イングリッシュ・ペイシェント ~ MINI ﾛｰﾄﾞｽﾀｰ ~
25,2015 14:30
都心でも紅葉（もみじ）の葉が
煉瓦色になるころ
僕は 生まれて初めて入院することになった
上京してから 何一つ良いことがない・・・
地元に帰ろうかと思案する
ブルー一色の生活をを送っていた僕に
極めつけで やってきた入院生活
頭を抱える僕を見て 友人は
「胆石なんか 簡単な手術の代表選手さ」
とちゃかしたが
体に穴を開けることで
僕を構成している
大切な何かが 抜け出してしまような
漠然とした不安感は 拭うことがきなかった
病室の外に見える運河は
全ての光を 吸収してしまうような
どんよりとしたダークグレーで
僕の心を可視化しているように思えた
ほんの 少しだけ期待していた
看護師との出会い・・・
しかし やってきたのは
僕の両親と同世代の おばさんだった
「胆石の手術なんて
一生で考えれば くしゃみみたいなもんよ！
あっという間の出来事だから！
私に恋心を抱いている 時間もないわよ！
Ha！Ha！Ha！」
兎に角明るい 彼女に圧倒されながらも
僕は 思った・・・
彼女の観察眼は
ベーカー街の探偵のようだ
まだ 挨拶しか交わしていない僕の
心の内をしっかり 見抜いてる・・・
この病院にある どんな装置も
彼女の瞳には 敵わない・・・ そう思った
「でも 一つだけ心得ておいて！
胆石だからって 侮りすぎてると
傷口から 新しい病気が入りこむのよ！
用心 用心！！ なんてね！
Ha！Ha！Ha！」
折角勇気づけておきながら
思い切り 谷底に落とすような看護師の言動に
ベイダー卿のマスクから漂う
ダークサイドの香りを感じた
そんな グレー一色の不安な世界の中で
僕は 無事 散弾銃の弾のような胆石 10粒を吐き出した
看護師の言う通り
手術は あっけなく終わった
五日間の入院は 終わってみれば
確かに くしゃみ程度の時間だった
「ヘタレの 君をいじれなくなるのは
少し 淋しいわ」
退院の日 看護師は言った
彼女に そんな気持ちがあることを知って
僕は 少しだけ
センチメンタルな気分になった
「お母さん・・・」
真っ白なプリーツワンピースを着た
ショートヘアの女性が病室の入り口に立っていた
「あら Kana・・・」
Kanaと呼ばれた 女性は
僕に向かって フワリと頭を下げた
「こちらが 車と映画が趣味の Ken君よ！」
看護師がカノジョに向かって言った
！！
そんな僕の情報を 彼女は いつ仕入れたんだろう・・・
Mi6のような索敵能力に 改めて 感心していると
「あぁ あの不安障害的な・・・
あっ ごめんなさい・・・」
カノジョは 頬を赤くして 頭を下げた
おいおい・・・それって患者の個人情報じゃないのか？
僕は あきれ顔で 彼女（看護師）を見た・・・
「ごめんなさい
下町生まれの母は 口が悪いから
いろいろ 誤解されちゃうんですけど・・・
貴方のことを 素敵な好青年だって 我が家ではべた褒めでしたよ！
でも・・・入院中は いろいろご迷惑をおかけしたと思います。
本当に ごめんなさい」
キツツキのように
何度も頭を下げる カノジョの仕草に
献身的な看護師の血筋を感じた
いや それどころか・・・
不安障害の男のレッテルが張られていたことも忘れて
僕は
手術で取り除かれた胆嚢のあたりに
フワリとした 天然色の塊が 生まれるのを感じた
「お詫びに 私の車でお宅まで送ります・・・・」
！！
そう言ったのは 彼女（看護師）だった
「ちょっと お母さん！！」
慌てるカノジョをよそにして 彼女は続けた
「ちなみに この娘も 映画と車は大好きよ！
車は クーパーSのコンパチ！ どう？？」
ニコリと笑う看護師につられて
僕の口角が僅かに 上がった
「ほら・・・」
看護師は言った
「やっぱり 病気に かかっちゃったわ！！
これで 東京から 暫く離れられないね！
Ha! Ha! Ha!」
またしても 読まれた・・・
でも・・・
僕の瞳に映る世界は
グレーでも ブルーでもなくなっていた
イングリッシュ・ペイシェント（英国人の患者）とは異なる方法で
僕は看護師（彼女）に 救われた
アルマシー（Ralph Fiennes）の見た
オレンジ色のサハラ砂漠に浮かぶ太陽と
全く同じ 純白のサンシャインが
僕とカノジョ そして Miniの前に広がる
運河を 真っ白に染めていた
