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34丁目の奇跡 ~ レヴォーグ ~

 30,2014 23:45
Cafe Bar Casablancaには ため息が集う
今日も バーテンダーの前で 女性が一人
壁に飾られた 映画のポスターやポートレートが
カノジョのため息に 合わせてフワリと揺れる
今宵 反応したのは
リチャードアッテンボロウだった

Levorg

 「なんで こんな目に合わなければいけないの・・・」
ウォッカの主張が強いアキダクトを ぐいと空けたカノジョは

 「マスター 全然酔えないの・・・
  もっと 強いのないかしら?!」
 ※ アキダクトのカクテル言葉・・・時の流れに身を任せ

カノジョの槍のような注文を
天女の羽衣のように さらりとかわしながらも 
ゆるりと受け止めなが口調で バーテンダーは言った
 「畏まりました・・・」

 Haaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!
三度目のため息が もれた時
 「そんなに 苦い顔をして・・・
  この店の カクテルは 薬じゃないよ」

カノジョにまとわりつく 強力な負の結界の中に
一人の老人が いつの間にか座っていた

!! 

ニコリと笑う老人・・・どこかで見た顔・・・
しかし 思い出すことができない
イライラした感情を むき出しのまま カノジョが言った

 「おじいさんには わからないでしょ!
  今日の私は最悪なんだから!!」

ニコリと笑う老人・・・ 変わらぬ笑顔で 
チャーリーチャップリンをそっと差し出す
それは以前
彼が この店で初めて注文してくれたカクテル・・・

少しだけ 自分の廻りに圧縮された空気が
アプリコットの香りと共に ほんの少し緩んだ気がした

 「今日・・・彼の誕生日だったんです・・・
  でも・・・残業になるから 少し遅れるって連絡したの・・・
  彼は イイよ また今度 祝ってよって・・・」

グラスをころりと鳴らしながら 一口・・・
同じ分だけ 瞳から涙がこぼれた

 「でも・・・会いたくて 会いたくて
  残業を終わらせて 彼の家に行ったの・・・
  そうしたら 真っ赤なワンピースの女性と彼が抱き合ってた・・・
  何となく 思ってたの 私・・・違うのかなって でも・・・ホントに・・・」

それ以上は 言葉にならなかった
彼との思い出が 浮かぶ
彼の大好きな この店で 今日 私は彼を忘れるの
いっぱい いっぱい飲んで 泣いて それで・・・ それで・・・

 「信じる心を失ったら、疑うだけの人生になってしまうよ」
ニコリと笑う老人・・・

 「信じろって・・・何を・・・」
老人に尋ねた

 「僕はね バカンス中のサンタクロースなんだよ!
  こんな蒸し暑い街で バカンスなんてという顔をしてるね・・・
  でも これだけ暑いから
  美味しいサマーカクテルが飲みたくなるのさ」

都会の真ん中にあるcafebar に 一番ふさわしくない 
バカンスという言葉のおかげで
私は この老人が サンタクロースであるという 
驚愕の宣言に対する突っ込みを しそこなった

 「それは・・・そうね・・・」

 「そうだろう・・・サンタだって 
  夏は おしゃれにカクテルで乾杯するのさ!
  ちなみに・・・バカンス中は 赤い洋服は禁止! 
  それに 口ひげも 剃ることにしておる!」

この老人も 辛い人生を送ってきたのだ 
だから 少しだけ 脳細胞が緩くなってしまったのだろうか・・・

しかし この老人の話声は とても懐かしく優しかった 
彼のいう事が 真実のように思えた・・・

 「年寄の話に しっかり耳を傾けてくれてありがとう
  褒美に 季節外れのプレゼントとして よいことを教えてあげよう・・・
  彼は 君のことを本当に愛しているよ・・・信じてあげなさい」

急に現実が戻ってきた・・・
 私は グラスをテーブルにコツリと置いた
 「そんなこと・・・信じられない・・・!!」

 「どうしてだい?
  私がサンタだと思えるのに どうして彼を信じられないの?」

 「それは・・・ それは・・・」

 「真っ赤な服の女の子かい」

!!
 「どうして・・・」

 「彼女は 彼の妹だよ 夏休みを利用して遊びに来たんだ
  彼を驚かそうと思って 内緒でね! 久しぶりの再会の場面だったんだよ
  どうだい・・・信じられるかな・・・」



カラリとグラスの中の氷が踊る
ハッと 我に返った私は 老人に向かって・・・

そこには誰もいなかった 
酔いが回ったのかな・・・ そう思ったとき 
目の前にあるポートレートが揺れた

 「あっ・・・」
次の瞬間 私の 耳の元で ささやくような声が聞こえた

 「外に 真っ赤なレヴォーグが待ってるよ」

『34丁目の奇跡』のポートレートには
サンタクロース(リチャードアッテンボロウ)が 微笑んでいた

私は 店を飛び出すと 
真っ赤なレヴォーグの前に立つ 彼に抱き付いた

お誕生日おめでとう・・・
彼が言った

今日は 私と彼 二人の誕生日・・・

私は 彼に聞こえないように そっと呟いた 

Summer Merry Christmas!

※ Richard Attenboroughさん 思い出ありがとう





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