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コクーン ~ フェアレディZ S30 ~

 03,2015 00:28
僕の家には 真っ白な砂浜のプライベートビーチがあった 
とカッコよく言っても 実のところは
 
小さな入り江にある 純和風の我が家の隣に
キラキラ輝く オレンジ色の屋根の洋館が
突如 建設されたため 
この2軒の敷地を通り抜けないと
海岸にたどり着けなくなってしまっただけのことだった

いつも太陽のようにキラキら輝く洋館には
桜の咲くころ完成したが
7月になっても
だれも 住んでいる様子はなかった
だから ビーチは 完全に僕のプライベートビーチだった

そんなある日・・・ 
洋館の駐車場に車が停まっていた

屋根の色と全く同じオレンジ色の
1970年製 フェアレディ―Z S30
僕の憧れの車だった

フワリと 車が僕を引き寄せる・・・
あと一歩で S30に触れることのできる距離まできたとき

!!

S30のオレンジが 
パチリと弾かれ 飛び出したかのように
同色の発光体が
波打ち際で キラリと輝き
僕の瞳を焦がした

そこには 水着の女の子がいた

フェアレディZ S30

 「こんにちわ」
日に焼けていない
真っ白なカノジョから 声を変えられた僕は
カノジョを 極力見ないで返事をした
 「コンチワ」

真夏の太陽より 洋館の屋根より
オレンジ色の水着が似合う
眩しい子だった

次の日から毎日 
カノジョは ビーチにやってきた

 「私 沢山の人がいるところが苦手なの・・・
  だから 夏の間は ここでのんびりと過ごすの」
僕と同い年だったカノジョは
そう言った

 「この場所は 二人だけの 遊び場よ 約束ね」

そう カノジョに言われたとき 
鼻の奥がツンっとした
今までに感じたことのない感覚だった

カノジョは
オレンジ色の太陽の季節が終わるころ
フェアレディと共に 都会へ帰っていった
 「また来年・・・」
小麦色に焼けたカノジョは 
S30が見えなくなるまで 手を振っていた

翌年も その次の夏も
S30とともに
カノジョは ビーチに現れた

そのころの僕は
地元のプールに行くことはなくなっていた
カノジョがいる間は
ほとんど カノジョと一緒にいた

とても楽しかった夏の思い出・・・
しかし 高校2年の夏・・・
僕は 我が家の プライベートビーチについて
学校の友達に話をしてしまった
信用しない友達を 自宅に招き 
ビーチを案内した・・・

その年・・・
S30が停まっていたのだが
カノジョは 一度もビーチに現れなかった

ある日 僕は
ビーチの砂浜に 
文字が 書かれているのに気付いた

 「約束だったのに・・・さようなら」

その年・・・
僕の胸には 大きな穴が開いた
塞ぎようのない大きな穴が・・・

そして 二度と洋館にS30が
来ることはなかった

あれから20年・・・
就職と同時に 家を出ていた僕は
祖父の他界を機に ここへ戻ってきた

当時から古民家のようだった 我が家は 
20年前と同じ姿・・・
しかし 誰も住んでいない
隣の家は 輝きを失っているように見えた・・・

気温35度を超えた今日
久しぶりに
真っ白なプライベートビーチから
海に飛び込んだ

FUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU

気持ちイイ・・・

海上から見る洋館は
あの時と同じように見えた
全てが 20年前に戻った・・・
そんな気がした



甘酸っぱい記憶の中のカノジョに向かって僕は呟いた

 「映画『コクーン』では 
  約束を破った老人たちに対して 
  最後まで 暖かく接していたじゃないか・・・
  そうか・・・ 
  彼らは・・・地球人じゃなかった・・・」

夕日が沈むまで
砂浜で横になっていると

Kirariiiiiiiii

!!

洋館の駐車場が輝いている
オレンジ色のS30が 夕陽に照らされて・・・

 「はい どうぞ」



ふいに僕の肩に 
コクーンのように柔らかい
タオルがかけられた

!!
ふと見上げると
そこには 20年前の面影をのこした 
女性が立っていた

 「人と話すのは 相変わらず苦手なの・・・
  だから 戻ってきちゃった」

今宵はブルームーン
月に2度目の満月は 幸せの奇跡を起こす・・・

 「約束・・・ごめん・・・」

20年前の一言・・・
やっと カノジョの耳に届いた





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