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マーキュリー・ライジング ~ ACコブラ・シェルビー ~

 02,2017 20:35
コブラを所有すること・・・
それは 想像以上に大変なこと

メンテナンス費用が 半端なく かかること・・・
エンジンの機嫌は 私の予定にシンクロしてくれないこと・・・
そして 一番の問題は
誰もが 視線を向けてくること・・・

ブルーのコブラは 彼と共にやってきた

ACコブラ

コブラの助手席が 私は大好きだった

信号待ちが嫌いな彼は
遠回りになるとわかっていても
メイン通りを抜けて 側道を走った
小刻みに繰り返される シフトチェンジは
彼のもう一つの趣味である 
テナーサックスを奏でているときのように見えた

Johnny Griffin / It's All Right With Me


その頃の私には
目線なんて 気にならなかった
彼と私
そしてコブラが走っている空間全体が
一体となった幸せ空間だった

しかし
残念なことに 人はどんなに満足した空間でも
慣れてしまうのだ・・・

彼と結婚して2年も過ぎた頃・・・
私は 彼とのすれ違いを感じはじめた
彼が変わったわけではない
彼は相変わらず 側道を走るような人生を送っていたからだ



でも・・・

私には 彼がサイモン・リンチ(Miko Hughes)のように見えた
私を正面から見つめることのない彼・・・
それは 彼の癖だと知っていたのに・・・

私の心のなかで
アート・ジェフリーズ(Bruce Willis)が感じたような
虚しさが 増幅していった

私と彼の 心は すれ違っている・・・

私は コブラが嫌いになった
人の視線が気になり・・・
コブラのエンジン音や 排気ガスの匂いを含めた 
すべてが我慢できなくなり
私は コブラに乗らなくなった・・・

そして 私は
彼の遠回りな 生き方が 目につくようになった
彼との生活に終りが来るのも そう遠くない・・・
そんなことを思いはじめたある日・・・
ついに我慢ができなくなった私は 彼に言った

「回り道ばかりしてるから・・・ 
 私のことも まっすぐ見てくれないじゃない!!」

彼は 何も言わなかった

それから 間もなくして
彼は あっけなく 
私の人生からフェードアウトしてしまった

対向車線を走っていたトラックの荷物が
カーブで崩れ コブラの運転席を直撃したのだった

そこは 彼が普段使う側道ではなく 
渋滞中の幹線道路だった・・・

コブラのメンテナンス費は 結構かかる
エンジンの機嫌も 私の予定にシンクロしてくれない

それでも
私にはコブラが必要だった

彼が残してくれたコブラ・・・
視線は もう気にならない・・・

彼が逝ってしまった後 免許を取得した私は
遠回りする生き方を実践している

予定より2時間遅れで到着した海岸線・・・
助手席に移った私が 
沈む夕陽をながめていると・・・

コブラのV8サウンドと 
カーラジオから流れて出た
Johnny Griffin のサックスが セッションをはじめた

運転席から 
彼らしい 控えめな ぬくもりを感じた

JOHNNY GRIFFIN, The Boy Next Door





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