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オール・ユー・ニード・イズ・キル ~ 2008 XF ~

 11,2016 22:12
真夏だというのに 地下室に籠りっきりだったような
真っ白な顔の男(ホワイトマン)が 
窓際の席でパンケーキを食べている

その向かいに 僕は座った

??

男は 驚きと非難が
シェイクされたような瞳が僕を突き刺す

「君の言いたいことはわかる
しかし 少しだけ 話を聞いてほしい」

真剣な眼差しで彼を見据えながら 僕は言った

「君はオール・ユー・ニード・イズ・キルという映画を知っているかい
 何度も 同じ時間を繰り返す男の話だ
 そして僕も 彼と同じように 一定の時間を繰り返している・・・」



男二人の席だけが 時が止まってしまったように見えたが 
5秒後には 
彼の人差し指と中指が 交互にテーブルを叩きはじめた

頭のおかしい人間に捕まってしまった
そう 思いはじめたのだろう 
彼の視線は 店内を徘徊し 店員に助けを求めようとしていた

「ほら・・・
 あのポニーテールのウエイトレス  今から 水をこぼすぞ」

 Gatyaaaaaaaaaaaaaan!!

ウエイトレスが躓いて トレイに乗ったグラスが床に落ちた

真っ白だった彼の顔が 
ほんの僅かではあるが 赤みを帯び
僕を見つめる額には うっすらと汗が流れていた

「どうだい・・・
 次にこの店に入ってくる夫婦は 席に着くなり 喧嘩を始める 
 そして 注文もせずに 帰ってしまうぞ」

やってきたのは 中年の男女だった
家の鍵を閉めたかどうかで もめ始めた二人は
晩秋の台風のように ドタバタと 店を出ていった
注文もせずに・・・

「これで信じてくれたかい?」

しかし・・・
彼は まだ半信半疑の様子・・・

「それじゃ これでどうだろう
 次に来るのは 君の彼女だよ
 しかし カノジョは 君を見つけて
 何も言わず 店を出ていってしまう」

Karari・・・
ゆっくりと 扉に向けた彼の視線は・・・
カノジョの視線と絡み合った

藤色のワンピースは
セミロングのカノジョに一番似合っていると 彼は思っていた

「Kaoriさん・・・」

ほんの少し腰が上がりかけたその時・・・
カノジョは 店を出ていってしまった 

途方もない喪失感が彼を覆った・・・

「どうだい・・・
 僕はこのシチュエーションを何度も繰り返し見ているんだ
 いつも いつも 君は悩んでいる
 そこで思ったのさ・・・
 もしかすると 僕のループを解消する方法は
 君の幸せを叶えてあげることなのではないかと

 だから 僕は 今君の前にいる・・・
 さあ 君は カノジョのことをどう思っているんだい」

そう言うと 僕は
テーブルに置かれていた アイスココアを飲みながら 
彼の 答えを待った

「カノジョのことは 大好きだ
 でも・・・
 カノジョは 皆から好かれる人気者なんだ
 僕では釣り合わない
 カノジョも 僕のことを友達としてしか思っていないのさ」

やれやれ 似た者同士か・・・

「君たちの関係は 今日が最後  もう二度と逢うことはない
 そして今からくるメール・・・そう それさ・・・
 それが カノジョが君に伝える 最後の言葉だ」

XF2008

ホワイトマンの携帯に入ったメールには
 「私・・・ この街を出ることにしました
  別々の道で お互いに頑張りましょう」
そう書かれていた

「僕は何度も君を説得した
 君は カノジョを手放してはいけない 今すぐカノジョを呼び戻すべきだと・・・
 しかし 君は頑なだった 
 カノジョの意思を尊重すると言って 
 僕のアドバイスを聞いてくれない

 その後どうなるか・・・
 君たちは 別々の道を歩む
 僕は この店を出て 車で家に帰る途中 
 事故で死んでしまう・・・歩道を歩く君のカノジョを巻き添えにして・・・

 そして また目が覚めると 
 この店に入る場面から 同じ人生が繰り替えされるんだ
 帰り道を変えたり  車をおいて帰っても
 そして このまま この店に 居続けても 
 結論は同じ・・・ 僕もカノジョも死んでしまう」

いつの間にか 彼の指は止まっていた

「僕の人生を 先に進めるためにも  どうか 協力してほしい・・・」
僕は そう囁くと彼の席を立った

携帯を見つめたまま 動かなくなったホワイトマンを残して・・・

駐車場に停まる2008年式 ジャガーXFは 雨に濡れていた
フロントウィンドウ越しに
助手席に座った
藤色のワンピースの女性が 僕を見つめている

運転席に戻った僕は カーラジオのスイッチを入れて

待った・・・



♪♪

新着メールが入ったようだ・・・

一週間前・・・
会社の後輩であるカノジョが 相談にやって来た
付き合い始めて 10年近くなる彼の本当の気持ちが知りたいと

そこで仕掛けた大芝居
友人の劇団員を集めたフラッシュモブは彼とカノジョを祝福する 
フラッシュライトになった

「ありがとうございます・・・ありがとうございます・・・」

只管 頭を下げるカノジョの背中をポンと押す
途端にカノジョは ノーモーションで 彼の待つカフェに走っていった

2008年式 ジャガーXF・・・
オール・ユー・ニード・イズ・キルの中で
ウィリアム・ケイジ(Tom Cruise)とリタ・ヴラタスキ(Emily Blunt)が乗る車・・・

愛車を撫でる男の手の甲には 
ケイジが輪廻の回数を記したものと同じように
マジックで 50 と描かれていた
男が無限ループから抜け出し 前に進むことを 2008年式XFは 静かに祈っていた




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