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ドラゴン・タトゥーの女 ~ ソアラGZ20 ~

 12,2014 18:53
高校時代の僕はいつも駐車場にいた
越境入学のおかげで 自宅の近くに友達がいない
キャッチボールの相手は 
正確なボールを返球してくれる 灰色の壁だった

そんな僕を いつも
ボンネットに腰かけながら マールボロを咥えた女性が見ていた
カノジョの肩には 小さな竜に見える赤い痣があった



 「もっと 腕をしならせなきゃ・・・」とか
 「足の踏ん張りが弱いな・・・」など・・・
カノジョは 僕に耳に 微妙に届くように呟いた

お前に何が分かるんだ!
心の中でカチンときていた僕だったが
実は 的を得ていた一言に 何も言い返すことはできなかった

それに・・・
僕は カノジョのこと真正面で見る 勇気もなかった

カノジョの真っ赤な唇は 
高校1年の僕にとって 刺激が強すぎた
仕方なく カノジョのアドバイスを受け入れた

ただ 壁に向かって ときおり 些細な反撃だけは行った
 「タバコは 美容に良くないですよ
  それに GZ20のボンネットは座るところじゃない」
カノジョは Karakaraと笑った

両親から カノジョと話してはいけないと言われていた
しかし まるで 壁の向こう側を見透かしているような 
焦点の合わないカノジョの琥珀色の瞳と 
切れ長のGZ20のヘッドライトに 僕は既に心を奪われていた
カノジョたちに 見つめられていては
手を抜くことはできない
いつの間にか 自宅練習は 部活動よりも熱心になっていた

そして 僕は 秋にはエースになった

先輩を差しおいての抜擢に 僕は己惚れた
いつしか カノジョの 囁きも 
僕の耳に響かなくなっていた

そんなある時 僕の横を マールボロの煙が流れた
 「お前 ダメな奴になったな アイツとおんなじだ」

 「アイツって・・・」
僕が声をかけようとすると 
カノジョは練習用のマスコットバットを
担いで 壁の前に立った
 
 「今のまんまじゃ いい男に なれないよ」
そう言うとカノジョは マールボロを口にくわえたまま 
左ボックスの一に立って 
右手人差し指を 僕に向かって差し出した

コイコイと指を曲げる

 「さっさと 投げてこい・・・」
マールボロの青白い煙が 挑発している

頭に血が上った僕は インコース高めの球で
カノジョの眼を覚まさせようとした

Byuuu!
 「あっ!」 
球は 狙いより カノジョの頭の近くにそれた

Bannnnn! 壁が響く・・・

カノジョはピクリとも動かない・・・
ただ 青白い煙の幕にだけ 丸く穴が開いていた

 「女 相手に脅しとは情けないねぇ・・・」
カノジョが言った

僕は体中が燃え上がるような 恥を感じた 
小細工なんてすべきじゃなかった・・・

今度こそ 渾身の力を込めて ど真ん中に投げ込む
いつもより 大きく振りかぶった僕は
最高の一球を 投げた!

と 同時に カノジョの肩に担がれたバットが
フーコーの振り子がゆるりと線を引くように 回った・・・

Kyeeeeeeeeeeeeennnnnnnnnnnnnnnnnn
見事に打ち返された球は 白竜の尾となった

そして・・・次の瞬間
Bariiiiiiiiii
という音とともに 白竜は GZ20のヘッドライトに噛みついた

Soara GZ20

 「あちゃー・・・」
カノジョが目を覆った

完敗だった・・・
がくりと跪く僕に
 
 「いい男は 女に弱いもんさ スウィートボーイ」

そう言って 僕の頬に軽く 口づけをしたあと
カノジョは GZ20をそっと撫でて 行ってしまった・・・

次の日 GZ20のヘッドライトには
ドラゴンのステッカーが貼られていた

それから一週間もしないうちに 
駐車場は マンション工事で閉鎖された 
僕が 再びカノジョに 出会うことはなった 

秋季大会に出場した僕は 
卒業まで無敗を通した そして今 ここにいる・・・

ダッグアウトまで 取材にやって来ていた
若手女性記者がガチガチに緊張しながら 言った

 「200勝投手になった あなたが引退まで 
  30年前の国産に乗り続けてきたのは 何故ですか?」

 「アイツは 僕にとって 永遠のライバルなんだよ
  スウィートガール!」

グローブに刺繍された 真っ赤なドラゴンを見ながら
相変わらず 女は苦手だ そう思いながら
左腕の男は ニコリと笑った 




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