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トッツィー ~ MPV 2012 ~

 03,2016 21:39
努力もしなくせに 人一倍強くなりたい奴ら
そんな奴らが嘘をつく
弱い奴ほど よく吠える 嘘を勢いで装飾する
どこまでも中身の無い人間・・・ そんな奴にだけはなるなよ! 

警察官だった父の口癖を 毎日聴いてきたはずの僕だったが
大学に通いはじめると  小さな劇団に入っていた



芝居は 嘘の塊だ
ストーリーも 人物も 街の風景もすべてがフェイク
そんな 虚像の中で毎日を過ごした僕は
いつの間にか 舞台に上がらなくても
指を
Pachi!!
とはじくだけで 頭のスイッチが切り変わり
僕は別人になっていた

 「アイツは何だ!
  あれは 芝居じゃない!
  登場人物そのものじゃないか!!」

ある日客席から そう叫んだ男がいた
古びた作務衣を着た男は 世界に名をはせた太陽劇団の
演出家だった

彼からのオファーを受け
僕の前に 俳優という人生の扉が開きかけた

嘘は 僕の一部・・・いや ほぼ全部になり始めていた

そんなとき 父危篤の通知が入った

Pachi!!

「オヤジ!!僕だよ!!わかるかい!!」
一流企業に内定した学生に扮した僕は必死に叫んだ
手の施しようがない 
父を少しでも 安心させたかった・・・
完璧な芝居のはずだった・・・

しかし ぼんやりとした眼の父が
言った最後の一言は・・・

 「・・・がっかりさせるなよ」だった

父は 僕の嘘を見抜いて逝った
その日 僕は役者の道を閉ざした

マイケル・ドーシー(Dustin Hoffman)が
ジュリー(Jessica Lang)に女装がばれて
2度とドロシーにならないと誓ったように・・・



こうして僕は ごく普通のサラリーマンになった
やさしい妻と今年で16歳になる かわいい娘がMPVの後部座席で
すやすやと眠っている

これでよかったんだ・・・
父の墓参りの帰り道
昔話を 回想しながら 18号線をのんびりと南下していた

とその時・・・

Gatuuuunnnnnn!!

!!

シルバーのメルセデスが MPVに追突してきた

「おめぇがちんたら走っているから ぶつかったんだろう!!」

ドタドタとやってきたのは
長髪男に坊主 ドラマに出てくる教科書通りのチンピラ二人組だった
難癖をつけてくる 厄介なや輩だ

~弱い者ほど よく吠える~
オヤジの言葉が蘇った
相手より 優位に立とうと必死なのか
よく見ると 
顔には うっすらと汗がにじんでいる
どうやら チンピラも設定のようだ・・・

「私は悪くないと思うよ」
ポツリと言った僕の一言に 長髪男が激怒した
 「なにぃー!!」

 「お父さんやめなよ・・・」
男の 右手に 醜く光るアーミーナイフが
衝撃で目を覚ました娘を怯えさせた

 「おや・・・かわいい娘じゃねぇか」
そういいながら 坊主がスライドドアを開けて 
娘の手を掴もうとした

僕は指を鳴らした

Pachi!! ”オヤジ・・・ごめん”

 「お前ぇ・・・ 誰に向かって 
  こんなこと やってるのかわかってんのかぁ・・・」

3オクターブ下がった声は
家族も聞いたことの無い 
どこまでも底の無い闇を感じさせる声だった

 「おとおさん・・・なの・・・」

妻の声を無視して 
ターゲットを捉えた 大鷲のような瞳が 坊主を睨んだ

びくりとした坊主は 一瞬娘のつかんだ手を緩めた!

刹那 手刀を一線!!

 「痛てぇー」
坊主が叫ぶと 同時に 長髪男に 左前蹴り!!
男のナイフを蹴り上げた

MPV2012


 「ひぇー じじぃ お前なんなんだよ・・・」

狼狽える長髪男に一言

 「4課だよ」

 「4課・・・??」

 「そんなことも知らねぇのか 
  警視庁4課といやぁ 暴力団担当だろうが」

 「ひぇ・・・」

男たちが 腰を抜かしたところで 遠くからサイレンの音が聞こえた

Fuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu

大きく深呼吸・・・
自分に戻った僕は 天を仰いだ

 「芝居・・・ 許してくれるかな」

4課に所属した 父親の姿が ぼんやり宙に現われた
苦虫をつぶしたような
相変わらずの顔だったが・・・

Fuu・・・
ほんの少しだけ 吐息を漏らすようなしぐさ

それは 
小学生のころ
学芸会で 僕が演じた水戸黄門を見ていたときに
一度だけ見せてくれた 笑顔だった

肩に乗っていた大きな荷物が消えた・・・そんな気がした

でも・・・ 新たな問題が・・・

 「お父さんって 何者なの・・・」
家内と娘の一言・・・

さてさて・・・

助けを求めて 後ろを振り向くと
MPVが 真っ青の空に同化して 
必死に透明になろうとしている 
そんな風に見えた





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