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恋人たちの予感 ~ レネゲード ~

 03,2016 23:56
中学時代 カノジョとは喧嘩ばかりしていた
あれから40年
カノジョは年賀状のやり取りをする
最古参になった

交わした思いは
お互いが手紙の中で
言い切ってしまう 近況報告の一文
それだけ・・・

25年前に一度・・・
カノジョの文章に 
「逢いたい」という文字があった
しかし その年に僕が送った年賀状は
結婚の報告だった

翌年 カノジョの年賀状は
それまでの近況報告に戻っていた

レネゲード

それから
僕は普通に結婚生活を送り 子供も生まれた
しかし カノジョは
相変わらず旧姓のままだった

そして昨年・・・
カノジョから喪中の手紙が届いた
早くに父を亡くしていたカノジョは
母親も失い 孤独になった

手紙は 喪中印刷の定型文・・・
はじめて 
想いを交わす手段がなくなった

手紙を書けば 情報は取れただろう
しかし・・・
既に惰性の結婚生活を送っていた僕が
カノジョに手紙を出せば
自分の心が 
糸の切れた風船のように
ふわりと飛び立ち
二度とこの場所に戻ってこれないことを知っていた

正月休みの間
家の中に居場所がない僕は
ぼんやりと磨いていた
レネゲードを駆って
50km離れた故郷の街に向かった

年神様を 厳かに迎えることももなく
元日から
店を開けるせわしない都会を離れ
漆喰の蔵の街に到着するれば
そこは 想像通り 
無音の音が聴こえる
ゆっくり時が流れる場所だった

いつも以上に
エンジン回転に気を配り
静かな街を進むと 
毎年 送られてくる年賀状に
書かれた場所に到着した

ケンタッキーブルーグラスが敷き詰められた
ブルーのテラスハウスだった



衝動的に 
ここまでやってきた僕だったが
目の前にある
カノジョの家の扉をノックすることはできなかった

相変わらず・・・優柔不断だな・・・
レネゲードのボンネットの上に座りながら
そんなことを思っていると

「あっ!!」
Dosaaaaaaaaa!

目の前を通り過ぎる
両手いっぱいに荷物を抱えた女性の
小さな悲鳴の後
買い物袋から
4つばかり みかんが転がり落ちた

女性の代わりに 転がったみかんを
拾った僕に
女性は にこりと笑って
お礼にと 袋の中の綺麗な
みかんを4つくれた
Meg Ryanのように 爽やかな女性だった
映画なら ここで
出会いのきっかけが生まれて
後半の ハッピーエンドに向かっていくのだろう
そう 「恋人たちの予感」のように・・・
しかし 現実世界では 
カチンコが鳴るようなことはおきなかった

その年
僕は 家庭の大黒柱の任を解かれ 
一人になった
何年も前から独身生活と同じだったから 
生活リズムに 全く変化はなかったが
無音の音が聞こえる部屋
雑音のない我が家には 少しだけ 淋しさを感じた

そして 今年も・・・
カノジョから 
年賀状が届いた

「みかんが 食べたかったら
 また遊びに来てね・・・」



40年の月日が カノジョのイメージを変えていた
当然 僕だって同じように変わっている
しかし・・・ 
カノジョは 僕だとわかったんだ・・・

そこに 僕の居場所がある・・・
レネゲードと同じ色をした 少し酸っぱいみかんを食べに  
僕は 北へ向かった





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