げ茶色に錆びきった 
おんぼろの橋に立った僕は
秋には 紅葉で真っ赤に染まった街を一望できる 
この場所が 好きだった

幼馴染で 初恋の相手だったカノジョと
10年間 学校に通った 思い出の場所でもあったから・・・

もう二度と この橋を渡ることもないだろう
高校2年の冬を生きていた僕は
木枯らしに向かって そっとつぶやいた

しかし・・・
二十年後 再び僕は そこにいた

Pao Nissan 1990

一週間前・・・
仕事に疲れて 下を向きながら 
とぼとぼ歩いていた僕は
都会の吹き溜まりのような場所にある
カフェバーにたどり着いた

もう一度行きたいと思っても・・・
たぶん 無理だろう・・・

店の入り口と思われる 木の扉には・・・
真っ赤なペンキで
Graffitiと描かれていた

「グラフティ・・・落書き・・・か 
 僕らにふさわしい店じゃないか!」
内ポケットから しゃがれた声が聞こえた

外観と同じように
くたびれた店内だったが マスターの腕は確かだった
キレのあるギムレットに夢中になった僕が 
3杯目を飲み干すころ
マスターと 話し込む女性の昔話が
自分の思い出と重なっていることに気づいた

それとなく 
女性を覗き込むと・・・

そこにいたのは カノジョだった・・・
20年近く逢っていないのに・・・
僕には すぐにわかった

そして・・・
嬉しいことに カノジョも 僕を覚えていた

カノジョも僕と同じように 偶然 この店にやってきたらしい
久しぶりに・・・
人と会話をしている・・・そう思った

カノジョは地元の大学を卒業してすぐに結婚 
そして 3年前に離婚していた 
カノジョは あの紅葉の街の中に ずっと住んでいた

「あなたも 一人なの? 」 

突然の質問に 戸惑っている僕に
内ポケットから ファッツのしゃがれた声が聞こえてきた



「付き合って・・・ そう言ってるんだよ!!」

ファッツとは 
僕のスマホについているピノキオのストラップのことだ
人見知りの僕の 唯一の相棒 
彼は いつも僕に 
最適のアドバイスをくれるのだが 少しばかり 過激で困る
彼の声が カノジョに聞こえていないか 心配になった

しかし・・・

ファッツのアドバイスがあったから 
今僕は ここにいる

Paoのエンジンを 停めると
僕は 橋の真ん中に向かった 



思い出の橋は
場違いなほど キラキラ輝く真っ赤な 鉄橋になっていた
しかし ここからの眺めは 変わらず最高の景色だった・・・
いや 正確にいえば この街のランドマークだった
父のレンガ工場にあった 
20mの煙突がなくなっていたのだが・・・

「へー こいつが 
 君の生まれ故郷かい・・・ いい街じゃないか!!」

ファッツが 内ポケットから飛び出して 叫んだ

結局 あの日の僕は カノジョと 
連絡先の交換もせずに別れた

「君がよく話してくれる 野球場ってのは まさか・・・あれのことかい」

原っぱのような空地を指さして ファッツが言った

「そうさ・・・ あそこで毎日ボールが見えなくなるまで 練習した」

「あれがグラウンドねぇ・・・ 俺には牧場にしか見えないけど!!
 えっ!! それじゃ あの草ぼうぼうの場所から カノジョは 君を見てたのかい!!」

そう・・・
カノジョは いつも野球の練習を見に来ていた
でも・・・カノジョの お目当ては僕では なかったけど

橋の上で ぼんやりと半日近く過ごしていたが
橋を通過する人も 車も全くなかった
この街の 過疎化は深刻なようだ

しかし そのおかげで 
僕とファッツの会話は弾んだ
人との会話が うまくできない僕は 
普通の生活はできないと自覚していた 

だから・・・
ファッツと旅に出ることが 僕を安定させてくれるのだ
これからも僕は 一人で・・・
いや ファッツと二人で生きていくのだろう・・・

そんなことを思っていると・・・

「やっぱり 逢えた」

振り返った僕の前に カノジョが立っていた・・・

約束もしていないのに・・・ 
僕らは  また出逢えた 

「やぁ・・・」
ぽつりと僕は言った 

「もっと ましなことが言えないのかねぇ!!」
内ポケットから ファッツが叫んだ

「Siiiiiiiiiiiiii!!」

僕は 声にならない声で 注意する
とその時・・・

「ホントよね! せっかくのサプライズなのに!」

!!!

カノジョ・・・
声の主は カノジョが右手に抱えたバックについている
アヒルのぬいぐるみだった 

「Siiiiiiiiiiiiiii!!」

今度はカノジョが言った・・・

紅葉のように 真っ赤になったカノジョは・・・

「ごめんなさい・・・私・・・少し変なの・・・」

下を向いてしまった

「いや・・・ 
 貴方ほど まっとうなアヒルを初めて見た!!」

内ポケットから這い出た 
ファッツが叫んだ

カノジョも こちら側の人間だった

12月3日は 1.2.3!! マジックの日・・・

コーキー(Anthony Hopkins)の思いは実らなかったけど・・・

僕とカノジョ 
そして ファッツと彼女の友達(ダッキーというらしい)は 
本当のパートナーを見つけた

これから 何があろうとも
僕が 君たちを 包み込んでやるよ! 寒いから 早く戻っておいで!!

夕焼けに染まった Paoが 
微笑みながら 僕らを呼んでいた 




NISSAN ( ニッサン ) 日産純正部品 トートバッグ PAO ( Sサイズ ) KWA40-1YF00

新品価格
¥2,830から
(2017/12/3 21:57時点)




マジック [DVD]

新品価格
¥3,660から
(2017/12/3 21:58時点)




スポンサーサイト



Latest Posts -

Designed by Akira.

Copyright © 映画と車が紡ぐ世界 All Rights Reserved.