グレイストーク・ターザンの伝説 ~ S800 ~
31,2016 22:50
僕の家は 交差点の西側にある
北には時計台 東に公園
そして 南にはStarshipというパン屋があった
このパン屋は
無口で仏頂面な兄が職人で
よく笑う妹が接客係をしていた
街の朝は
田舎町に溶け込んだ
古民家風のパン屋から
仄かに流れ出る 焼きたてのパンの香りと
”おっはようございまーす! おまたせーっ!!”
明るい元気な 看板娘の挨拶で始まった
交差点に差し掛かると 決まって
ウィンドウを5cm下げて
パンの香りを楽しむ
ブルーのS800を運転する ロングヘアーのカノジョも
このパン屋の大ファンだった
いや カノジョの場合は
パン職人が目当てと言ったほうがよいか・・・

夕方 パンが売り切れるまで
ひっきりなしに街の人が訪れるこの場所は
カレーパン購買率 No1を自負する僕も含めて
兎に角 大切な場所であると
街の誰もが思っていた
ところが・・・
交差点の東にある公園から
いつにもましてオナガが ギーギーと啼いた
どんよりとした空気が漂う梅雨空の朝
Starshipは突然 閉店した
ラジオから
tomorrow doesn't matter tonight - Starship
が流れた日だった
その一月後
50km離れた 都会のデパ地下に Starshipという
行列のできるパン屋があると 報道された
彼の店だった・・・
街のあちこちで 金に魂を売ったパン屋と
陰口が叩かれたが
彼と同級生だった
S800のカノジョ・・・そして僕は
彼が 妹の結婚資金を捻出するために
やむなく デパ地下に出店したという理由を知っていた
だから 僕たちは
彼が東京に行くことを応援した
心の奥底の 全く逆の想いを封じ込めて・・・
それから1年・・・
都会の時間は
同じ地球にあるとは思えない速さで廻るようだ
大行列だったデパ地下のStarshipは
看板娘(妹)の笑顔がはじめからなかったせいか
半年もしないうちに 閑古鳥になり 閉店に追い込まれた・・・
ラジオから
梅雨明け宣言のニュースが流れた朝
窓から 懐かしく 仄かに甘い パンの焼ける香りが
飛び込んできた
思わず飛び起きた僕は
向かいの古民家風の建物に向かった
!!
駐車場にはS800が停まっている
勢いよく 店の扉を開けると
”おっはようございまーす! ”の挨拶・・・
出迎えた笑顔は・・・
彼の妹によく似た S800の カノジョだった
無口な男は
相変わらず話下手のだったが
笑顔が似合う男に変わっていた
僕はジョン・クレイトン(Christopher Lambert)を
見つめる フィリップ・ダルノー(Ian Holm)のように言った
「おかえり・・・」
ラジオからは We Built This City - Starshipが流れていた
北には時計台 東に公園
そして 南にはStarshipというパン屋があった
このパン屋は
無口で仏頂面な兄が職人で
よく笑う妹が接客係をしていた
街の朝は
田舎町に溶け込んだ
古民家風のパン屋から
仄かに流れ出る 焼きたてのパンの香りと
”おっはようございまーす! おまたせーっ!!”
明るい元気な 看板娘の挨拶で始まった
交差点に差し掛かると 決まって
ウィンドウを5cm下げて
パンの香りを楽しむ
ブルーのS800を運転する ロングヘアーのカノジョも
このパン屋の大ファンだった
いや カノジョの場合は
パン職人が目当てと言ったほうがよいか・・・

夕方 パンが売り切れるまで
ひっきりなしに街の人が訪れるこの場所は
カレーパン購買率 No1を自負する僕も含めて
兎に角 大切な場所であると
街の誰もが思っていた
ところが・・・
交差点の東にある公園から
いつにもましてオナガが ギーギーと啼いた
どんよりとした空気が漂う梅雨空の朝
Starshipは突然 閉店した
ラジオから
tomorrow doesn't matter tonight - Starship
が流れた日だった
その一月後
50km離れた 都会のデパ地下に Starshipという
行列のできるパン屋があると 報道された
彼の店だった・・・
街のあちこちで 金に魂を売ったパン屋と
陰口が叩かれたが
彼と同級生だった
S800のカノジョ・・・そして僕は
彼が 妹の結婚資金を捻出するために
やむなく デパ地下に出店したという理由を知っていた
だから 僕たちは
彼が東京に行くことを応援した
心の奥底の 全く逆の想いを封じ込めて・・・
それから1年・・・
都会の時間は
同じ地球にあるとは思えない速さで廻るようだ
大行列だったデパ地下のStarshipは
看板娘(妹)の笑顔がはじめからなかったせいか
半年もしないうちに 閑古鳥になり 閉店に追い込まれた・・・
ラジオから
梅雨明け宣言のニュースが流れた朝
窓から 懐かしく 仄かに甘い パンの焼ける香りが
飛び込んできた
思わず飛び起きた僕は
向かいの古民家風の建物に向かった
!!
駐車場にはS800が停まっている
勢いよく 店の扉を開けると
”おっはようございまーす! ”の挨拶・・・
出迎えた笑顔は・・・
彼の妹によく似た S800の カノジョだった
無口な男は
相変わらず話下手のだったが
笑顔が似合う男に変わっていた
僕はジョン・クレイトン(Christopher Lambert)を
見つめる フィリップ・ダルノー(Ian Holm)のように言った
「おかえり・・・」
ラジオからは We Built This City - Starshipが流れていた
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