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シシリアン ~ Citroen ID20 ~

 10,2016 10:02
キラキラ輝く海面には
今年最後のになるであろう 真夏の太陽が照り注いでいる

蒼い空と青い海 ・・・

最近は 気温が30度を超えると
すぐに オーバーヒートしてしまう ID20も 
この絶景に酔いしれているのか 今日のエンジンは快調だった 

遠い昔 漁師だった祖父が 
”うみねこたちの遊び場”と呼んだ白砂のビーチは 
都会の喧騒の中で 自分でも気づかぬうちに 真っ黒になった 僕の心を浄化する

少し遅い夏休み・・・
相棒は ミントを強めのヴァージンモヒートと クリス・レア

ID20の後部座席で着替えた僕は 海に飛び込んだ



ZabuuuuuuuuuuuuuN!!

秋を予感させる 少し冷たい海流も 30度を超える気温には心地いい

ビーチ・・・海・・・ビーチ・・・海・・・

どっぷりと 
ダークサイドに浸かっていた 
僕のハートは 徐々に初期化されていった・・・

ZZZZZZZZ・・・・

優しい風に煽られているうちに 居眠りしていた僕は
うみねこたちの 鳴き声で目を覚ました

西の空が ほんのりと赤くなり始めている
僕は 宿泊先でもある ID20に戻った
ちなみに この島には宿泊施設はない

!!

ID20の助手席には ビーチの砂と同じように

真っ白な肌の女性が・・・気持ちよさそうに眠っている

カノジョの髪から ほのかに漂う 石鹸の香りは 
僕の心をふわりと包み込んだ


CitroenID20

もう少しだけ・・・
そっとカノジョに寄ったとき カノジョの瞼が開いた・・・

目の前に広がる 夕焼けの海より
赤くなった僕の頬が バックミラーに写る
「おはよう・・・」
夕日が見えるシチュエーションでの 僕の場違いな一言に 
カノジョはニコリと笑った・・・そして走って消えた

次の日も・・・
その次の日も・・・  
純白のワンピースを着たカノジョは ID20の中から 只管 僕を眺めていた

そして・・・ 三日目の夜 カノジョが言った・・・
「私を島の外に連れて行って・・・」

カノジョは 厳しい躾によって
この島を一度も出たことがないと言った

その日・・・
オリオン座の空の下・・・ID20の中で カノジョにキスをした僕は・・・誓った

「明日・・・ 僕はこの島を出る前 ここで君を待つ
 君が今と同じ思いなら 一緒に行こう」

涙をためた 鳶色の瞳のカノジョが頷いた・・・

最後の日
真っ赤に焼けた夕日が
僕とカノジョの旅立ちを祝ってくれているような気がした

しかし・・・
約束の場所に現れたのは 真っ白な服を着た・・・男だった

僕の脳裏に シシリアンのエンディングが浮かぶ
彼は サルテ(Alain Delon)を
無機質な瞳で見下した マフィアのドン マナレーゼ(Jean Gabin)のようだ


 
彼は ID20に乗る僕を 引きずり出すと
左の頬に強烈なパンチを入れた・・・

島人の絆は 余所者には理解できないほど 強かったらしい・・・ 
混沌とする意識の中で 
僕は カノジョに裏切られた・・・と思った

ぼんやりと意識が戻ったときには
空一面に天の川が浮かんでいた

男は まだ僕の隣にいた・・・

「カノジョは死んでしまった・・・お前のせいだ 」
男の一言は 
朦朧とする僕の意識に電流を流した

「なんだって・・・」

カノジョは 子供の頃から白血病を患い 
この島のサナトリウムで 療養していた 
男は カノジョの主治医だった

「君がいなければ
 カノジョは もう少し生きていられた・・・
 だが・・・ この4日間でカノジョは 見違えるほど 綺麗な女性になった
 そして・・・ 素晴らしい笑顔で逝った
 君は・・・ カノジョを殺したのか・・・それとも活かしたのか・・・」

そう言うと 男はキラリと輝く 1本の瓶を置いて 闇に消えた

翌朝・・・ 
島にかかる唯一の橋を ID20が走り抜けると
サナトリウムで許された唯一の香水・・・FINCAの シャボンウォーター
カノジョが愛した石鹸の香りが
いつまでも 漂っていた





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