容疑者Xの献身 ~ A250 ~
27,2016 20:46
街外れにある 僕のアパートは
隣人のテレビの音が
聴こえてくるほどの薄い壁で
プライバシーなど一切期待できない建物だった
しかし 真っ白な外観から
巷では ホワイトハウスと呼ばれている
これほど
イメージにそぐわない建物は
世界中を探しても そうは見つからない
そんなアパートも
僕にとっては最高の物件だった
部屋の眼の前にある駐車場ついていたからだ

僕の愛車 A250スポーツ・・・
部屋のソファーで寝ころんいても
コンパクトグラマラスなアイツを
見ることができた
特に 夕陽を浴びると黄金色に輝くボディは
見ているだけで 十分僕を癒してくれた
その日も 惰性で生きていた僕は
昼間から
ホーセズネック(ブランデーとジンジャーエール レモンの皮のカクテル)を
片手に ぼんやりとA250を眺めていた
すると
いつものように
隣の部屋から ピアノの調べが聴こえてきた
今年小学生になる(といっていた)女の子が奏でるピアノは
たどたどしく つっかえてばかりだったが
優しくカノジョにアドバイスする母親の声が
MIXされると
僕の心は Hotになった
しかし・・・
その日の女の子は
いつもの半分もしないうちに
ピアノのレッスンをやめてしまった
どうしたのだろう・・・
と思っていると 壁伝いに女の子の声が
僕の耳に フワリと入ってきた
「お友達の家には お花がいっぱい咲いたんだって
私も お庭が欲しい
パパが大好きだった
お花がいっぱい咲いてる お庭が欲しい!!」
いつも礼儀正しく わがままを言わない子が
その日は いつまでも
駄々をこねていた
女の子には 父親がいなかった
薄い壁のおかげで
隣人の家庭環境は
知らないうちに把握していた
女の子の父親は優しい男だったようだ
しかし 世間は そんな彼を食い物にした
家族に迷惑をかけまいと 彼は この世から消えた
人間は 平等じゃない
政治も宗教も
人は平等であるべきと 悟るが
そんなものは 幻想に過ぎない
弱者を抑えるための まやかしだ
辛いことだが
女の子には
自分自身で
今の環境を乗り越えなくてはいけない
しかし・・・
女の子の父親の名を知ってしまったとき
僕の歯車は
自動的に 動き始めてしまった
父親の名は 僕と同じKenjiだった
そして・・・
彼の旅立った日は 僕の誕生日と同じ3月24日だった
ホーセズネックを 飲み干したとき
僕はA250に言った・・・
「あぁ僕は 石神哲哉(堤真一)になるべきなんだね・・・」
・・・
「ママ!! お庭を見て!!」
上野公園の桜が満開になった日・・・
A250の駐車スペースは
一面 真っ黄色の菜の花で覆われた花壇になっていた
「わーい !
パパの大好きな お花がいっぱいだ!!」
A250に乗るためには
少し寒い道を歩かなくてはいけなくなったが
僕のハートは ポカポカしていた
菜の花の花言葉は・・・ 小さな幸せ
その日も ホーセズネックを飲んで
のんびりしていると
僕の部屋の扉がノックされた
扉を開けると
そこには 女の子の母親が立っていた・・・
ホーセズネックのカクテル言葉・・・運命・・・
満開の菜の花の色に染まって
アパートが イエローハウスになったとき
隣の部屋から ピアノの調べが聴こえてきた
・・・朧月夜・・・
僕の人生に理由が生まれた
隣人のテレビの音が
聴こえてくるほどの薄い壁で
プライバシーなど一切期待できない建物だった
しかし 真っ白な外観から
巷では ホワイトハウスと呼ばれている
これほど
イメージにそぐわない建物は
世界中を探しても そうは見つからない
そんなアパートも
僕にとっては最高の物件だった
部屋の眼の前にある駐車場ついていたからだ

僕の愛車 A250スポーツ・・・
部屋のソファーで寝ころんいても
コンパクトグラマラスなアイツを
見ることができた
特に 夕陽を浴びると黄金色に輝くボディは
見ているだけで 十分僕を癒してくれた
その日も 惰性で生きていた僕は
昼間から
ホーセズネック(ブランデーとジンジャーエール レモンの皮のカクテル)を
片手に ぼんやりとA250を眺めていた
すると
いつものように
隣の部屋から ピアノの調べが聴こえてきた
今年小学生になる(といっていた)女の子が奏でるピアノは
たどたどしく つっかえてばかりだったが
優しくカノジョにアドバイスする母親の声が
MIXされると
僕の心は Hotになった
しかし・・・
その日の女の子は
いつもの半分もしないうちに
ピアノのレッスンをやめてしまった
どうしたのだろう・・・
と思っていると 壁伝いに女の子の声が
僕の耳に フワリと入ってきた
「お友達の家には お花がいっぱい咲いたんだって
私も お庭が欲しい
パパが大好きだった
お花がいっぱい咲いてる お庭が欲しい!!」
いつも礼儀正しく わがままを言わない子が
その日は いつまでも
駄々をこねていた
女の子には 父親がいなかった
薄い壁のおかげで
隣人の家庭環境は
知らないうちに把握していた
女の子の父親は優しい男だったようだ
しかし 世間は そんな彼を食い物にした
家族に迷惑をかけまいと 彼は この世から消えた
人間は 平等じゃない
政治も宗教も
人は平等であるべきと 悟るが
そんなものは 幻想に過ぎない
弱者を抑えるための まやかしだ
辛いことだが
女の子には
自分自身で
今の環境を乗り越えなくてはいけない
しかし・・・
女の子の父親の名を知ってしまったとき
僕の歯車は
自動的に 動き始めてしまった
父親の名は 僕と同じKenjiだった
そして・・・
彼の旅立った日は 僕の誕生日と同じ3月24日だった
ホーセズネックを 飲み干したとき
僕はA250に言った・・・
「あぁ僕は 石神哲哉(堤真一)になるべきなんだね・・・」
・・・
「ママ!! お庭を見て!!」
上野公園の桜が満開になった日・・・
A250の駐車スペースは
一面 真っ黄色の菜の花で覆われた花壇になっていた
「わーい !
パパの大好きな お花がいっぱいだ!!」
A250に乗るためには
少し寒い道を歩かなくてはいけなくなったが
僕のハートは ポカポカしていた
菜の花の花言葉は・・・ 小さな幸せ
その日も ホーセズネックを飲んで
のんびりしていると
僕の部屋の扉がノックされた
扉を開けると
そこには 女の子の母親が立っていた・・・
ホーセズネックのカクテル言葉・・・運命・・・
満開の菜の花の色に染まって
アパートが イエローハウスになったとき
隣の部屋から ピアノの調べが聴こえてきた
・・・朧月夜・・・
僕の人生に理由が生まれた
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