煉瓦色になるころ
僕は 生まれて初めて入院することになった
上京してから 何一つ良いことがない・・・
地元に帰ろうかと思案する
ブルー一色の生活をを送っていた僕に
極めつけで やってきた入院生活
頭を抱える僕を見て 友人は
「胆石なんか 簡単な手術の代表選手さ」
とちゃかしたが
体に穴を開けることで
僕を構成している
大切な何かが 抜け出してしまような
漠然とした不安感は 拭うことがきなかった
病室の外に見える運河は
全ての光を 吸収してしまうような
どんよりとしたダークグレーで
僕の心を可視化しているように思えた
ほんの 少しだけ期待していた
看護師との出会い・・・
しかし やってきたのは
僕の両親と同世代の おばさんだった
「胆石の手術なんて
一生で考えれば くしゃみみたいなもんよ！
あっという間の出来事だから！
私に恋心を抱いている 時間もないわよ！
Ha！Ha！Ha！」
兎に角明るい 彼女に圧倒されながらも
僕は 思った・・・
彼女の観察眼は
ベーカー街の探偵のようだ
まだ 挨拶しか交わしていない僕の
心の内をしっかり 見抜いてる・・・
この病院にある どんな装置も
彼女の瞳には 敵わない・・・ そう思った
「でも 一つだけ心得ておいて！
胆石だからって 侮りすぎてると
傷口から 新しい病気が入りこむのよ！
用心 用心！！ なんてね！
Ha！Ha！Ha！」
折角勇気づけておきながら
思い切り 谷底に落とすような看護師の言動に
ベイダー卿のマスクから漂う
ダークサイドの香りを感じた
そんな グレー一色の不安な世界の中で
僕は 無事 散弾銃の弾のような胆石 10粒を吐き出した
看護師の言う通り
手術は あっけなく終わった
五日間の入院は 終わってみれば
確かに くしゃみ程度の時間だった
「ヘタレの 君をいじれなくなるのは
少し 淋しいわ」
退院の日 看護師は言った
彼女に そんな気持ちがあることを知って
僕は 少しだけ
センチメンタルな気分になった
「お母さん・・・」
真っ白なプリーツワンピースを着た
ショートヘアの女性が病室の入り口に立っていた
「あら Kana・・・」
Kanaと呼ばれた 女性は
僕に向かって フワリと頭を下げた
「こちらが 車と映画が趣味の Ken君よ！」
看護師がカノジョに向かって言った
！！
そんな僕の情報を 彼女は いつ仕入れたんだろう・・・
Mi6のような索敵能力に 改めて 感心していると
「あぁ あの不安障害的な・・・
あっ ごめんなさい・・・」
カノジョは 頬を赤くして 頭を下げた
おいおい・・・それって患者の個人情報じゃないのか？
僕は あきれ顔で 彼女（看護師）を見た・・・
「ごめんなさい
下町生まれの母は 口が悪いから
いろいろ 誤解されちゃうんですけど・・・
貴方のことを 素敵な好青年だって 我が家ではべた褒めでしたよ！
でも・・・入院中は いろいろご迷惑をおかけしたと思います。
本当に ごめんなさい」
キツツキのように
何度も頭を下げる カノジョの仕草に
献身的な看護師の血筋を感じた
いや それどころか・・・
不安障害の男のレッテルが張られていたことも忘れて
僕は
手術で取り除かれた胆嚢のあたりに
フワリとした 天然色の塊が 生まれるのを感じた
「お詫びに 私の車でお宅まで送ります・・・・」
！！
そう言ったのは 彼女（看護師）だった
「ちょっと お母さん！！」
慌てるカノジョをよそにして 彼女は続けた
「ちなみに この娘も 映画と車は大好きよ！
車は クーパーSのコンパチ！ どう？？」
ニコリと笑う看護師につられて
僕の口角が僅かに 上がった
「ほら・・・」
看護師は言った
「やっぱり 病気に かかっちゃったわ！！
これで 東京から 暫く離れられないね！
Ha! Ha! Ha!」
またしても 読まれた・・・
でも・・・
僕の瞳に映る世界は
グレーでも ブルーでもなくなっていた
イングリッシュ・ペイシェント（英国人の患者）とは異なる方法で
僕は看護師（彼女）に 救われた
アルマシー（Ralph Fiennes）の見た
オレンジ色のサハラ砂漠に浮かぶ太陽と
全く同じ 純白のサンシャインが
僕とカノジョ そして Miniの前に広がる
運河を 真っ白に染めていた
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